立食パーティー
リュスティア王国・謁見の間。
玉座に座る国王ベンモールが、ゆるやかに立ち上がった。
「よくぞ来てくださった、ルーフェリア殿、そしてレオナード殿。
私がリュスティア王国国王、ベンモールだ」
「初めまして」
精霊王ルーフェリアが一礼する。
「私はエルフ族を代表する者、ルーフェリア」
その隣で、堂々と胸を張ったのは屈強なドワーフの王。
「我が名はグランバルド・レオナード。ドワーフの王国を治める者だ」
国王は両者を見渡し、柔らかく微笑んだ。
「遠路はるばる、この王都まで足を運んでくださった。今日はまず軽く食事を共にし、その後、正式に同盟の儀を取り行おうではないか」
「うむ、ありがたい!」
「それは楽しみです」
二人の王が頷き、場は和やかな空気に包まれた。
その後、一行は大食堂へと移動した。
煌びやかな燭台の下、長テーブルには豪勢な料理が並び、立食形式の宴が始まる。
笑い声と杯を打ち合わせる音が響き、異種族同士の交流が自然と深まっていった。
そんな中、ルーフェリアがふとサナに歩み寄った。
「サナちゃん、少しよいかな?」
「ん?どうしたの?」
「実は今日は君にプレゼントを持ってきたのだ」
「プレゼント……?」サナの目が丸くなる。
ルーフェリアはにこりと笑みを浮かべ、一本の杖を差し出した。
「聞いたところ、君はずっと即席の杖を使ってきたそうだね。そろそろ限界だろうと思って――特製の杖を用意したのだ」
「えっ!ほんとに!そろそろ変え時だと思ってたの!」
「ふふ、ちょうどよかったな。この杖は“始源の樹”から削り出した素材で作ったもの。神に等しい存在とされる樹だ。魔力の操作も出力も、これまでとは比べものにならぬほど高めてくれるだろう」
サナは胸を高鳴らせ、杖を両手で抱きしめた。
「……こんな貴重な杖を……ありがとうございます!大事に使います!」
「エルフ族を代表して、未来を担う者に贈るにふさわしいと思ったのだ」
ルーフェリアの言葉に、サナの瞳が潤んだ。
そのやり取りを見ていたサテンが笑う。
「いい物をもらったな」
「うん!サテンもそろそろ木の棒やめたら?」
「いや……」サテンは手にする棒を軽く振った。
「不思議と、これが一番しっくりくるんだ。俺の力に合ってるんだよ」
サナは呆れつつも微笑んだ。
やがて宴が佳境を迎えた頃、国王ベンモールが杯を掲げ、重々しい声で語り出した。
「今日、この場に立てたことを心から誇りに思う。
三つの種族が手を取り合い、平和のために歩む。その歴史的瞬間を迎えられたのだ」
人々が息を呑み、耳を傾ける。
「ここに誓おう!リュスティア王国、エルフの森、そしてドワーフの王国は、共に協力し、この大陸を混沌から守ると!」
力強い宣言が大食堂に響き渡り、拍手と歓声が爆発した。
こうして、三種族の同盟は正式に成立した。
歴史に刻まれる新たな一歩が、この日、確かに踏み出されたのである。
宴は祝福の余韻を残しつつ、やがて静かに幕を閉じた。




