第19話 魔獣討伐
「それよりも王都の外にある森で魔獣狩りをしませんか。新しい武器も試したいので」
「そうだな、じゃあ早速行くか」
という訳で魔獣狩りに行くことになったから、少し魔獣について知っておこう。
魔獣とはほとんどが獣の姿をしていて獲物の魔力を食べて生きている。ここが魔物との違いで魔獣が魔力を食べるのに対して魔物は普通に肉を食べる。だから見た目では違いはあまり無いらしい。強いて言うなら魔獣は普通の動物が化け物になった感じで、魔物は何でもあり。というか積極的に人を襲う生き物が魔物か魔獣で魔力を食べるのが魔獣、普通に食事をするのが魔物で魔物の中でも人に近いのを魔人と分けるのが1番楽だと思う。
「それで今回討伐するのは何ていう奴なんだ?」
「今回行くのはフェンリルの森なのでブラックウルフやウルガルムです。どちらも大きくて黒い犬の様な魔獣です」
「フェンリルって何?」
「えっ、知らないんですか」
知らないから聞いただけなのにすごい言われようだな。でも教えてくれるマインはやっぱり優しいと思う。
「フェンリルは神獣の一柱で陸にいる獣系の魔獣を支配している神獣です」
どうやら獣のボスをフェンリルがやってるらしい。あとメシア先生に聞いたところ神獣は3匹いるらしく、陸の神獣フェンリル、空の神獣フェニックス、海の神獣オケアノスの3匹らしい。皆とても強いがあまり人には危害を加えない、というか縄張りに入らない限り襲わないので敬われはするが討伐はされないらしい。
「それじゃあこの馬車で行くか」
「でも誰が御者台に乗るんですか…」
そうだった。誰が乗ろうかな。そう言えば錬金術は無意識で修得したんだっけ。それなら乗馬も修得出来るかな。
「僕が乗るよ。勇者スキルが働いて新しいスキルを修得出来るかもしれないから」
「気を付けてください。落ちたら死んじゃいますよ…」
いや落ちても僕は死なないと思うな。勇者スキルで防御力が上がってるし、ダメージを受けても超回復が一瞬で治してくれると思うけどな。
「そろそろ行きますよ」
「わかった」
「はい…」
さあ出発だ。と思ったんだけど。
「やばい、落ちる死んじゃう、落ちるぅぅ」
「れ、レンくん大丈夫ですか…」
「手網を握って少し引っ張ってください」
た、手網を握って少し引っ張る…おお、馬が大人しくなった。
メシア)新しいスキルの乗馬を修得しました。
やっと習得できた。どうやら手網を操る事が修得の条件だったみたいだな。まだドリフトとかは出来ないけど普通に移動するだけなら問題ない。
「それじゃあ、少し速度を上げるぞ」
「わかりました。あまり上げすぎないでくださいね…」
さて、速度を上げたお陰か思ったよりも早くフェンリルの森に着けた。
しかし此処がフェンリルの森か意外と普通の森だな。少し木が黒っぽいかな、でもマインが言ってたブラックウルフやウルガルムはいないな。
「なんで魔獣が1匹もいないんだ?」
「勇者様がいるから怖がって近づいて来ないのかもしれないですね」
「多分私がいるからですね…」
アオイが天使だから近づいて来ないってことか? 確かに天使は魔獣に恐れられてるかもしれないけど、僕の勇者スキルのせいでもあると思うけどな。
「これじゃあ試し斬りになりませんね」
そうだな。試し斬りする時に武器の紹介をしようと思っていたけど延期になりそうだな。
「もう遅いのでここで野宿ですね」
「野宿ですか…」
「テントを持ってきたからそこで寝るぞ」
僕には収納があるからテントを組み立てた状態で入れられるんだよ、テントが売ってた店で1番でかいテントを入れても余裕がある、というか何も変わった感じがしないんだよな。
「それじゃあ僕はこの部屋を使うから、2人とも好きな部屋を使って」
「わかりました…」
「…………………」
あれ? マインが黙ってる。そう言えば少しいなくなってからずっと俯いてたな。気分でも悪くなったのかな。
「勇者様、さっさと死んでください」