第36話 この子どうしよう
マインとアオイが揃ったところで会議を始めよう。
「レンくん、こんな朝早くに何かあったのですか…」
うわー眠そう。半分くらい目を閉じてるし。それに朝早くってスマホの時計があっていれば今は10時だぞ。いつもどれくらい寝ているんだよ、昨日までは僕らと一緒に起きてたじゃん。
「昨日までは緊張であまり寝れなかったんですよ。普通は14時間ほど寝ているんです。寝足りないですよ…」
「14時間は寝すぎだろ」
「それで何があったんですか…」
そうだった。アオイの睡眠時間よりも重要な話があったんだった。
「この子の手首を切り落とした犯人がここにいるかもしれないんだ」
「それはですね」
マインがニッコリと笑いながら話しかけてくるが無視する。
「だから犯人が見つかるまで2人には気をつけてほしいんだ」
「わかりました…」
ああ、マインの口が開いていく、頼む閉じてくれ。さっき無視したじゃないか。巻き込むのはやめてくれ。
「私がやりましたよ」
わかってた、わかってたけど、直接言われるとすごく現実逃避したくなる。
アオイはアオイで「えっ、マインが犯人だったんですか!?」みたいな顔をしているし。手首がない時点で気づけなかったのかよ。
現実逃避はこれくらいにして
「詳しく説明してくれるよな、マイン」
「勿論です。昨日の夜、私がレン様の…」
みんなはこの流れでわかるよな?
そう、説明を省かせてもらった。だって仕方ないだろマインがいちいち「レン様のかっこいい」や「レン様の可愛い」とかを間に挟んでくるし途中で「レン様を殺すのは私なのに」とか入れ込んで来るんだよ。っと話がそれたな。
マインの説明によると僕の部屋に侵入して寝顔を見ていたら部屋に何者かが入ってきたから優しく捕まえたらしい。
「優しく捕まえたにしては殺り過ぎている気がするんだが」
「大丈夫です。まだ殺してません」
「殺してないから良いって訳じゃないだろ。だいたい何で手首を落とす必要があるんだよ」
「レン様に手を出そうとしてたからです」
「手を出しただけで切り落とされるのかよ」
何でこんな事になってるんだよ。これはすごく笑えるギャグ小説だぞ殺し合いとか出てこないだろ。ネタだけでいいんだよ。
はぁ、この子どうすればいいんだろう?
「…ぅ、……ぅぅ」
起きたみたいだな。即座に手刀を首筋に叩き込む。
「ゔっ」
良かったちゃんと気絶してくれたな。
「レン様、こいつはどうするんですか?」
「動けないようにしておこうと思う」
面倒事は嫌いだからな。ロープを解いてクローゼットの中に入れておく。
さてそろそろ出かけるか。
「今から魔術ギルドに行くけど付いてくるか?」
まずは冒険者ランクをDにしたいからな。Fで受けられるクエストなんて協力か採集ばっかりだからな。
「レン様の行くところには基本的に付いて行きます」
基本的にって付くんだ。何か悔しいな。
「それなら私も付いて行きます…」
「アオイも来るのか?」
これには驚いた。アオイの事だからここで待っているか外で買い物をして来るのかと思っていたが、そうでもなかったみたいだな。
「魔術ギルドを見てみたいんです。それに置いてけぼりは寂しいので…」
「そうだな。じゃあ3人で行くか」
僕らは出かける準備を整えて、少し考えてからクローゼットの中に水と食料を入れておく。これで夜まで持つだろう。
手首無しで食べられるのかな? まあ犬みたいに食うだろうから心配しなくてもいいか。
「必要な物は持ったな?」
「はい、レン様」
「持ちました…」
よし確認完了。さて行くか。