表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公爵令嬢は我が道を行く  作者: 月圭
第二章 家族の定義
60/661

2/24 快楽主義者の娯楽


 さて、その誘拐犯な子爵さんですが。


 そんなに目立つ立場の人じゃないし大したこともやってないし、自滅しそうな感じもあったからほっといた、というか目的ばれて警戒されると動きにくくなるから、全然違う角度からからめ手で攻めてってたところだった。大した力ないし、そもそも没落寸前だし、そんなに難しい作業じゃなかったんだけども。


 たた、鼻だけは利いたっていうか、プライドなんてなかったのねっていうか。外堀埋めるのがそろそろ完了かな♪ってところで、自分の現状に危機感感じてこの子爵はタロラード王弟公爵に泣きついた。ランスリー家の存在は判ってなかったけどこのままじゃ自分没落するっていうのはわかったみたいなんだよね。


 いや、気づいたのは褒めてもいい。その嗅覚は貴族として大事だ。でもその後がいただけない。だって他力本願。踏ん張れよ。もしくは埃を落として真っ当に生きろよ。そういう方向の逃げ道なら用意していたのに。


 まあともかく根性なかった子爵は泣きついて、王弟公爵は手を貸した。まあ王弟公爵が手を貸したっていうよりかは多分、全ての元凶の『魔』たるエイヴァにご注進だったんだろう、調べた感じ。

 だってやり方がたちが悪い。


 あの魔は快楽主義なのだ。人間の協力者がどうなろうと多分どうでもいいと思ってるけど、そそのかして遊ぼう、位のノリだったと思われる。

 その軽さ、やめていただけないだろうか? 超傍迷惑。


 まあエイヴァがかかわってるのはわかりやすかった。

 なぜならばあの誘拐犯たち、非常に高度な魔術のこもった魔道具を持っていたからだ。

 それこそエイヴァクラスの魔力持ってないとこれ作るの無理だろってくらいのレベルのそれだ。


 なんという豚に真珠。子供に与えた拳銃がプラモデルかと思ったら本物だったくらいのやらかし具合だよ。そして確信犯であるあの『魔』は快楽主義にもほどがある。そのうち常識を叩きこんであげるから楽しみに待っていてほしい。


 ――でだ。


 その魔道具は、『結界無効』と『感知無効』の効果を持っていました。

 その効果ははっきり言って伝説級である。だって両方ともまくら言葉に『すべての』が付くから。泥棒御用達かよ。


 いくら『荒療治』のために警備が手薄になってたって言っても、ランスリー公爵家ってのはそんな甘い侵入先じゃない。私の結界が張ってあって、私の教育した使用人が徘徊しているのだ。それだけで危険度マックス。ていうか今まで割と頻々に我が家への侵入者ははいたんだけどもう流れ作業の如くとっ捕まっていたという穴のなさ。素晴らしいだろ。


 しかしあの誘拐犯どもは侵入を果たしたのである。

 あの賊、そんなに頭が回るわけでも能力が高いわけでもなかったのに、だ。ちなみにもとは例の子爵の私兵の集団でした。割と脳筋よりの方々でした。


 そんな子爵と誘拐犯たち、別個に尋問した感じ、どうも『ランスリー家は令嬢以外に血筋がいない。新しくやってきた跡取りを誘拐すれば、何でもいうことを聞くだろう』的なことを吹き込まれていた様子。それで傾いた自分の立場を固めさせようという腹だったらしい。うちが子爵を追い詰めている黒幕だというのにその我が家に助けを請おうとは。まさに墓穴を掘っている。


 ……あれかな? 子爵も脳筋だったのかな?


 どっちかっていうとひきこもりな病弱キャラのイメージだの子爵だけど。青白い顔にほっそい体、そしておどおどと始終冷や汗をかいている。アッケンバーグ伯爵の方がまだ貴族然としている。まあ子爵も伯爵ももっと太陽の下で運動しようぜってアドバイスしたくなるのは同じだけど。


 ……話がそれた。


 普通に考えて、ランスリー家に害なして無事でいられると思わないだろう。

 腐っても筆頭公爵家である。ただの公爵家ではない。王弟公爵を抑えて、『筆頭』なのだ。

 それにやらかしたら公爵家どころか王家に目をつけられて一族郎党処刑コース確定なんですけど。

 ていうか見事にお取り潰し確定したんですけど。一家断絶コースはぎりぎり回避したみたいだけども。


 ……ま、それだけ切羽詰まってた、というか、快楽主義者の魔に付け入られちゃったってことなんだろう。

 お・ば・か・さ・ん☆

 同情はできないしするべきではない。だって他に選べる方法はいくらでもあった。選んだのは彼らなのだから。付け入られたくないなら隙を見せなければいいのだ。


 ともあれ、そんな感じで一か月もたたずに大体誘拐事件についてはぜんぶのめどが立ちました。きりが着いたのは最近だけど。


 それはいい。

 ……それはいいんだけどっ。


 何で、私はまだここにいるんだろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ