第96話 宣戦布告
とたとたとたとたとたーっと緑の髪の少女が廊下を走っいた。そしてある部屋の前で止まると扉をガバーと開けて
「レン様、面白…大変な事が起きましたよ」
「今面白い事っていいかけてなかったか?」
「た、大変な事ですよ」
一度変なことを言いそうになったがすぐに本題に入る。
「メナール法国がこの国に宣戦布告をしてきたんですよ」
「つまり戦争?」
「そうです。なんでも『サーリア様の敵となる屑共に正義の剣を』らしいですよ」
「本気で殺したくなってきたなあの女神共」
サリア達にレンが殺意を感じているが残念ながら戦争は待ってくれない。
「それで戦力差はどれくらいあるんだ?」
さすが戦略ゲームもやりまくったレン、話が早くて楽でいい。
「敵の騎士が約1000。それに対して私たちの戦力は騎士が200とメイドが100ですね」
「なあ、なんでメイドが戦力に入っているんだ?」
「メイドは戦えてなんぼだからです」
マインがまたまた訳がわからないことを言い出した。まあ確かに戦えるメイドはいるにはいるがさすがに100人は多すぎじゃないかな。
「どこかの魔王さんが殺しまくったせいで騎士の数が少ないんですよね」
「う、まあ、それは仕方ないかな、うん」
仕方なくはないと思うけどな。
「とりあえずどうしてこうなったのかサリアに聞いてみるか」
サッとスマホを取り出してサリアに電話をかける。
『あれ? クレナイさんじゃん。どうしたの? 浮気ならやめた方がいいよ。まあ、私は可愛すぎるから好きになっちゃうのも仕方が無いと思うけどね』
かけてすぐにサリアのからかいが来るのだがレンは完全にスルーする。
「なんかメナール法国から宣戦布告されてるんだけど、なんかしたのか?」
反応がなくて少しむくれていたサリアだがレンの言葉を聞いて真剣に答える。
『それに関して私は全く関係ないよ』
「嘘だろ?」
全く信じていないレンにものすごいうざーい感じでサリアが返す。
「私じゃなくて姉様だからね。私は関係ないんだよねー」
最初のからかいもスルーしたさすがのレンもこれにはイラついたのか部屋のソファで紅茶を飲みながら電話をしているサリアに向かってアカギを振る。
が、
「うーんまだまだだね」
「クソっ」
サリアは赤い魔法陣を右手に出しそれでレンの刀を受け止めた。
アカギには絶対切断が付いているためどんなガードも意味が無い。が、サリアのように刀の動き自体を止めるような魔法には全く意味が無い。
まあ、どれだけ斬れ味がいい刀でも真剣白刃取りが出来ることからも分かるだろう。
「それでなんでサーリアがこんなことをやり出したんだ?」
「いやあちょっと前にクレナイさんと実際に戦って、今度は戦争の指揮がやりたいって言い出してね。面白そうだからやることにしちゃった、てへっ」
「うわぁ、サリアのてへぺろなんか全くいらないと思ってたけどやっぱり実際に見るとちょっと可愛、あっ、マインさんごめんなさい」
セリフの最後に付けられたサリアのてへぺろにレンが素直な感想を言おうとしたが突然首に突きつけられたマインの剣によって中断される。
意外とマインって嫉妬しやすいんだよなぁ。
「あ、だからできるだけクレナイさん達が出てこない方がいいんだよね。今回やりたいのは戦略ゲームであって一騎当千は必要ないからさ」
「それにしては戦力差がありすぎないか?」
5倍だぞ、5倍。っとレンが続ける。
どうやらメイドは数に入れていないみたいだね。
「もちろんわかってるよ。だからグレン魔導国と同じくメナール法国に接している国にも宣戦布告をしておいたんだ。その国と同盟を組めばいいんだよ」
レンが指折りながら接している国を思い出す。
「接してる国って言うと……ここと…グガン帝国…ルーザン獣王国…ってまさか」
「そう、今クレナイさんが思いついた国だよ」
「本当にケモミミ王国に戦争をふっかけたのか!?」
「うん、ごめん、さっきの発言撤回させてくれないかな。帝国の方だよ」
「こんなことをしてる場合じゃない。今すぐメナール法国を滅ぼしてケモミミ達を救わねば!」
「とりあえず落ち着いてください」
マインがレンの胸のあたりを全力で殴る。
少し肋骨が折れた気がするがまあ、レンだし大丈夫だろう。
「ああ、まあ、そんなわけで帝国と同盟を組むのをおすすめするよ」
それだけ言い残してサリアは帰っていった。
さてレンたちはどうするのかな?
と思ったらレンが突然どっかのアニメの軍服(帽子付き)を出してきて早着替えを見せ、これまたどこから出してきたのかメナール法国、グレン魔導国の国境線付近の地図を取り出して机の上に広げ始めた。
あれ? ちょっと本格的すぎないか?
「これがこれから戦争になるであろう地図だ」
「あれ? メナール法国との同盟の話はいいんですか?」
「その件なら既に念話でアオイに伝えてある。数日後に会談をして同盟を結ぶかどうかを決める。だからまずはこの辺の地理を見ておかないとな」
いつも以上に真剣なレンだがそれが何故かは、わかりやすい。
「(すごいですね。レン様がワクワクしているのがヒシヒシと伝わってきます)」
まあ、ニッコニコしてるしなー。