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「これは……」

 突然視線の先に大きく花開くかの様な着弾光にセドフは思わず、親友を振り返った。そこには同じ様に驚いた顔のシスヴァリアスがいた。しかし、すぐにシスヴァリアスは不敵な笑みを浮かべた。

「まさか……ソルランデット殿か?」

「まぁ、そうだろうな」

「流石、貴方の息子と言うべきか、英雄ダイゥェンの子孫と言うべきなのだろうか。先が楽しみだが、貴方の最年少記録は破られたのかな?」

 そう言いながらセドフはシスヴァリアスに出会った頃を思い出していた。二度目の出陣で必要に迫られて二人で城塞の砲台へ向かった事がついこの間の事の様に思われた。その後、イングリアは何度も海から襲ってくる脅威を戦い抜いて来たのだった。そしてそれはこの時代の英雄とも呼ぶべき2人にとっても共に戦った歴史だった。

「うーむ。若ければ良いと言うものでも無いさ。結果が全てさ」

 セドフの言う事にやや傷ついた様な振りをしながらもシスヴァリアスの目は敵陣を凝視している。

「戦況が変わるぞ。ここから一気に畳み掛ける。陣形を保ちながら前進せよ。やつらを湾の外へ追い出せ」

 そして、小声でセドフに囁く。

「ヒヨッコどもに親の力量を見せつけないとな」

 その一言にセドフの口元は僅かにほころんだ。


 前線からやや離れているとは言え、その着弾は<我が女神号>をも十分に驚かせていた。

「シスヴァリアス邸からですね」

 エスメラルダの声が心なしか弾んでいる。

「親父殿も元気らしいな」

 ゲオルグのつぶやきをイーグルが否定する。

「いや。あの中央の船に提督旗が上がっている。前線に出ているんじゃ無いだろうか?シナーラ見えるか?」

「はい!提督旗とその下にセドフ船長の旗も上がっています!」

「よし!敵の陣形が崩れてくるな。逃げ出す船は無視して、あの中央の船まで一気に攻めいるチャンスだ。エディラは悪いが下に行っててくれ」

「嫌よ!皆んなが戦っているのに、私だけ一人船室なんて。私もここにいる!」

 ゲオルグが何か言いかけた時、逸れた矢が<我が女神号>へと飛び込んできた。エスメラルダが駆け寄って手にした剣で払い落そうとしたその時、強いつむじ風が起こって、矢は跳ね返される様に海面へ落ちていった。

「あ!スレイ!」

 皆の目には只のつむじ風に見えたものが、シナーラにはその中心の少年がはっきりと見えたのだった。

「なんかこの船には色々曰くがあるって事だよな。もう行くしか無いだろう!?」

 サグレスの目は真っ直ぐにゲオルグに向けられている。ゲオルグは気持ちを決めるかのように一つため息を着くと「行くぞ」とだけいった。甲板の全員が歓声をあげた。

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