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三題噺もどき5

無意味な後悔

作者: 狐彪
掲載日:2026/10/08

三題噺もどき―きゅうひゃくよんじゅうはち。

 




 手を動かしていて、何かをしていても。

 突然、不安に襲われる。

 そんなことは、ないだろうか。

「……」

 私は、毎日のようにある。

 顔を洗っていても、歯磨きをしていても、風呂に入っていても。

 着替えをしていても、明日の準備をしていても、鞄を取ろうと動いても。

「……」

 何をしていても、突然。

 訳の分からない不安と、過去の後悔が渦を巻く。

 これがあっさり引くこともあれば、引きずることもある。

「……」

 だいぶ昔の、もう取り戻しようもない過去の後悔とか。

 これから先の、全く見えそうにない未来のこととか。

 不安と後悔と不安と焦燥と不安が、何の予兆もなしに訪れてくる。

「……」

 それが、当たり前のように今日もやってきて。

 ただ朝目が覚めて、そろそろ体を起こそうとしたところで。

 はたと、色々思いだして。

「……」

 振り払って、身体を起して動いてみたものの、また別の事が渦巻いて。

 それも忘れたふりをしながら、リビングに降りて朝食を食べようとしたところで。

 また、別の不安と後悔が襲ってきて。

「……」

 今日はまぁ、かなり、だいぶ、引きずっている。

 時期が時期というのもあるのかもしれない。

 去年、色々とあったのはこの月で、日付的にはもう少し後だけど。

「……」

 それに伴って、大嫌いな祖母が家に来るのもある。

 あの時に、された、色々を思い出して、ああすればこうすれば。

 あの時に、あった、出来事を思い出して、もっと、こうしていれば。

「……」

 朝食を食べているリビングに、時折漂うのは線香の匂い。

 花か何かの香りがついているのか、少々鼻につく。元々線香の匂いが苦手なので、あの匂いじゃないのはありがたいが、これはこれで気にはなる。

「……」

 写真の隣には、好物の飲料や、お土産でもらったものを備えてある。

 先日は、親戚が来て、チーズケーキを持ってきていた。冷蔵の物ではなくて、スポンジ……シフォン?のような、ちょっとふわふわした常温でも最悪置いて置けるもの。

「……」

 父が好きなチーズケーキはそっちじゃないが。

 一緒に住んでいたわけでもなし、誕生日を祝ったことがあるわけでもなし。

 知らなくて当たり前だろう。なんとなく、チーズケーキが好きという事を覚えていただけありがたいのだろう。あとで、4人で美味しく頂いた。

「……」

 気付けば、あれから1年が過ぎようとしている。

 まだ、私は、正直、実感というモノがない。

 仕事の性質上、家に居ないことは定期的にあったから。

 居ないのは、仕事に行っているからだと、思っている所がある。

「……」

 さすがに、1年経てば私もどうにかなるだろうと思っていたのだけど。

 あの日から、あまりにも足早に過ぎていたようだ。

 秋晴れというよりも、夏日のような暑さの中で見送って。

「……」

 気付けば冬が来て。

 桜が色づく春になり。

 焼けるような夏が来て。

「……」

 また秋が来た。

 今年は、去年程の暑さはないようだけど。

 それでもまだ制服は夏物も許可されているし、昼間は少し汗をかく。

 朝晩は冷えてきたから、寝るとき、冷房はもうつけていない。

「……」

 あの時、もっと早く気づいていれば、まだいたんだろうか。

 あの時、異常であることに違和感を持っていれば、まだいたんだろうか。

「……」

 あの日、アイツが言ったことが、ずっと許せない。

 あの日、アイツがやったことが、一生許せない。

「……」

 もっと、こうしていれば。

 もっと、あんな風にしていれば。

 もっと、もっと。もっと。

「……」

「……」

「……、」

 今日は。

 ダメそうだなぁ。











 お題:桜・チーズケーキ・不安

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