10.「vs全十カ国連合十万人(※全モンスター投入、全面戦争)(3)」
「あつっ!」
「溶け――ッ!」
「「「「「ぎゃああああああ!」」」」」
〝マグマ〟で身体を包まれたゴーレム・ゴブリンキング・トロール・サイクロプスに掴まれた騎士たちのオリハルコン製の鎧が溶けて、身体が焼かれ、蛋白質の焦げた強烈な異臭が戦場に充満する。
なお、加護であるため、モンスター自身には全く害がない。
「の、呑み込まれ――ッ!」
「「「「「ぎゃああああああ!」」」」」
先程まで〝陸上の海〟だった〝スライム十万人〟は、〝マグマの海〟と化し、騎士・魔法使い・弓部使い・歩兵を問わず、次々と呑み込み、焼いていく。
「くそっ! 一旦跳躍して――」
――も、逃げられない。
「ぎゃああああああ!」
空には、ハーピー、更にはワイバーンが待ち構えており、マグマで覆われた鉤爪で捕獲された直後に、他の仲間たちの〝マグマで覆われた翼〟によって身体全体を包まれて、焼かれ、溶かされる。
「倒すしかない!」
槍で、長剣で、または魔法で攻撃するも。
「なっ!? 溶け――ぎゃああああああ!」
マグマに触れた瞬間に武器は全て溶かされて、身体に到達することはなく、どの属性の魔法を放とうが、マグマによって防がれ、反撃を食らってしまう。
「国王さま! 限界です! 治癒師たちが回復しても、直ぐにまた戦闘不能にされてしまいます!」
「ぐぬぬ! あと少しなのだ! あと少しで、レジェンドドラゴンさまが我が物になるというのに!」
「国王さま!」
「ええい、うるさ――ぎゃあああああ!」
〝マグマスライム〟に右足を焼かれて、地を這いながら振り払い、何とか逃げる国王。
「そろそろ降服した方が良いと思うがのう。妾には更に〝もう一つ〟加護があるしのう。まぁ、あれは妾自身も〝発動の仕方が良く分からん〟のじゃが」
「ま、まだだ!」
国王は、腰に差していた剣を杖代わりにしながら立ち上がると、天を仰いだ。
「〝神さま〟! どうか、我らを御救い下さい! 我らにご慈悲を! 何卒、お力を!」
「!?」
その言葉に、ドラファが目を見開く。
「神じゃと……!? それを口にすることは〝禁じておった〟はずじゃが……何故口に出来るのじゃ!?」
ドラファが動揺してる。
こんなドラファ、初めて見た……
「ドラファ、どういうこと? 〝禁じていた〟って? それって――」
僕がドラファに問い掛けた直後。
「「「「「!?」」」」」
――世界に光が満ちた。
「え!? モンスターたちのマグマが!?」
全モンスターに掛けられた〝マグマの加護〟が、強制的に解除され、元の姿に戻る。
「これは――! しかも、先刻五千人の命と引き換えに行った人間たちと違い、何のリスクもなく、強制解除とは。こんな芸当が出来るのは、一人しかおらんのじゃ!」
忌々しげに、ドラファが天を睨み付けると。
「久しいな、〝滅殺竜〟よ」
「出来れば永遠に会いたくなかったがのう」
雲の隙間から、巨大な――あまりにも巨大な――千メートルの巨躯を誇る〝神〟が現れた。
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