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「末の神ご自身が邪魔立てするとは!」

 ナイジェルニッキは再び立ち上がると、エディラに迫った。サグレスはシナーラと目を見交わすと同時にナイジェルニッキに体当たりをかけて足止めした。流石のナイジェルニッキも2人がかりの攻撃には倒れないように踏みとどまるのが精一杯だった。

「こしゃくな!」

「エディラに触れさせる訳にはかない!」

 必死のサグレスとシナーラだったが、直ぐに一人ずつ引き剥がされ、甲板に叩きつけられる。後も見ずにナイジェルニッキはエディラに近づくと、すでに剣の切っ先がエディラのすぐ胸の上まで迫っていた。

「やめろぉ」

 サグレスが立ち上がり、近寄ろうとするがナイジェルニッキが剣に手をかけるのが先だった。刃を躊躇なく掴む。しかし、その手は何かに振り払われる様に弾かれた。その時には刃の切っ先は真っ直ぐエディラの胸に突き立っていた。そのままゆっくりとエディラの体の中に埋まり込んでいく。

 誰もが息を飲んだ瞬間。辺り一面神々しい光に包まれ、2頭立ての戦車チャリオットがガチャガチャと馬具を鳴らして天空高くを騒々しく駆けて来た。戦車を引くのは2頭の翼持つ天馬だった。そして<我が女神号>の甲板には忽然と一人の男が現れていた。顔全体を覆う髭のせいで、年齢不詳である。

「突然すまないが、このまま見過ごす訳にはいかなくてな。そうだな、そこの君。悪いがこの剣を引き抜いてくれないか?」

 穏やかだが、毅然と言い放つ男が声をかけた先にいたのは、シークラウドだった。

「え?俺?」

「そう。このままだとまた、女神の血統にこの剣が封印されてしまうんだ。ところが、ファンの呪いのせいで誰もこれに触れないときたもんだ」

「馬鹿な!どういう事だ?」

 ナイジェルニッキはこの現れた男に掴みかからん勢いだった。

「お前さんにも申し訳無いが、この剣をこの地に隠したのは再生の女神ファンだ。彼女は剣を自分の血統の中に隠していたんだな。有難くもお前さんが見つけ出さなきゃ、俺たちにも行方は分からないままだったんだが」

「見つけたのは私だ、それは私の物だ!」

「そうは言っても打ったのは俺だ。そして、これはシグルスの為の剣だ。悪いがお前さんには渡せない」

「ザース!いつまで待たせる気だ!門を閉めるぞ!」

 その時、天空の戦車から声が降って来た。

「ザース?」

 誰かの疑問を拾って、男が一礼する。

「挨拶が遅くなったが、俺は刀鍛冶のザース。そして、これが俺の一世一代の剣」

「刀鍛冶?戦神ザース…?フェナ…なのか?」

「上のやつも…な」

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