第13話 本物の異世界へ
「いってらっしゃい」
僕らが魔法陣に乗ると女神様がそんなことを言った。すると眩い光が魔法陣から溢れて気がついた時にはまたあの白い部屋だった。違いがあるとすれば扉があることと目の前に人がいることで他はそんなに変わってない。そして安心して欲しいどうやら今回は右手に人形を持っていない、もちろん右手にも無い。つまり今回は目を見て口を使って話し合うことができるようだ。(いや当たり前だけどな)
前にいる人はヒラヒラしたドレスを着ていて胸元に大きな宝石付きのネックレスを付けていて緑の石が嵌め込まれた杖を持っていた。金髪の髪の上にティアラを乗っけて慧眼で僕らを見ている。僕と同じくらいの年齢の女性だ。
「初めまして。私はシャリン・フレード、この国の姫です。シャルと呼んでください。我がフレード王国にようこそ勇者様」
お姫様が見事なカーテシーを見せる。
おお、テンプレだ。お姫様だ、ようやく異世界転移っぽくなってきた。でもフレード王国か、うん知らない。まずはこの世界の地理を知らないとな。
メシア)でしたら私が説明致します。まずこの国、フレード王国を中心とすると東にグガン帝国、西にメナール法国、南にルーザン獣王国。そして北には国が無く魔王の支配する魔の森となっています。
なるほど。じゃあ目指すは獣王国かな。獣耳がいるだろうし、ささっさと魔王倒して向かうか。
「まず、勇者様の名前を教えてくれますか?」
「僕はクレナイ レンです」
「私はサクラミネ アオイです。サクラミネが家名です…」
えっなんでそんなことをわざわざ言うの?
メシア)この世界では名前が先で家名が後なので言わないと間違えられるからだと思います。
それを早く言って欲しかったな。てことは葵は気付いてたの?
(えっと、私は前もってメシアちゃんに聞いてたから…)
あっ念話が使えるんだっけ、てか葵は意外と抜け目ないな。ちょっと僕も気にしといた方がいいな、異世界に来て少し混乱してた。
(それよりもレンくん、早く言い直さないと間違えられちゃうよ…)
(それはやばい。葵に初めて蓮くんって呼ばれた時以上の驚きが出そうだ)
「僕もレンが名前でクレナイが家名です」
「ありがとうございます。それではクレナイ様、サクラミネ様、宴の準備が出来ております。魔王についての説明もありますので付いてきてください」
お姫様が白い部屋から出てどこかへ向かう。
宴か、お酒は飲んだことがないからどんなのか想像もつかないな。それよりも姫様にあったのは初めてだな、葵はどう思っているんだろう。ってめちゃくちゃ緊張してる。すごいな、、あのロボットみたいな動きどうやってるんだろう。
(レ、レンくん、お姫様に様付けされましたよ。すごく緊張しますね…)
(そうかな。言うほど緊張しなかったけどな)
(だってあんなに偉そうな姫様に様付けですよ。生まれて初めてです…)
(そっか。僕は葵と違ってギルマスやってるからな。まあ、僕も毎日言われてたら慣れたし、葵もすぐ慣れると思うよ。後さっきから蓮くんがレンくんに変わってる気がするんだけど、何で?)
(よく分かりましたね。耳で聞いたらどっちも一緒なのに。まあ異世界だしカタカナの方がいいと思ったので…)
(そうか、なら僕もアオイって呼んだ方がいいのか?)
(いや、レンくんはそのままでいいですよ…)
でも変えようかな。せっかく異世界に来たんだし。
(そうか、わかった。でもやっぱり変えるよ)
(そうですか…)
メシア)そろそろ到着します。
おっ、どうやら話してる間に着いたみたいだ。ってデカっ。5メートルは軽く超えている金色のすごい細かい細工まで施してある扉がそこにあった。すごいなでもこんなにでかい扉が食堂の扉なわけがないからな。多分客間かその類だろう。
「では開けてもらえますか」
「「はっ」」
お姫様が扉のそばに居た2人に声をかけたが少しやってみたいことがあった僕は2人よりも先に扉に駆け寄りガバッと開けて。
「初めて会うな王よ、我はレン クレナイ、今代の勇者だ」
「レ、レンくんどうしたの大丈夫?キャラが変わってるよ…」
「いいんだよ。こういう時は決めゼリフの一つでも言わないとダメだろ」
「そうでもないと思うけど…」
やはり女の子のアオイには男の浪漫は分からなかったか。
それで中にいた王様だけど、金色の椅子に座って杖を持っていた。杖の先には沢山の宝石がついていてネックレスや指輪もしていてすごく高そう全部で何円位するんだろう。そんなことを僕が考えてるうちに王様は混乱から覚めたみたいでようやく自己紹介をしてくれた。
「ああ、我の名はギルギガン・フレード。この国の王であり戦士だ」