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ドルガンの解呪

ゼール工房でユールとマイナの剣を受け取ったサテンたちは、再び市場へと足を運んでいた。

夕暮れ時、屋台通りは前回よりもさらに賑わっており、あちこちから活気ある声が飛び交っている。


「おおっ!見ろよサテン!あの団子屋、人だかりができてる!」

ユールが目を輝かせて指差すと、マイナも笑顔で頷く。


「新作の団子が出たって噂だよ!ほら、看板に“星晶石団子・数量限定”って書いてある!」


サテンは小さく笑って呟いた。

「ふむ……じゃあ、またドルガンへのお土産として買って帰るか。」


すると、その瞬間――

マイナがバツが悪そうに顔を伏せ、もじもじと指を絡めた。


「……その、実はね……前回ドルガンさんに買って帰った鉱石団子……」

「……?」

「……美味しすぎて、全部食べちゃった。」


一瞬、周囲が静まり返った。


「「「おいぃぃぃぃぃぃっっ!!!」」」


サナとユールとサテンの三人が、同時にマイナを指差して叫ぶ。


「お前、あんだけ“お土産だから!”って念押ししただろ!」

「ド、ドルガンさん楽しみにしてたのに……」

「まさかの横領事件だな、これは。」


マイナは涙目で手を合わせ、必死に弁解した。

「ご、ごめんってばぁぁ!でもあれ、ほんとに美味しくて止まんなかったんだもん!」


結局、罰として――

「はい、今回のお土産代はマイナ持ちで決定。」

「えぇぇぇぇぇ!?」



王城に戻ると、マイナは真っ先にドルガンの部屋へ走った。

大きな紙袋を抱えて、息を切らしながら差し出す。


「ド、ドルガンさん!今度こそお土産の鉱石団子ですっ!」


ドルガンは目を丸くし、そしてふっと優しい笑顔を浮かべた。

「おお……!久しぶりじゃな、この匂い。いただくぞ。」


一口かじると、ドルガンの目尻にしわが寄り、満足そうに頷いた。

「……んむ!やはり旨い!二千年前の鉱石団子は、ここまでの味は無かったぞ。

昔はただの甘いだけの団子じゃったからな。今の職人たちは、いい仕事をしておる。」


「でしょ!? 今の団子は最高なんだから!」

マイナはどこか誇らしげだが、他の三人にじとっとした視線で見られていることには気づかない。



翌日、ドルガンの体はすっかり完治し、戦闘にも復帰できるほど回復していた。

そしてついに、長年苦しめてきた呪いを解く時が来た。


サテンたちはセレナと共に、王城の奥にある小さな祭壇の間に集まった。

机の上には、解呪に必要な材料が並んでいる。

•セレナの涙

•セレナの鱗

•セレナの血

•ナミエルの聖痕が刻まれた黄金の羽根


セレナは深呼吸し、両手をかざす。

柔らかな光が材料を包み込み、やがてひとつの小瓶へと収束していく。


「……できました。これで、ドルガンさんの呪いは完全に解けるはずです。」


ドルガンは黙って頷き、一気に薬を飲み干した。

しばらくすると、体に異変が――しかし外見には特に変化はない。


「どうだ……何か変わったか?」

ユールが首をかしげると、サテンが短剣を取り出し、ドルガンの手の甲を軽く切った。


その瞬間――


「いってぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」

ドルガンが思わず叫び声を上げる。


「おおっ!? 痛覚が戻ってる!」

「よ、良かったぁ……!これで普通のドワーフに戻れたんだね!」

マイナが泣きながらドルガンの手を握る。


ドルガンはこらえきれず、ぽろぽろと涙をこぼした。

「長かった……二千年もの間、この身体は痛みを感じぬ代わりに、呪いに縛られていた。

やっと……やっと、解放されたんじゃな……!」


その場にいた誰もが、ただ静かにその瞬間を見守っていた。



解呪の成功を報告するため、サテンたちは鍛治王トラゴルドのもとへ向かった。

鍛治王トラゴルドは深く頷き、北の山脈へ向かう許可を与える。


「気をつけろ。北の山脈には知っての通り不可侵領域が存在する。そのせいかほとんどのドワーフが寄り付かず独自の生態系を有しておる。他では見ない魔物などがいるだろう。」


サテンも真剣な表情で頷く。

「承知してます。俺たちで必ず王族を見つけ、連れ戻します。」


こうして、すべての準備を整えたサテンたちは

明朝、北の山脈へ向けて出発することを決めた。


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