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第113話 四天王

 そこは木でできた家で、そこに3人の人物が椅子に座り、1人は立っていた。


「サーリアがやられたか」


 座っている3人のうちの1人、黒いマントの男性がそう言った。


「まあ、姉様は四天王の中でも(メンタル的に)最弱だからね」


 角のある黒ドレスの女性が呟き、


「こんなもの私達で片付けてしまえば済むことですよ…」


 金色の目をした女性がそう返す。

 まあ、そしてそんなやり取り(茶番)を聞かされていたマインはプルプル震えているわけで。


「な、なんなんですかみんなして。泣きますからね。いくら私でも泣きますからね」


 うわーん。と涙を流しながらマインが部屋から出ていってしまい、部屋にレン、サリア、アオイと倒れたサーリア、それに黒い物体が残った。

 これだけで何があったかわかる人はおそらくこいつらに毒されすぎだとは思うけど、ほとんどの人は分からないだろうから説明しよう。


 まず、事の発端はレンの


「マインって料理スキル使わなかったらどんな料理になるんだ」


 というセリフ(禁句)から始まった。


 そしてその時レンはアオイやマインと共に執務室で仕事をしていて、そろそろお昼だしやってみようということになった。


「さて、今日のお昼はハンバーグです!」

「昼にしては重くないか?」

「ちょうど材料があったので…」

「ああ、なるほど」


 マインが材料を虚空(レンの収納の劣化版。ある程度の魔力量があれば使用可能。保冷保温は付いているが時間は止められない)から材料を取り出す。

 牛と猪の肉に蝙蝠の爪、ペップーの木の実、などなどだ。どれも普通の食材でこいつらお得意の狂気じみたものは何も無い。これを使って辛い以外の味が出せるならそれは奇跡だね。


「いや、ちょっと待って」


 しかし、この世界に来て体感時間が半年程のレンがストップをかけた。

 ボクの仕事(説明)が増えるからスルーして欲しいんだけどね。

 レンが1つずつ指をさして確認していく。


「肉……は、まあ、ブロックの状態だけどミンチにすることぐらい出来そうだからいい。ペップーの実も言ってしまえば胡椒の異世界版だからいいんだけど」


 残った1つをピシッと指す。


「この明らかに獣の指を切り取ってきました、的なやつはなんなんだ?」

「え? ただの塩ですよ?」

「塩って粒状のあれだよな。こっちにあるのは知ってるぞ!」


 えーと、レンが言っているのはレッドバッドの爪のことだろう。

 その爪は水晶のように透き通っており、端の方に肉片がついている。


「あ、えーと、レンくん、レッドバッドの爪は塩でできてるんですよ…」

「は?」

「だからですね…」


 レッドバッドは吸血蝙蝠の一種で洞窟に住んでおり、時々洞窟に入り込む獲物の血を吸ったり、外に出たりして生活している。

 そしてレッドバットは血液しか摂取せず、骨が無い。しかしその代わりとして血液中に含まれる塩分を結晶化させて骨の代わりにしている。爪や牙も同じようになっている。

 ということをわかりやすくアオイが説明してくれた。


「うーん、メナール法国の向こうに海があるんだからそこで塩をとったらいいんじゃないか?」

「確かに海でも塩は取れますが海には塩以外も沢山含まれているんですよ。そんな不純物を純粋な塩に変えるよりも元々純粋な塩を取った方が早いんですよ」

「洞窟に行けば沢山落ちてますからね…」


 そして説明が終わると同時に部屋から押し出される。


「俺はいたら駄目なのか?」

「駄目なんですよ。こういうのは乙女に任せて男は部屋でゆっくりしていてください」


 どうやら乙女心的に男のレンに料理で負ける訳にはいかないようだ。

 綺麗に追い出されたレンは仕方が無いので数ヶ月前まで凍った状態で居座っていたリビングに移動する。

 と、リビングの前で金属質な音を聞いて立ち止まる。


 カンカンカンカンカン

 キンキンキンキンキン


 と、部屋の中で金属同士を打ち合わせるような音が鳴っている。


 もしかして暗殺者の類か?

 と、好奇心(レンに不安などない)にかられて部屋を開けてみると


 女神姉妹が両手にフォークとナイフを持って


「ハンバーグ! ハンバーグ!」


 とか言いながらカチャカチャ音を立てていた。

 あれ? この2人ってこんな小学生キャラだっけ?


「えーと」


 レンが「とりあえず死ね」という言葉を顔に貼り付けた状態でサーリアにアカギを、サリアに手のひらサイズの恒星をプレゼントするが、アカギはナイフで弾かれ、恒星は消滅させられてしまった。


「んで? なんでここに居るんだ?」

「いや、食べ比べするって聞いたからね」

「これは来るしかないってわけですよ」


 レンと違ってワクワクドキドキを顔に貼り付けたサーリアのやることに毎度毎度反応するのが面倒臭くなったのか自分の席に座る。



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