6 移動
前回のあらすじ 雛利のパンドラを使って電車から出ました。はい。
電車から出た後、雛利は俺の切符を奪い取り、自分のポケットに入れた。
「これは私が持っておく」
「はぁ!?」
雛利はそういうと俺の腕を掴んだ。
「今日はここから移動する。帰りの電車でこの切符は使えばいい」
そういうと雛利は手を上に上げた。
雛利が腕を上げたと思った瞬間、周りの風景、天井、人、全てが歪み始める。
いつ見てもこの風景は気分が悪くなる。
「おい、祠、吐くなよ。汚い」
雛利が俺をちらりと見て、そう言った。
「き、汚いとか言うな!!これ見てると気分が悪くなるんだよ……!!」
「なら見なければ良いだろう。あと、遅刻するお前が確実に悪い」
俺の必死の訴えもこいつには通じない。
だがまあ、見なければいいという意見はもっともな気がする。
と、言う事で俺は目を瞑ろうとした。
「もう遅いぞ祠。着いた」
「どぅええ!?」
俺は毎回雛利のパンドラでの移動時間が分からない。
いつ発動していつ着くんだこれは。
「教室に行くぞ、祠」
考え込んでいる俺を無視してスタスタと雛利は玄関に入っていく。
「ま、待てよ雛利!!」
俺は慌てて後を追いかけた。