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公爵令嬢は我が道を行く  作者: 月圭
第一章 貴人の掌
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1/20 最後に高く笑うのは


 ……話を戻そう。


 さて、胸糞な魔術陣を敷いた原初の魔と王弟公爵。敷かれた陣の中、穢れた魔石は共鳴し、魔力を増幅させ、閉じ込めた。人々は最初こそ、魔力の増幅を感じて聖地であるとも言ってたみたいだけど、狂気が始まってからはかつてない程の混乱が始まった。


 そりゃパニックだわ。クッソ怖いわ。


 けれどもちろん、その時点では原因なんてわかるはずもない。太古の知識だからね。王宮の書庫、奥深くに辛うじて残っていた歴史書にわずか記されていた記録くらいしかなかったんじゃなかったっけ。


 まあつまり解決方法も、そうそう判らない。


 確か物語の中では、当時学生であったけれどもその能力を買われた『シャーロット・ランスリー』も原因究明に駆り出されていたほど、切羽詰まっていたみたいだね。


 亡命する者、凶行に走る者、王家への怨嗟。

 悪循環は続き、国は荒れる。

 それを見てほくそ笑む、魔と公爵……。


 その様はまさに、The悪役だ。


 そして大混乱の中、主人公登場と相成るわけです。


 彼女は異世界人、その能力的には、身体や知能・体力は普通、むしろ天然入ったアホっ子ちゃんなんだけども。非常に純粋な心根と新しい視点でもっていろんな事実を発見し、真相に辿り着くんだったかな?


 なお、彼女の魔力量は普通である。標準よりはまあ高いが『シャーロット・ランスリー』や『ジルファイス・メイソード』には及ぶべくもない。


 まあ、ジルファイスはともかく『明日セカ』でのシャーロット・ランスリーは根暗だったので魔力以外にとりえないからね。そして最終的に虐め役から主人公信者に寝返るからね。唯一の美点が最強魔力なわけですよ。そこすらも負けたらもうどうしていいかわかんないもんねえ。作者にも慈悲はあったわけです。


 さて、そんなこんなで主人公が異世界人ならではの突飛で柔軟な発想と純粋な視点でもって、事件の真相に迫っていく。それをこちらの世界の知識と照らし合わせていくのがジルファイス殿下である。『私』は主に魔術(物理)のサポート要員だった。


 ではここでわかりやすく魔術陣の破壊方法をぶっちゃけよう。


『魔石』を全部破壊すれば陣は解ける。以上だ。


 そう、分りやすいがわりと面倒臭い。なぜなら一度陣が完成すれば五か所の魔石すべてを破壊しなければ陣の効力は止まらないからだ。


 そして破壊自体も簡単にはいかない。原初の魔とはまあ魔物の親玉だ。つまり、三下どころか結構な力を持つ魔物も彼に従うのだ。だから魔石はそれぞれ魔物が護っている。RPG風に言えば東西南北にそれぞれ四天王がいて真ん中にラスボス・エイヴァがいる、的な。


 そして主人公はシャーロットやジルファイスを含めたパーティーを組んで相対し、悪を滅ぼすわけです。

 確か、『魔』たるエイヴァは滅されて、病んじゃったタロラード公爵は正気に戻って自ら罪を償うんだっただろうか。


 美談ではある。ありがちっちゃありがちな結末です。


 まあ、私が私である限り、そんなテンプレな未来はやってきませんが。


 なぜならば私は単独行動を好み、なおかつ前世友人曰く『こんなに朗らかに微笑む鬼畜を私は他に知らない』と言わしめた性格の持ち主だからである。そんな評価を下した友人も大概だと私は今でも思っている。


 さて。『明日セカ』では、事件が表面に出てくるのが私が十六歳になった頃。そして状況が悪化して行って、私が十八歳……主人公がやってくる時期はもう最悪な状況まで落ち込んでいる、って展開だったはず。


 現在、私は十歳。

 タロラード公爵とエイヴァは、一年前に接触を始めたばかりだ。

 どのあたりから仕掛けが施され始めたのか、私は知らない。


 でも今から動けば、被害は国中に広がることは少なくともない。私と私の領民は、護られることが確定する。

 うん。

 さて、ではあとは行動あるのみだよねー。


 ネタバレしたうえに私のチートがすでに開花しているという圧倒的に有利な現状。

 そして手段は選ばない。


 立ってるものは神でも使う、この傲慢さが私の長所。


 私自身の能力や裏の人脈も含めて、取れる手は幾つかあるし。……まあ、エイヴァだけは微妙に懸念事項というか、実力が未知数だから不確定要素だけど。だってこいつチートな暴虐野郎さんなんだもの。人の不幸を楽しむ鬼畜さんなんだもの。絶対馬鹿な人間見て高笑いしてるよねこいつ。……あれ? 前世友人に『朗らかに笑う鬼畜』呼ばわりされた私……。うむ……。


 なるほどこれはあれだな、敵たる伝説級チートの鬼畜を倒して最後に高笑いするそれ以上の鬼畜になれという……。


 楽しそうだ。馬鹿にしていた人間から逆に馬鹿にされたらエイヴァはどんな顔するかなっ? 絶対面白いよねっ! 美形さんっていうしね!

 君たちの自由になんてさせないよ?

 うふふふ、落ち着いたはずが、またテンション上がってきちゃったなあ☆


 ねえ、お二方。

 ……私と一緒にあ・そ・び・ま・しょ?


 まずは、一手目。

 ――タロラード公爵から突っついて見ましょっかね?





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