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第98話 戦争の終わり

 同盟、戦術の話し合いが終わり、会談が終わる。

 そして会談の間エリザベスの補佐をしていた騎士達が部屋を出て部屋の前で待機する。

 同じようにライトも部屋から出ていく。

 部屋の中にはエリザベスとアオイの2人だけが残る。

 これは文通を良くする仲がいいアオイとエリザベスに2人だけで話が出来る場を作ってあげようというライトたちの配慮である。


「それでライトはどうでした…」


 2人きりになった場でアオイがそう切り出した。


「そうね、スキルはあまり持っていないけど意外と筋肉もついていてあんなに強い反動を持った武器を上手く操っていた。それに顔も整っている」


 エリザベスが紅茶が入ったカップを机の上に置いて扉の方を見る。


「そして騎士と違って教えてもいないのに2人きりにしてくれる、そんな気の利く男でもある。優しそうな男ね」

()()()としてはどうですか…」

「もちろん今すぐでも欲しいわよ」

「それは良かった…」


 エリザベスが1枚の紙を取り出してアオイに見せる。


「名目上の指揮は魔王が取って実際に指揮を取るのは私でいいのね」

「はい、本当に困ったらライトにでも言ってください。きっと助けてくれますよ…」

「できるだけそうならないように頑張るけどね」


 ───────────────────────


 さて、いきなり話が進むが、同盟軍対法国の戦争が終わった。

 あれ? 戦争の話がこの章のクライマックスじゃなかったのか?

 と、疑問に思う方をいるだろう。

 確かに普通なら国対国の戦争などとても面白いネタになるだろう。

 だがレンたちがいるこの国は普通ではない。

 長篠の戦いのように銃をふんだんに使った戦い方になり、全く面白くないただの殲滅作業になった。

 もちろんそんなことで(ほとんど見ているだけの)戦闘狂のレンと快楽殺人者のマインが満足できるはずもなく、帰り道にあるフェンリルの森で殺し合うことになったのである。

 うん、訳がわからん。


「レン様と殺し合うのも久しぶりですね」


 マインが筋を伸ばしながらレンにそう言った。


「そうだな、初めて戦った時から本格的に殺しあったのは1度もなかったからな」


 すごく効率よく筋を伸ばしてるマインと違い、レンは普通のラジオ体操(よく知らないので少し変)で筋を伸ばす。


「さて、準備は大丈夫ですか?」

「ああ、問題ないよ」


 レンがアカギを構える。だがマインは準備体操を終えた姿勢のまま動かない。


「あ、それとルール決めないか?」

「ルール? なんでですか?」


 普通の殺し合いではルールなど決めない。一応この殺し合いは一騎打ちということになっているので1人で戦うというルールがあるのだがそれは当たり前なので、ルールはないはずである。

 ただこの2人は少しおかしいので


「さすがにどちらか片方が死ぬまでだと長くなりそうだし、何か決めた方がいいだろ」

「そうですね、どちらかが死ぬか、どちらかが10秒間戦闘不能になったらでどうですか?」

「そうだな、それでいい」


 なんかプロレスみたいなルールを追加しながら2人は向かいあう。


「あ、そう言えばレン様、」


 マインが頬に手を当てながらレンの名を呼ぶ、


「後でキスしましょう?」

「なっ、」


 レンが動揺した隙にマインがレンの近くまで移動し、自分の服の裾に手を突っ込んで剣を引き抜く。

 そしてアカギを持ったレンの手首を切り落とし、自分と反対側に向けて全力で蹴り飛ばす。


「毎回毎回手首から再生して面倒ですからね、剣ごと飛ばさせてもらいますよ」


 手を切られた時にいつもの作戦で行けると思ったレンは少し動揺する。だがそれも少しだけだ。すぐに切り替え、自分とマインの間に太陽を()()()()

 それに気づいたマインが即座に離脱する。


「なるほど、収納から出す時間が短縮されただけでもそうとう速いですね。それが言っていたスキルですか」

「そう、これが『恒星創造(クリエイトスター)』の能力だよ」


 レンは太陽を収納の中に沢山作っていた、もっとも太陽と言っても極限まで圧縮したファイャーボールで核融合を起こしている恒星とは言えない。たがレンが使い続け、火属性魔法のスキルのレベルが上がり、主神の強化によって本物の太陽を創り出す力を手に入れたわけだ。


「さて、というわけで押し切らせてもらうぞ」


 レンが攻めるためにマインに手を向ける。

 するとマインの周りに木の枝が集まり襲いかかってくる。


「なっ!」


 寸前でマインが回避するがそれでもなお執拗に追いかけてくる。

 どうして枝が、森がマインを襲うのか。

 皆さんは覚えているだろうかレンが手に入れた植物操作というスキルを、今までレンすらも忘れていたスキル。それを使用したのだ。

 そして切り落とされた手首を再生し、アカギを呼び戻す。

 もちろんレンにマインの動きの予想など出来るはずがない。予想し、植物たちを操っているのはメシアだ。天剣術の出す最適解に沿って出されるレンの剣撃、それを避けた場合を想定して動かされる枝たち。

 だが、それだけのことをしてもまだマインを殺すことは出来ない。


「相変わらず化け物だな」

「技術ゼロでここまで強いレン様の方が化け物だと思いますよ」


 女神と対等以上に戦えるレンが1人の少女に苦戦するのはおかしいんじゃないか?

 と、思う方もいるかもしれない。確かに魔王が10才の女の子に負けるのは想像出来ない。だが今回は場所が悪い。サーリアと戦った時のように周りに何も無い広場のような場所ではなく木々が生い茂る森で木を利用した三次元的な高速移動をするマインの姿を追うことは難しい。また周りへの被害を考えると以前のような魔法の連発は出来ない。



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