第30話 人斬り
「もしかして『人斬り』って言う名前じゃないか?」
「違いますよ」
やばいですね。もう顔が割れましたか。ここ数日は誰も殺していないのですが。
もしかして受付嬢が怖がってたのもそのせいでしょうか。
「そうか。それならいいんだ。悪いこと聞いたな」
「大丈夫ですよ。それで盗賊はどうすればいいですか?」
「賞金が掛かっている者はいないようなので一人あたり銀貨2枚ですね。係の者に渡してもらえますか?」
「どうぞ」
係の者は盗賊を受け取ると素早く手枷を着けて連れてい来ました。何百回と繰り返さないとあれほど素早くは出来ないでしょう。
私も練習した方がいいのでしょうか。どうやらレン様は人が死ぬのを嫌っている様なので殺さずに無力化出来る術を会得したいのですが。
「これが討伐金銀貨14枚です」
「ありがとうございます」
受け取った銀貨は靴や服の隙間に隠しておく。貧民街や裏の世界ではスリなどは日常の一部と化しているから気を付けなければ聞けないのです。
もちろん盗もうとしてきた奴は殺せば済むのですがレン様が嫌がりそうなので出来ないんですよ。
そういえばレン様はここで冒険者登録をしたのでしたね。それなら私もした方がいいのでしょうか。
レン様と一緒に森へ狩りに行って2人で(恋する乙女なマインの頭にはアオイはいない)クエストを終わらして宿に帰り同じ部屋で寝る。(もちろんレンとマインが同じ部屋で寝ることはありません)
何故でしょうか、すごく幸せな気がして来ました。
「冒険者登録お願い出来ますか?」
「冒険者登録ですね。説明しましょうか?」
「いりません」
「でしたらこの用紙に必要事項を記入してください」
サラサラっと書き込んでいく。この紙の書き方はヤメガに教わっているから考えなくても書ける。
書き終わった紙を受付の人に渡し、カードを受け取った。
「クエストはあちらに貼ってあるので受けたいクエストがあれば剥がして持ってきてください。間引き系のクエストは剥がさずに討伐証明部位を持ってきてください」
貼ってあるクエストですぐに出来そうな物でも探しましょうか。折角レン様が私に盗賊を任してくださったのですし、手土産として少し稼いだらレン様も褒めてくれるでしょう。
そう考えたら何か燃えてきました。
えっと、今あるクエストで私が受けれるのは…
分類|ペット探し
内容|私の大切なミィちゃんを探してください。
ミィちゃんは赤い首輪に黒色の雌猫です。
報酬|銅貨2枚
ランク|F
分類|魔物退治
内容|村の畑に現れたオークを討伐してほしい。
報酬|銀貨1枚
ランク|E
分類|採集
内容|薬の元となるヤーク草を3株取ってきてほしい。
報酬|銅貨5枚
ランク|F
分類|討伐
内容|村の近くの森にゴブリンが現れたので集落ごと討伐してほしい。村の自警団も同行するのでフォローも頼みたい。
報酬|銀貨2枚
ランク|E
あまり良いクエストが無いですね。
しかし今の私のランクではこれより上のクエストは受けれないですしオーク討伐を受けましょうか。
そうと決めたら早速クエストの紙を剥がして受付に持っていく。
「このクエストを受けます」
「えっと、このクエストはオークを討伐しないといけないから小さい女の子には無理だと思うのだけど」
失礼な、これでも「人斬り」として恐れられている魔人ですよ。
とはさすがに言えないですね。
「オークなら倒せるので問題ないです」
「そう、なら良いのだけど」
胸を張ってそう言ったら分かってくれました。さすが冒険者ギルドの受付ですね。私の強さがわかったのでしょう。
──もちろん受付嬢はマインの強さをわかってはいない。小さな女の子が強がっている、としか思っていない。
だがマインはそれに気付かない。
「オークが出た村はここから東にあるカナ村です。オークの数は2体で、オークの肉はギルドで買取ります」
カナ村ですか。あそこなら1回行ったことがあるので迷うことはないですね。
レン様を待たせる訳にはいきませんし、早速行きましょうか。
第30話で5万字超えました。10万字は60話当たりで超えるのかな?
まあ、これからも頑張りますので応援宜しくお願いします。