無意味な後悔
三題噺もどき―きゅうひゃくよんじゅうはち。
手を動かしていて、何かをしていても。
突然、不安に襲われる。
そんなことは、ないだろうか。
「……」
私は、毎日のようにある。
顔を洗っていても、歯磨きをしていても、風呂に入っていても。
着替えをしていても、明日の準備をしていても、鞄を取ろうと動いても。
「……」
何をしていても、突然。
訳の分からない不安と、過去の後悔が渦を巻く。
これがあっさり引くこともあれば、引きずることもある。
「……」
だいぶ昔の、もう取り戻しようもない過去の後悔とか。
これから先の、全く見えそうにない未来のこととか。
不安と後悔と不安と焦燥と不安が、何の予兆もなしに訪れてくる。
「……」
それが、当たり前のように今日もやってきて。
ただ朝目が覚めて、そろそろ体を起こそうとしたところで。
はたと、色々思いだして。
「……」
振り払って、身体を起して動いてみたものの、また別の事が渦巻いて。
それも忘れたふりをしながら、リビングに降りて朝食を食べようとしたところで。
また、別の不安と後悔が襲ってきて。
「……」
今日はまぁ、かなり、だいぶ、引きずっている。
時期が時期というのもあるのかもしれない。
去年、色々とあったのはこの月で、日付的にはもう少し後だけど。
「……」
それに伴って、大嫌いな祖母が家に来るのもある。
あの時に、された、色々を思い出して、ああすればこうすれば。
あの時に、あった、出来事を思い出して、もっと、こうしていれば。
「……」
朝食を食べているリビングに、時折漂うのは線香の匂い。
花か何かの香りがついているのか、少々鼻につく。元々線香の匂いが苦手なので、あの匂いじゃないのはありがたいが、これはこれで気にはなる。
「……」
写真の隣には、好物の飲料や、お土産でもらったものを備えてある。
先日は、親戚が来て、チーズケーキを持ってきていた。冷蔵の物ではなくて、スポンジ……シフォン?のような、ちょっとふわふわした常温でも最悪置いて置けるもの。
「……」
父が好きなチーズケーキはそっちじゃないが。
一緒に住んでいたわけでもなし、誕生日を祝ったことがあるわけでもなし。
知らなくて当たり前だろう。なんとなく、チーズケーキが好きという事を覚えていただけありがたいのだろう。あとで、4人で美味しく頂いた。
「……」
気付けば、あれから1年が過ぎようとしている。
まだ、私は、正直、実感というモノがない。
仕事の性質上、家に居ないことは定期的にあったから。
居ないのは、仕事に行っているからだと、思っている所がある。
「……」
さすがに、1年経てば私もどうにかなるだろうと思っていたのだけど。
あの日から、あまりにも足早に過ぎていたようだ。
秋晴れというよりも、夏日のような暑さの中で見送って。
「……」
気付けば冬が来て。
桜が色づく春になり。
焼けるような夏が来て。
「……」
また秋が来た。
今年は、去年程の暑さはないようだけど。
それでもまだ制服は夏物も許可されているし、昼間は少し汗をかく。
朝晩は冷えてきたから、寝るとき、冷房はもうつけていない。
「……」
あの時、もっと早く気づいていれば、まだいたんだろうか。
あの時、異常であることに違和感を持っていれば、まだいたんだろうか。
「……」
あの日、アイツが言ったことが、ずっと許せない。
あの日、アイツがやったことが、一生許せない。
「……」
もっと、こうしていれば。
もっと、あんな風にしていれば。
もっと、もっと。もっと。
「……」
「……」
「……、」
今日は。
ダメそうだなぁ。
お題:桜・チーズケーキ・不安




