第34話 女の戦い
アオイとマインの2人はレンと過ごす未来を想像し、その未来の障害になりそうな敵の存在を再確認した。
レンを巡る2人の女の戦いが今、始まる。 訳が無く、二人にとっては真剣な睨み合いも傍から見れば可愛らしいものだ。
そしてレンも2人の喧嘩など気にしない。
「そういえばマインは何処に行っていたんだ?」
「ちょっと村に豚肉を貰いに行ってました」
「そうか。なら今日の夜ごはんは豚肉を使うか」
「詳しく聞かなくても大丈夫なんですか…」
いや豚肉を貰いに行くくらいで心配することもないだろ。それにお腹減ったしな。
「一応聞いておくが人は殺してないよな?」
「勿論です」
「なら問題ない」
凄いドヤ顔で胸張りながらマインが言ってるが、絶壁が強調されとても可哀想に思えてくる。
本当にまな板だな。
マインはレンの顔を少し覗き込んで、少しムッとした顔を作り、持っていたナイフでレンの手首を切り飛ばした。
「レン様?今すごく失礼なことを考えて…」
「考えてませんから人の手首を切り落とすのはやめてくれ。それに『殺す時は笑いながら殺す』が君のモットーじゃなかったのか?」
「それとこれとは違いますよ」
やっぱり女子の気持ちはわからないな。あっ、手首拾うの忘れてた。
拾った手首を腕に押し付けるとすぐに筋繊維や血管、神経が伸び絡まって繋がり、骨も繋がった。
超回復があるからトカゲの尻尾みたいに生えてくるんじゃないかって?
普段は超回復を切っているんだよ。何処ぞの不死身くんみたいに怪我を瞬間的に治すところを人に見られたくないからな。絶対化け物扱いされるし。
今回は手首が取れたから仕方がない。
「レンくん、物騒な話は人がいない所でしましょう…」
何でだ? ここは日本じゃないんだから少しくらい物騒な話でもいいと思うんだが。
「いくら異世界でも手首をナイフで切り落とす少女と手首を切り落とされても顔色1つ変えない男の子は受け入れにくいと思いますよ…」
うん、もう心を読む事は気にしないないことにしたよ。
「そういう物なのかな」
「私達にはわかりませんね、レン様」
レン達の会話が聞こえていた街の人達は
(((((あ、あいつら怖い。怖すぎる )))))
ものすごく怯えていた。
「それじゃ夜ご飯にしますか」
「そうですね…」
「今回もレン様が作るのですか?」
「そうだよ。今日はシチューだしな」
マインに作らせたらリアルジャイ○ンシチューが出来るからな。
それではレンの3分クッキングやっていこう。
まずは鑑定したらオークの肉とでた曰く付きの豚肉と野菜をお皿に盛り付け水を少々、塩胡椒も少々入れて最後に牛乳を入れる。最後に錬金術でポンッとやれば2分で出来るシチューの完成です。錬金術が使える奥様方は是非やってみてください。
「ほらシチュー出来たぞ」
「レンくんってすごく便利ですよね…」
「それは褒めているのか?」
確かにすごく便利になったけど面倒臭いことに変わりはないんだよな。料理出来るメイドとか居ないのかな?
メシア)奴隷を買ったり侍女ギルドに依頼するのが普通です。
なるほど、普通じゃないのもあるのか?
メシア)料理を作る魔道具を使っている人もいます。
奴隷と侍女と魔道具か、奴隷が1番手っ取り早そうだな。
「これが「しちゅー」ですか。見たことの無いスープですね」
感想を言いながらシチューを飲んでいるのはマインだ、もう一度言おうシチューを飲んでいる。小学校の時に「カレーは飲み物だぜ」とか言ってた馬鹿が居たがまさか本当に飲む奴がいるとは知らなかった。いや、シチューだから飲めるのかな? 僕はシチューとカレーは似たような物だと思っているのだけどな。
「美味しいですね。久しぶりに食べました…」
「久しぶり?どれくらい食べてないんだ?」
「6年ぶりですかね…」
「6年って家や学校の給食で出なかったのか?」
僕の家でも数ヶ月に1回は出たぞ。小学校の給食でも出てたよな、中学校は行ってないから知らん。
「給食は貰えなかったり床に落とされたりして食べれなかったので…」
「い、家では出なかったのか?」
「お母さんが忙しくて手間のかかる料理は作れなかったので…」
「そ、そうか」
アオイってすごく不憫だな。まあこれからは僕が美味しい物を食べさしてあげよう。