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公爵令嬢は我が道を行く  作者: 月圭
プロローグ
4/661

0/4 結論は


 ――で。


 はいこんにちは、シャーロット・ランスリーです。目覚めから早一週間たちました。もちろん私は事実確認にのみ奔走したよ。使用人さんが奇異なものを見る目をしてたのは明らかだったが物事には優先順位がある。アフターケアの計画はすでに練っているから今は置いておこう。


 さて結果だ。


 結果、……うん、結果……。


 言っておくが私は基本的にリアリストだ。

 だから、最後まで信じなかった。絶対違うと確信して取り組んだ。私のもてるすべてを尽くした。


 前世の記憶があるのは紛うことなき事実だから信じざるを得ないが。


 でもあれだ。同姓同名などどこにでも存在する。

 私の身に起きたあれこれだって、偶然という便利な言葉があるではないか。


 そうでなければ困る。


 まあ、その願いは木端微塵に粉砕されたんですけど。

 うん。貴族の名前や歴史を片っ端から、使用人に聞いたり書庫で探したりしたのに。九歳児とは思えない集中力で。だのに。


 ――はい、結論。



 やっぱここ、『明日セカ』の世界です。



 私は開き直りました。


 なぜならば、全部覚えているとは言わないが、出るわ出るわ。なんか聞いたことある見たことある名前の数々。ああ、その背景事情存じ上げてる、みたいな歴史。

 判りやすいのは王子たちの存在だ。


 第一王子、ラルファイス・メイソード。

 第二王子、ジルファイス・メイソード。


 はい、がっつり一致。メイソード王国の王子さまたち。


 それでも名前だけならば、と悪あがきしたくもなったが己の今世での記憶にまさかの打ち砕かれた。……そう、それは王子たちに関しての否定できない要素。


 私はこれでも公爵家の娘。物語の設定と同じく、両親が亡くなるまでは第二王子・ジルファイスの婚約者候補でもあった。


 候補ね、あくまでも。候補。

 まあ、今はお家騒動で見事フェードアウト。ここ最近で唯一の朗報である。


 ともかく。


 そんなことよりも、大事なのはそれらの事情から、私が王子たちに面識があるってことなわけです。


 率直に言って顔だ。小説だからね、はっきりわかるわけじゃないんだけどね。


 あの物語の設定では、第一王子・ラルファイス殿下は銀髪に紅玉の瞳。野性的な魅力を持つお人。ちょい腹黒な弟を見守るお兄ちゃん。私、シャーロットの二つ年上でございます。まあ設定的に苦悩や歪みもあるがカッコいいお兄ちゃんです、うらやましい。でもそんな設定の全てが物語と一緒。


 更には弟王子・ジルファイス殿下。実はあまり兄・ラルファイス殿下とは似ていない。物語上の設定も、金髪に紅玉の瞳。眼の色は同じだけど、兄の野性的で男らしい魅力に比べて、弟はキラキラ属性なのだ。……なお、腹黒だ。そしてやっぱり、そんなところも物語とおんなじでございますが、なにか。


 ええ、同じですが、何か?


 ここまで来たら、否定する方が難しい。


 ていうか否定する要素を見つける努力を時間の無駄であると判断した。その時の私の目は濁り切っていたと自負しよう。


 リアリストの敗北である。いや、リアリストだからこそ目の前につきつけられた事実から目を逸らしてはいけないのだ。


 さあ潔く認めよう。


 私は不可解な異世界転生をうっかり前世の記憶持ちでしてしまったと。


 なんといううっかり。


 なぜせめて前世の記憶をおいてこなかったのか自分。男らしく未練など綺麗に断ち切ってこい自分。女だけど。立つ鳥跡を濁しまくってどうするんだ。


 やめてくれ。本当にやめてくれ。


 心から願ったがしかし、もう一回頭打ったらなかったことにならないかな? と現実逃避までしたがしかし目の前に転がる事実。


 こん畜生め。










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