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第92話 デート

 そこはグレン魔導国、魔王様とその従者である天使が治める国だ。

 その王都である程度有名なカフェ、そのテラス席に男女のペアが座りお茶を楽しんでいた。

 男は高校生ぐらいでギルド公認の冒険者の服で真っ赤な剣を持っていた。そしてルビーのような綺麗な紅茶を飲んでいた。

 女の方は緑のロングスカートに白いTシャツの可愛い緑髪の少女で黒い剣を椅子に立て掛けていた。そして飲んでいるのはホットミルクだ。


「で、レン様。あれを見てどう思いますか?」


 レンはマインの指さした方向を見る。

 そこでは一組のカップルが楽しそうに武器屋で買い物していた。

 選んでいるのは剣のようだが正直言って本気で選んでいるようには見えない。

 2人共剣を選びつつただイチャついているだけだ。


「ふむ、ギルにはこれが似合いそうですね」

「そ、そうだな。というかリリアさん近くありませんか?」

「普通ですよ」


 ウガァ

 ん?何か今上から変な声が聞こえてきたような…

 ああ、なるほど。独り身の作者が羨ましすぎて壊れたのか。馬鹿みたい。

 さてレンたちのもとへ戻ろうか。


「ふむ、デートだな」

「私達はデートしないんですか?」

「いや、今がデートだと言ってもいいんじゃないかな?」


 マインがレンの服をビシッと指さす。


「なんで『安い』『丈夫』『ダサい』が売りの冒険者セット、税込銀貨3枚、を着ているんですか。デートだと思っているならもっといい服があると思うのですけど!」


 レンの服装を正確に言うと魔物の革で作られていて、所々に小さな鉄のいたが入ったTシャツでズボンもナイフの鞘と沢山のポケットが付いた動きやすさ重視の服。そしてポーションなどを入れるためのポーチまで付けている。

 まあ、デートに着てくる服ではないのは確かだ。

 そしてなんでそんな服を魔王が着ているのかと問えば変装をしているためと返ってくるだろう。


「え、だって動きやすいしこの服装の人いっぱいいるじゃん」


 それを言ったらジャージやスーツ姿でもいいことになるぞ。

 そしてマインはジャージやスーツ姿でのデートは嫌いなタイプの魔人だったようで


「それなら明日、服を見に行きましょう」


 突然マインが提案した。


「何故服を?」

「私達も付き合っているんですからデートくらいしないと行けないんですよ。そのための準備です」


 ───────────────────────


 ということでレンとマインはデートをすることになった。

 これで初々しい2人のデートが見れると思った方。残念だがその期待には応えれそうにない。こう見えてマインは思春期に入りそうな年代でこういうデートなどに関する雑誌をレンに告られた日からいくつか読んでいる。


 さてそんなマインが集合場所に選んだのは王都の真ん中にある広場の噴水前である。

 まあ、一緒に住んでいるので集合場所などはどうでもいいのだがそこはマインが譲らなかった。


 噴水前に先に来たのはマインだ。

 赤と黒のチェックのミニスカートに黒のフード付きロングTシャツだ。

 ミニスカートに慣れていないのか時折スカートの裾を弄っている。

 そしてその数分後にレンが到着した。

 レンの姿は灰色の短パンに赤と黒のチェックのTシャツ、選んだのはメイド長(すなわちミィとナイナ)で色がほとんど同じなのは2人の配慮だったりする。


 レンたちが入っていったのは様々な服を扱う服屋フクール。

 店内に入ったレンたちを迎えたのは沢山の服たちだ。


「それでレン様にはこれが似合うと思うのですが」


 いつの間にかマインがいくつかの服を持っていた。

 それをレンに当てて試していく。


「やっぱり黒と赤が一番似合いますね」


 そこに従業員がすっと入ってくる。


「今日は何をお探しでしょうか?」

「デートに着ていく服を買いに来ました」


 てっきりデートしに来ているのだと思っていた従業員は少し動揺する。


「え、こちらの方は…」

「私の彼氏です」


 彼氏と一緒に服を選びに来る。それってデートとは言えないの?

 と混乱し始めた従業員だがすぐに回復して仕事に戻る。元々魔王様が来るからと一番古参の大ベテランが当たっているのだ。この程度で狼狽えたりはしない。


 とりあえず従業員に渡された服をレンが着る。

 渡されたのは黒のズボンに黒のシャツ、そして裾の部分がボロボロになっている赤いマント、真っ赤なレザーグローブ。

 着てみるととても似合っている。そしてシャツの背中には穴が空いていて翼を出すことが出来る。

 まさにレンのために用意されたような服だ。


「お似合いですよ」

「本当に似合ってますよ! やっぱり黒が似合いますね、レン様」


 従業員とマインがレンの服装を褒める。

 レンも久しぶりにマントを付けたせいか心做しか嬉しそうだ。


「じゃあこれをくれ」

「それとこれもお願いします」


 そう言ってマインが持ってきたのは今レンが着ているものと同じものをセットで2セット。今着ている分も合わせたら3セットだ。

 どうやら相当気に入ったみたいだな。

 そして精算を済まし、2人は屋敷へと帰っていく。


「これで次のデートはバッチリですね」

「次があったらな」


 そしてまた平穏な日々が過ぎていく。

 しかし全てのものに終わりがあり、この平穏にも終わりがある。それがいつくるのか、それを私たちは楽しみにしている。

 というかっこいいセリフを言ってみたかったリーフィンです!



実は昨日でちょうど半年でした。

次に目指すのは100話ですね

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