表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/134

第2話 本題に入ろう

「だから解決できる程度に小さくして発散してるってことか」

「はい、しかし、それでも微小な歪みが積もり積もっていく、それがこれです」


 女神が後ろに隠していたもの。それが徐々に現れていく。

 それは大きな黒い球体で、大きさは大きめの一軒家くらい。

 GA○TZっぽさもあるがあんなに硬質な見た目ではなく、輪郭が揺らいでる。まるで影みたいだ。


「これも歪み?」

「はい、そして今から下界に降りるものです」


 しかし歪みにしては形が綺麗だ。さっきのはぐしゃぐしゃの新聞紙だったのに、今は綺麗な球形を保ってる。少なくともこのチョコボールっぽい何かは自然物のような歪さが感じられない。


「僕がここにいるのはこれを解決するため?」

「その通りです」

「僕をここにぶつけて相殺するとか?」

「そんなことはしませんよ。ただ、これの成れの果てを消して欲しいだけです」

「これが何かになると?」

「魔王に」


 いきなりファンタジーな香りがしてきた。

 まぁ、起きたら突然白い世界で、女神がいて、空中に変なのが浮いてる時点でファンタジーなのだが、どうやら勇者と魔王の王道ファンタジーのようだ。


「いや、さっき僕が生きてい()って言っていたな」

「言いましたね」

「死んだことになる、いや、なってるってことか?」


 実感が伴ってない。それ故に気軽に聞けること。

 トラックに引かれたり落下死したりと異世界に行くものは何かしらこの世界にケジメをつけているものだ。


「前の世界の体を分解し、全く同じ構造でこの世界に作り上げます。まぁ、まだ魂だけ呼び出してる段階なんですが。日本での神隠しと呼ばれるものと同じです。しかしあなたはあまりにも世界にくい込みすぎていました」


 世界が戦争ムードで国のために働かなければ差別されるような時代。そんな中でニートなんて続けていけるのは、まだ軍に利用価値があると判断されていることと、ある程度の秘密を知っていて、軍基地の中でしか生活させて貰えないことが理由だ。

 ニートとして外に出ようとは思わないが、そうでなくとも不用意に外に出れば兵士に囲まれる。

 利用価値はあるが、扱いづらい天才少年なんてものは基本的にそんな扱いになる。


 今は脳から演算能力を抜き出せないか試すための実験動物にしか過ぎない訳だが。


「だから、実験かなにかの事故で殺して、いなくなっても問題無くする、ということか」

「やはり、未練ありますか?」


 まぁ、友達を置いていくことにもなるし、やり終わってないゲームもいくつかあるしな。


「ゲームについては無理ですが、友達は連れていけますよ?」

「それは道連れにして殺すってことか?」

「世界のために、死んで欲しい。としか私たちは言えませんので」

「なら大丈夫だ。元々誰かのために死ぬ準備は出来てる」


 リタイアしたとはいえ、元将官希望。二階級特進で世界の礎になる覚悟だって出来ている、というかそうなるように育てられてる。

 命なんてすぐ消えるようなものだと、そう教育されている。



「まぁ、引きこもりだし、連れていきたいやつなんて1人しかいないさ」

「では、スキルの選択ですね」

「スキル?」

「はい、このまま降ろしても、この世界の環境に適応できずに死ぬだけなので」

「なるほど、科学ではなく、ファンタジーな技術をくれるってことか」


 異世界において、近代的な技術は役に立たないってことだろう。

 ほとんどのゲームでは最初は単純なスキルを貰って、それを育てていくものだ。ほとんどのゲームで最強の自分を作り上げてきたが、現実世界で育成ゲームができるとは思わなかった。


「そのスキルってのはどんなのがあるんだ?」

「ここに一覧が」


 と言って見せてきたのは大量の本の山。


「下界に存在するスキル、その全てですね」


 どうやらゲームと違って育成要素はなかったようだ。


「全部ってことは初めから強いスキルを使えるってことか?」

「ええ、弱いスキルでは戦えないので」


 最初っからエンドコンテンツ使って無双か。まあ、悪くないね。

 緊迫したボス戦とかも楽しみたかったけど、1度きりの命、1度きりの世界なら全ワンパンの確実ハッピーエンドの方がいいのだろう。


「いくつまでとかの制限はあるのか?」

「本当は全て持たしてあげたいのですが、人間の魂に乗せられるスキルの数には限りがあって、それも個人差があるんです」


 やはり制限はあるのか。ただおひとり様1つとかケチなことは言われなくて良かった。


「調べる方法は?」

「このサイコロですね。魂の空きを教えてくれるものです」


 と言って渡してきたのは黄色いサイコロ。少し透明感のあるものが1つ。


「最大は6個ってことか」

「恐らく最大になると思いますよ」


 賽の目は神のみぞ知るって聞いたことがあるが、これで出なかったらどうするんだろう。

 だが、その心配は杞憂だったようで、簡単に6の目が1つ。


「魂の空きが大きい人を選んだので」

「スキルの多さが強さの基準になるなら数が多いほうがうまくいきやすいのは当たり前か」


 まあせっかく良質な魂を見つけたってのに少し頭がいいだけのニート君だったのは残念としか言いようがない。


「さて、さっさと決めますか」




 と、言うわけで、数時間にも及ぶ厳選の結果


 刀

 鑑定

 鍛治

 料理

 状態異常無効

 再生速度超上昇


 の6個だ。


 刀は飛ばして、鑑定は知らないものを教えてくれるスキル。鍛治は鉱石から武器を作るスキル。料理はご飯を美味しくして調理を短縮できるスキル。状態異常無効はその名の通り病気や毒を無効にするスキルだ。再生速度超上昇は回復力アップといったところだな。


 んで、この刀ってやつは魂に収納出来る、その人固有の壊れない剣、らしい。つまりよく分からん。魂に収納ってなんだよ。


「バ○モノの子のクライマックスあたりで胸の辺りに入っていった刀みたいなもんです」

「あー」


 何となく理解出来たのでよしとする。

 僕がスキルを選んでる間、ずっと本に座ってて疲れたのか、ぐいーっと背伸びをしてから女神が口を開く。

主人公の名前を修正しました



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ