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公爵令嬢は我が道を行く  作者: 月圭
第三章 愛の化物
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3/12 嵐の前の、


 ……いやすっごい脱線したけど。お祭りに参加したからと言って義務は放棄してないよ。仕事とかはちゃんとやっています。勤労少女です。迷惑、かけてない。働き者だもの。だってほら、使用人さんたちと一緒に行ったりもしてるし! たまにすごく生ぬるい目で見られることもあるけど楽しいことは全力で楽しむのがランスリー家。だって転移で一発だから楽なものだ。お蔭さまでお祭りガイドブックが一冊書けそう。本気で書いて売り出せばまた一つ目玉商品が生まれそうだ。


 ……領主代理殿? 領内での祭りには参加してるみたいです。ただし転移で領外へは連れて行かないけど。だって彼の前で本性さらけ出してないし。まあ確かにこき使ってはいるけど基本ホワイトな職場を目指しているのでそういう時は休暇みたいな感じで休んでもらっているのだ。


 まあそれはいいとして。


 脱線も極まって一体何の話をしていたのだったか忘れてしまった。

 祭に血がたぎるのがいかんな。まあ超楽しみなんだけど。屋台の食べ物って高くても買いたくなるよね。


 じゃなくて。


 祭について熱く語りすぎて華麗に話が祭りのすばらしさにリターンするところだった。

 出発点に戻ろう。脱線事故こわい。

 ……えーっと。

 ……。………。


 ……あっ。こうして長々と祭りについて語ったけども、まあ要はこれらの祭りで、私は毎年毎回街に繰り出しては領民に混じってどんちゃん騒ぎを繰り広げているという話……じゃなかったね、はい。


 うん、そんな祭りの一つ、『焔の祭り』が迫っております。


 それまでにすっきり面倒事に片を付けたいなあ、と漠然と思っている今日この頃。そうしたら気がかりなく騒げるからね。ていうか気がかりなく騒ぎたいじゃん。楽しいことは全力で楽しむのがランスリー家なのだからして。


 だから準備をそれに合わせて整えてきた。

 でも最後の一手は、実は向こうから動いてもらわなきゃいけなかったりする。向こうから動いてもらわなきゃいけないっていうか、向こうの用意が整っていないと計画が次に進まないというか。


 ぶっちゃけ祭までに片が付くかは向こう次第だったりする。迅速に働け、タロラード王弟公爵及び最古の『魔』。


 まあ、仕方ないから今は執務にいそしむけどね。


 さて、ジルの手紙はもういいからそろそろ次の……


 と、手紙の山に目を戻し、次の封筒を取り上げたときだ。


「……おや」


 思わず声を上げた。


 おや、おや、おや。

 ほほう?


 上等な紙で出来た封筒。先ほどまで見ていたジルからのそれと比べても遜色がない。裏返して、封蝋を確認する。


 ――そうして、私は唇の端を吊り上げた。


 噂をすれば、だ。


「――やっと、きた」


 そう笑った私は、しかしあまりにも悪辣な顔だったとメリィに怒られたのは、余談である。














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