ユールとマイナに命じた事
サテンたちは国王への報告を終え、謁見の間を後にしようとしたその時だった。
「ユール、マイナ……少し待て」
背後から国王の声が飛ぶ。ユールとマイナは思わず足を止め、振り返った。
「それと、この話はサテンとユナにも聞いてもらいたい」
国王は玉座から立ち上がり、ゆっくりと彼らを見渡した。
「今回、ユールとマイナをサテンたちと共にドワーフの国へ向かわせたが――これからはお前たち二人を新設する特務部隊に組み込みたい。その役割は、サテンたちと共に行動し、リュスティア王国の名のもとに動けるよう支援すること。そして時に、戦力として共に戦うことを命ずる」
厳かに言葉が放たれた瞬間、場の空気が一段と引き締まる。
サテンが少し驚いた顔で口を開いた。
「……いいのか? こんな優秀な人材を俺に預けちまって」
国王は力強く頷く。
「お主だからこそ、託すのだ。しっかり使ってやってくれ」
ユールとマイナはその場に膝をつき、頭を垂れた。
「国王様! この命、特務部隊の務めに全て捧げます!」
サナが笑顔で手を叩く。
「よかったね、二人とも!」
マイナが顔を上げ、照れくさそうに笑った。
「これからも頼むぜ、サテン!」
ユールも頷き、拳を胸に当てる。
「よろしくな!」
サテンは肩をすくめて笑う。
「これからが本番だぞ。覚悟しておけよ!」
――こうして、彼らの絆はさらに強固なものとなった。
謁見の間を出たサテンは、ふぅと深いため息を吐いた。
「長い一日だったな……さすがに疲れた」
マイナが肩を回しながら言う。
「俺たちは今日は自分の家に戻るよ。しばらく帰れなくなるかもしれないしな」
「そーだな。荷物の整理もしないと」ユールが頷く。
「わかった。俺たちは宿でも探すさ」サテンが言うと、マイナが思い出したように口を開いた。
「もしかしたら、〈わし亭宿〉が空いてるかもな」
「なるほどな、よし行ってみるか」
こうして4人は二手に分かれ、それぞれの夜を過ごすことになった。
サテンとユナがたどり着いた〈わし亭宿〉は、外観こそ少し古びて見えたが、中に入ると驚くほど清潔で明るかった。
「なんか……すごいね。外と中の印象が全然違う」ユナが感心したように呟く。
「いらっしゃい」
カウンターの奥から宿主が声をかけてきた。
「泊まりたいんだけど、部屋は空いてるか?」サテンが尋ねる。
「一部屋ならあるよ」
「まじか……どうする?」
ユナは頬を赤らめながらも、にこりと笑った。
「私はいいよ。二人で寝た方が……落ち着くし」
「……わかったよ」サテンは視線を逸らし、照れ隠しのように髪をかく。
「銀貨二枚ね」
サテンは財布から銀貨を取り出し、カウンターに置いた。
「はいよ」
「地下に食堂があるから、腹が減ってるなら行くといい」
「じゃあ先に腹ごしらえだな!」サテンが元気に言うと、ユナも満面の笑みで答えた。
「いいね! もうお腹ぺこぺこ!」
二人は並んで階段を下り、食堂へ向かっていった。
その頃、ユールとマイナは久々に戻った自宅で、荷物の整理や今後に備えた準備を進めていた。
それぞれの心には、今日受けた国王の命が静かに、だが確かに重く響いていた。




