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公爵令嬢は我が道を行く  作者: 月圭
プロローグ
3/661

0/3 繋がる今昔


 ……うん、落ち着こう。


 私は九歳。階段ですっ転んで余計なことまで思い出した。

 私は転生者。黒髪黒目のそれなりな人生を歩み、残念な死に方をした元OL。

 今世では、黒髪に紫の瞳を持った公爵令嬢・シャーロット・ランスリー。



 そしてここは、私がかつて読んでいた小説の中の世界とかなんとかいう気がしないでもないような。



 ……。………。

 うん。ちょっと待とうか。


 巷で有名な例のあれを果たして転生者ってだけで大概ぶっ飛んでるのにこれ以上のオプションは過剰ではなかろうか。


 え、マジか。マジなのか。


 落ち着こう。


 ……とりあえずは、私の名前だ。シャーロット・ランスリー。この世界では珍しい黒髪を持って生まれた公爵令嬢。その両親とは九歳で死に別れている。


 そんな人物が、確かにあの小説にも出てきた。


 なぜ出てきてるんだやめろ。


 ……ジャンルは、前世の私にしては珍しくファンタジー小説だった。



 題名は、『明日(あした)世界が終わるなら』。



 通称、『明日(あす)セカ』。



 題名が厨二とか言ってはいけない。所詮は大衆娯楽小説なのだ。


 それはともかく。


 内容は、異世界から迷い込んだ主人公が、こちらの世界の令嬢や令息、王子たちの心を救いつつ困難を乗り越えて、国を救うお話だったはず。


 もちろんラブもあった。ありまくりだった。第二王子だっただろうか、まさに王道。主人公の女の子と恋に落ちて、様々な障害を乗り越えて絆を深め、結ばれる。それなりにロマンスがあった気もするが細かいところはまあいいだろう。


 で。


 さっきも言ったけど、この『明日セカ』、当然の如く『シャーロット・ランスリー』なる公爵令嬢が出てくるんだ。しかも、結構重要な役で。


 あて馬令嬢っていうの? 第二王子様の元婚約者候補だった『彼女』。幸薄いキャラクターの『彼女』。天真爛漫な主人公に嫉妬しまして、ま、イヂワルするわけですよ。ネチネチネチネチと。おう……根暗……。

 しかし結局は主人公の心の闇を癒されてしまうちょろさも併せ持ってます。


 だから、『悪役令嬢』というよりは、『あて馬令嬢』。ざまぁされないからね。


 でも割と重要な役、とそれでも最初に表したのは、この『シャーロット・ランスリー』、結構、かなり、大分チートな能力を持っているからだ。


 まあ、あの物語の中は、疑う余地もなく魔法の存在する世界でしたので。


 つまり、ね。


 魔力最強、騎士も顔負けな魔術師が『彼女』でありました。あの小説の中の『シャーロット・ランスリー』さん。


 ただただ、ひたすら幸薄い。


 筆者は『シャーロット・ランスリー』が嫌いだったのだろうか。主人公との高低差がひどい。まあ、主人公に癒されて、主人公パーティーに参加、国を助けるお手伝いします☆が彼女の役どころ。どうしようちょろい。登場当初の主人公憎しは何処へ。見事な手の平返しである。粘着質なツンデレか。ツンデレなのか。

 ……いやまあ、そんなツンデレ疑惑は置いておくとして。


 ――え、ていうかその『シャーロット・ランスリー』さんですか、私は。

 根暗の? ちょろ過ぎる? 幸薄すぎて残念系チートな?


 ……落ち着こう。そんなわけないと思いたい。いくらなんでも。ないない。……うん。


 異世界転生したら物語の中でした、とか。前世だったら鼻で笑う。いっそ、病院に強制収監する。


 ……でもやはり、

 事実確認は、必要だよね?













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