3 腐れ縁
前回のあらすじ 祠は寝坊して家を慌てて飛び出しました。遅刻です。はい。
現在時刻、7:00。
学校の朝礼まで、あと1時間半。
通学時間、残り二時間。
30分の遅刻確定。
「あー、もう。最悪だ……。これで遅刻何回目だよ……17回目……?」
電車のドアの閉まる音がして、電車がガタンゴトン、と音を立てて動き始める。
「正しくは19回目だよ、君」
不意に横から俗に言うアニメ声……いや、萌え声が聞こえた。
今年、今通っている学校に行き始めてから、この声を何回聞いただろうか。
「何で覚えてるんだよ正確に……。というよりお前も目的地一緒なんだから遅刻
だろ?余裕ぶっこいてる暇あんのかよ、雛利」
俺が横を向いて、その萌え声の主に話しかける。
萌え声の主は阿佐美雛利。艶やかな黒髪をきっちり顎の位置で
切りそろえた、いわゆるおかっぱの髪型である。
見た目だけなら学校一といえるぐらい美人。
俺と同じ地域の家に住んでいて、学校も、クラスも同じ。
クラスの男子は、見た目だけで雛利に恋焦がれている。
俺からすればこいつとは必要以上関わりたくない。
単なる腐れ縁だし、こいつは変な奴過ぎて困る。
「余裕?そうだ。私は余裕だ。パンドラを使えば遅刻する必要なんてもとよりな
い。ところで、私は今日から僕っ子になってみようかと思うんだが、どう思う?」
雛利は爪にマニキュアを丁寧に塗りながら俺に話しかける。
パンドラ、とはいわゆる超能力。人によって使える奴と使えない奴がいる。
使える奴にもいっぱい使える奴とか、時々しか使えない奴がいる。
まあようは十人十色ってわけだ。
雛利はパンドラの神童と謳われるほど様々なパンドラが使える。
「黙れ才児が。それなら何で電車に乗ってんだよお前は。あと僕っ子だかポーク
っ子だか知らないけど勝手になっとけよ。どうせクラスの男子はイチコロだろ」
俺がそっけなく返事をすると、雛利はそんな俺の顔を見て鼻で笑った。
見返してみて一話一話の量が少なそうだったので増やしてみました。
増量スペサルって奴ですよ、ええ。