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超巨大宇宙船が落ちて来てから十八年が経ちました:今日からあなたが艦長です!!  作者: なつのさんち
二〇四七年

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204:文化祭

九月十八日 水曜日

 艦治(かんじ)達が通う高校において、本日は文化祭が開催される。

 進学校という事もあり、期間は一日のみ。来客者は基本的に在校生の家族や卒業生、近隣の中学生等の正式に招待を受けた者のみで、外部の人間が自由に出入りする事は出来ない。


「ヤバ過ぎんだろ」


「事前に井尻君とまなみちゃんは不参加だってアナウンスがあったのにね……」


 良光(よしみつ)望海(のぞみ)は校門付近に集まったマスコミや文化祭入場希望者の数に引いている。

 周辺は大日本皇国より派遣された警備ヒューマノイドによって固められており、時折警備ヒューマノイドに連行されて行く者も見られる。


「気付かれる前に入っちまうか」


「そうだね」


 二人は大日本皇国皇王と皇后に近しい人物として、顔が割れている。鬱陶しい連中に絡まれる前にと、素早く校舎内に入って行った。



 文化祭のメインは二年生の演劇となる。三年生は受験を控えており、簡単な展示物で済ませるのが例年の習わしだ。

 一年生は小演劇・合唱・クイズなど、クラス単位で自由に企画出来る。

 ただし、衛生面や金銭が絡む事から、飲食系は禁止されている。


「去年はあんまり盛り上がらなかったのに」


「うちの学校は文化祭に力入れてないからねー」


 朝のショートホームルームを済ませ、(わたる)恵美(えみ)が合流していた。

 校舎の窓から見える人だかりを、亘が恨めしそうに眺めている。元生徒会長として、思うところがあるのだろう。


「そろそろ開始時刻だし、その子隠しといた方が良くないー?」


「……そうだね」


 亘は夏休み中に誕生日を迎え、インプラント埋入手術を受ける事が出来た。その際、艦治の計らいで人型妖精が送られたのだ。

 ちなみに、視力回復手術も受けている。現在は伊達メガネを掛けている。


「何や、うちの事除けもんにするつもりか? そうはさせへんでぇ!!」


「今日に限って何でナギさんじゃなく真智(まち)さんなんだよ!!」


 金髪白人美少女の妖精で、普段はナギが操作しているが、時折このように真智によって乗っ取られる。


「頼みますからポケットに入ってて下さい!」


「幼気な少女を股間に隠す言うんか!?」


「言い方!!」


 亘がわちゃわちゃしている間に、ぞろぞろと招待客が校舎へ入って来た。


「ねぇ、あれってもしかして」

「うわっ! 本当に人型じゃん!!」

「って事はあの人が……?」

「いや、顔が違うくない?」

「関係者である事は間違いないでしょ!」


 亘に注目が集まり始めた為、恵美が手を引いてその場を離れた。



「絶対に関係者じゃないって奴らが多過ぎる」


「あれじゃない? 正規の招待客から買った的な」


「何だそれは!? せーぎさんが遠慮されたのに、そんな奴らが堂々と来るなんて許せん!!」


「どうどう」


 怪しい来場者を睨み付けるあきらと、それをなだめる(あや)。輝は卒業生として招待され、彩は近隣の中学生として招待されている。

 輝は良光の招待枠を使って正義(まさよし)を誘おうとしたのだが、ご両親を差し置いて参加は出来ないと、断っていた。


「どうせ艦治さんもまなちゃんも来ないんだから、来たって意味ないのに」


「そういう問題じゃない!!」


 怒りが収まらない輝。彩はそんな事よりも、校舎内を見て回りたいと輝の腕を引く。

 そんな二人の目の前で、首から一眼レフカメラをぶら下げた不審な来場者に男性教師が声を掛けた。


「すみませんが、招待チケットを拝見しても?」


「……何ですか?」


「どの生徒のご家族か確認させて頂きたいのですが」


「いや、その……」


「どうされました? 何か不都合でも?」


 声を掛けられたのはマスコミ関係者で、在校生の家族から大金を叩いて招待チケットを購入したのだ。


河島(かわしま)先生を応援する日が来るとは……」


「有名な先生なん?」


「あの先生が担任になると、卒業するまでインプラントを入れられなくなるんだ」


「えー!? 絶対ヤダ! 艦治さんに言ってクビにしてもらおう!!」


 結局、マスコミ関係者は栄三(えいぞう)の手によってどこかに連れられて行った。



 体育館では、二年生による演劇が始まっていた。


「かんちも演劇やったの?」


「いや、僕は目が悪いって理由で裏方に回ったよ。大した手伝いもしてない」


「そっかぁ。良いなぁ、私もかんちとロミジュりたいなぁ」


「最後毒飲んで死ぬけど良いの?」


「もう一回高校生活やり直さない? ちょうど中学生の格好してるし」


「うーん、もう良いかなぁ」


「じゃあせめて仮想空間で高校生活付き合ってよ。放課後の校舎で隠れてえっ」


「不審な中学生発見」


「つまみ出す?」


 長椅子に座っていた艦治とまなみが、後ろから伸ばされた武則(たけのり)英子(えいこ)の手によって肩を掴まれた。


「先生、お疲れ様です」


「お疲れ様でーす」


 現在、艦治とまなみは中学生の頃の容姿を再現したヒューマノイドを操作し、文化祭にこっそりと参加していた。


「お忍びデートは良いけど、ペチャクチャ喋るのは良くないわね。勘の良い来場者がいるかも知れないんだから」


「二人は問題なく逃げられるかも知れんが、文化祭の雰囲気をぶち壊す可能性を考えてくれ」


 事前に英子と武則だけには参加すると伝えていたのだ。

 この二人はすでに三ノ宮(さんのみや)伊吹(いぶき)株式会社に引き込まれている。


「「すみません」」


 英子と武則にとって艦治はただの生徒であり、仰々しい態度に変える事のなかった貴重な大人だ。

 計り知れない権力を持った影響で、自分の人格や性格が変わってしまわない為にも、そういう大人が身近にいてくれる事は、艦治にとってありがたい重要な意味を持つ。


「それにしても、何で二人共女の子の格好なの?」


「だって、かんちが逆ナンされたら嫌じゃないですか」


 十五歳の艦治の姿を自分以外に見せたくなく、まなみはナギに艦治のヒューマノイドを女体化させるよう指示を出した。

 その結果、体育館に来るまでに、二人は案内を申し出る男子在校生に声を掛けられまくっていた。


 そして、今年受験予定である男子中学生達は二人と同じ高校に通うべく猛勉強に励む事となるが、当然ながら入学式に二人が姿を見せる予定は全くないのだった。

今年最後の投稿となりました。

評価・ブックマーク・誤字報告・感想など頂きまして大変お世話になりました。

ありがとうございます。

来年も引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。


良いお年を。

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