表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/134

第20話 初の戦闘描写──思っていたよりも難しいな。前編

 ──今のマインを見る者がいれば可愛らしいと思うだろう。それくらい今のマインの笑顔は年相応の無邪気さに溢れていた。

  だがその無邪気な笑顔が紡ぐ言葉は


「勇者様、さっさと死んでください」


 ──狂気に満ち溢れていた。


 ───────────────────────


 は? 死んでってどういう事だ。というかなんでマインが僕を殺そうとするんだ。やばい混乱してる。まず落ち着こう。


 メシア)マスター、攻撃が来ます。


 ヒュッと風切り音がなり、剣の先が鼻先を掠める。

  あっぶねぇ。いくら僕が不死身に近くてもあの速度で切られたら死ぬ。死ぬのかな? 僕なら生きてそうな気がする。

 剣の振り方も素人とは思えないほど洗練されてるし、僕の天剣術と同じくらいがそれ以上じゃないかな。女神様の所で戦った魔獣よりも強い。アカギで防いでるがいつまで持つかわからない。何か、何か無いのか。この先手を取られた不利な状況に歯止めをかけれそうな物。

 

「っていうかマイン怖い。さっきから剣振るたびに「死んでください」って言うのやめて」

「…………死んでください」


  死ねってこんなに怖い言葉だったのか。本当に死にそうな気がするな。いや死にたい訳じゃないんだけどな。

  本当にどうする?剣術はマインと同じくらいだし体術はもう少し近ずかないと当たらない、遠距離の攻撃は……魔法があったな。

  いや魔法を女の子に当てるのは駄目な気がする。ファイヤーボールの弱いやつだったら大丈夫かな。


「ファイヤーボール」

 スパッ


 嘘だろ、絶対切断って魔法も切れるのかよ。弱くしたと言っても炎の球に変わりは無いぞ。チートだろズルいな。(お前もそれ持ってるだろ。)

  今のマインならアニメでやってた滝切りもできるんじゃないか?

  あと僕の絶対切断とマインの絶対切断が拮抗して火花が散ってすごく眩しい。


「何故僕らを殺そうとするんだ」


 戦闘しながら僕はマインに話しかける。何故かって?

  マインの隙を作るためだよ。マインの攻撃は鋭くて速いがメシアと天剣術の補助もあって喋るくらいなら出来る。


「君が魔人だから勇者である僕らを殺そうとするのか?」


 マインの剣筋がほんの少しだけ鈍った。そう言えば言ってなかったな。だが計画通りだ。 それとマインが魔王の右腕だということはアオイに伝えてないのでここでは言えない。


「私が魔人だと知っていたのですか?」

「ああ、王城で会った時から知っていた」


 マインが剣を捨て、赤いサバイバルナイフを取り出した。そしてそのナイフで切りかかってくる。今までの剣よりもさらに速く、そして重い斬撃が襲いかかってくる。


「そうですか、でも私が魔人なのは関係ないですよ」

「なら何故?」

「あなたが勇者だからですよ。私の両親が勇者に殺されたんですよ」


 ──マインがレンに殺すと宣言した時と同じ様に狂気に染まった微笑みを浮かべた。


 親を勇者に殺された? あの勇者がマインの親を殺したのか?

 やはり魔人は人間の敵だったのか?


 メシア)いえ、魔人は人間の敵ではありません。一部では魔人は悪として恐れられていますが。魔人は魔王の手下ではありません。魔王が従えるのは魔獣なので、メイキュリエは魔人を悪い者だと教えられて育ったのではないでしょうか。


 なるほど、でも説得はできそうだな。


「僕はあの勇者とは違う、魔人を襲ったりもしていない。だから落ち着け」

「何を言っているのですか?」


 マインが不思議そうにレンに聞く。


「勇者が憎くてあなたと戦っているわけではないですよ。あなたが強いから。戦うのが楽しいから。ただそれだけですよ。親の仇で殺し回っていたのは最初の少しだけです」


 そうか、親の仇とかじゃなくてただ単に殺したかったのか。


「あの勇者は人間だった。だから人間を殺したのか?」


 途中からマインが使い始めたナイフ、それには赤い血がこびりついていた。その黒く光る刃についているものはレンの血だが、マインの手が握っている柄、そこについている乾いた血は明らかに別の生き物の血だ。そしてその血は鑑定によると「人」だ。


 

「勇者が人間だから、と言うよりは襲ってくる騎士が人間だったと言った方が正確ですね。私が騎士を殺す度にさらに強い騎士が襲って来るんです。とても楽しい遊びでしたよ」

「今でも人を憎んでいるのか?」


 レンの質問に狂気的な笑みを浮かべながらマインが答える。


「もちろんですよ。今でも騎士や勇者は憎いです」

「憎んでばかりじゃ辛いだろう。復讐をやめて僕らと一緒に魔王を倒さないか。僕が君を助け…」


『ええ、私は世界を憎んでますよ。でも世界を憎んでいても人生は楽しいし、ご飯は美味しいですよ』


 マインの剣がレンのお腹の肉を少しえぐる。


 ちっ、全く動じていない。小学校のいじめられっ子はこれで泣きついてきたのに。それに戦闘の間も会話の時も笑顔を絶やさないでいる。本当にマインは僕を殺す気でいるんだな。でも、そうだとしても。


「そうか、でも僕はここで死ぬつもりはないよ」


 さてどうしよう。アオイを巻き込まないようにマインを無力化するのは難しそうだし。


 仕方ない殺すか。



第1話 プロローグ を投稿してから1ヶ月が経ちました。

いやーめでたい。ここまで続けてこれたのも読者の方がいてくれるお陰です。もしPVが1日1桁だったらここまで続いていなかったと思います。これからも投稿するので是非読んでください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ