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短編集 1

 俺の名前は山鬼(やまき) (ジン)だ。名前を見れば分かると思うが日本人だ。ある日突然女神のサーリアとやらに呼び出されて異世界に飛ばされ

 た。それも魔王の仲間としてだ。一緒に飛ばされた妹は魔王の左腕を、俺は魔王の右腕を任されて魔王様と一緒に旅をした。

 魔王様は優しい人だった。妹はこの世界で人扱いされていたが俺は何故か魔人扱いされた。何でも緑の髪は魔人に多いらしい。この髪は染めたものだから生まれつきではない。

 そして勇者の手によって妹が討たれた。

 すぐさま魔王様が俺に魔法をかけて暴走しないように抑えつけた。何でも親族が殺された人は暴れ回るらしい。俺はそうなる前に感情を抑えられたのでよくわからない。

 それから1ヶ月ほどたった頃、魔王様が討たれた。魔王軍は滅ぼされたが魔王様によって俺は逃がされた。

 この右手のアザのようなものを通して俺に力を移したらしい。それを次の魔王に託してくれと頼まれた。

 次の魔王が自分のようになって欲しくないかららしい。

 だが俺は人間でそんなに生きられない。

 だから新しい右腕を作ってそいつに託すことにした。

 そのために俺はいくつかの魔人の村を周り交渉して右腕候補を作ることにした。できるなら何かを憎む心があって俺と同じ緑の髪がいい。


 それから100年がたった。今日は村に行く日だ。山に相棒のドラゴンを残して村へと向かう。村の大人達に山にドラゴンがいることをそれとなく流したはずだから山には誰も来ないはずだ。

 村へと歩いていると煙が見えた。

 何かがおかしいと思って村へと走ると騎士に村が襲われていた。どうやら俺のことがバレていたみたいだな。

 とりあえず1人だけでもいいから助けないと。

 周りを見渡すと騎士に襲われそうになっている女の子がいた。

 体が勝手に動いて騎士の背中に剣を突き立てる。


「お前、が、右腕か」


 そんなことを言いながら騎士は死んだ。

 さてどうしよう。とりあえずこいつを連れていくか。


「何を」

「いいから口を閉じとけ舌を噛むぞ」


 それだけ言って山へ逃げる。


 あの日から数日がたった。

 もうこの子の傷も治っているみたいだ。さすがの治癒力だな。


「お前の名前はなんて言うんだ?」

「マイン」


 マインか、いい名前だ。


「旅人さんの名前は?」

「俺の名前は…無い。好きに呼んでくれ」


 偽名として使っているあの名前を使おうかと思ったが止めた。

 この子にはあのネーミングセンスの無い名前を知られたくないからな。


 それから2人で旅をした。その間に教えた様々な技術をマインはどんどん吸収していった。

 ある村を訪れた時にマインがあの村を襲った騎士が勇者と一緒に来たと知ってすごく落ち込んでいた。と思ったらいきなり暴れだした。どうやら今まで受け入れきれていなかっただけみたいだ。

 まず俺を傷つけてから村を襲って壊滅させた。

 それも途中から楽しそうに殺していた。

 おそらくマインには憎くて殺しているようだが俺には楽しんでいるようにしか見えない。

 村が半壊した所で我に返った俺は魔王様が俺にかけた感情を抑制する魔法の構築に取り掛かった。魔法陣と呪文の両方がいる難しい魔法だ。これを魔王様は片手で一瞬で作り上げていた。俺にそんな芸当ができるはずもなく少し時間がかかった。だが魔法は構築でき、マインの感情を押さえつけることが出来た。

 一応この時の記憶を操作してなかったことにしておいた。


 それから俺はマインに魔王様の話を聞かせた。右腕を継ぐのはこの子だと思ったからだ。

 それと未来予知スキルの最後の1回を使って次の魔王の姿を見た。

 そいつはマインと殺しあっていた。2人はとても楽しそうに殺しあっていた。その魔王は黒い翼を持っていて飛びながら戦っていた。そしてマインは…間違いない、マインはその魔王のことを愛している。

 まあ、強い男を好きになるのはしかたないな。

 このことをマインに話しておいた。

 きちんと次の魔王に力を託してくれたらいいのだが。


 それからもマインに技術を伝え、知識を伝えた。そして俺が持っていた魔王様の力をマインに渡した。

 上手く使いこなし魔王様に託してくれることを願って。

 その後俺達は盗賊に襲われた。

 非力な人間となっていた俺はすぐにやられた。と言ってもマインを庇った結果だから悔いはない。

 最後の力を振り絞ってマインの感情の枷を外し、マインの頭を撫でる。


「次の魔王をお前は好きになるはずだ。そいつと仲良くしてやってくれ」


 聞こえているかわからないが最後にそれだけ伝えて俺は──


 マインに抱かれたままヤメガ・パイロは──死んだ。



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