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解呪の薬の最後の鍵


ナミエルを倒したサテンは、立ち尽くしていた。

風に舞う黄金の羽根を見つめ、握りしめた拳を震わせる。


「……ナミエル……」


思い出してしまった。

この世界を作った時の記憶。

そして、自らの側近であり、信頼していた天使だったナミエルモデルにした大天使ナミエルを失った事実。


擬似的であるが二度も失った痛みが胸を締めつける。

サテンは木の棒を収め、誰にも見えないほど小さな声で呟いた。


「……ごめんな。もう一度……守れなかった。」



サナたちは重症のドルガンの元へ駆けつけた。

胸や腕には深い傷が走り、血が滲んでいる。

しかし、ドワーフの頑丈な肉体が奇跡的に彼の命を繋ぎとめていた。


マイナが急いで回復魔法を施し、ユールが応急処置を手伝う。

サナは必死に涙を堪えながら、ドルガンの肩を揺さぶった。


「ドルガンさん!しっかりして!」

「……お、おう……わしは……死なん……まだ……」


その時、サテンが歩み寄り、静かに告げる。


「ナミエルを……倒した。」


気づいたらサテンの手の中にあった黄金の羽根は聖痕があった。

それは王族にかけられた呪いを解くために必要な“最後の鍵”だった。


サテンはセレナに聖痕の着いた羽根を渡す。

セレナは羽根を確認しセレナ自身の血涙鱗に加えて羽根を用いた薬で呪いを解呪する事ができる事を確信した。


「これで……やっと、ドルガンさんと王族の方々を救えるんですね。」

「ああ。だが――これで終わりじゃない。まだ、王族たちを見つけ出す必要がある。」



サテン一行はグランバルド王国へと帰還する。

高くそびえる岩壁と、堅牢な石造りの門が見えた瞬間、皆の胸に安堵が広がった。


王城へ入ると、鍛治王トラゴルドが玉座で彼らを出迎える。

その威厳ある声が広間に響いた。


「……無事に戻ったか。して、結果は?」

「はい。大戦の跡地である草原に行ってみると天使族が復活していてそこには大天使ナミエルと部下数名がいました。そこで戦いに発展し、大天使ナミエルを討ち取り、呪いを解くための“聖痕”を入手しました。」


サテンがそう報告すると、玉座に座るトラゴルドは深く息をつき、低く頷いた。


「よくぞやってくれた。ドルガン、お前も……よく生きて戻ったな。」

「ふん……わしを誰じゃと思うておる……!」


そう言って笑うドルガンだったが、立ち上がる動作はまだ痛々しい。

それでも、彼の誇り高さが消えることはなかった。


「しかし……王族たちはいまだ行方知れずか。」

「はい。ですが、聖痕が揃った今、必ず見つけ出します。」

「うむ。ならば王国も全力でお主らを支援しよう。」



ドルガンの回復には数日かかると判断され、サテンたちは王都で束の間の休息を取ることになった。


サテンは気分を落ち着かせるため、王都の大市場を歩く。

石畳の大通りに露店が立ち並び、人々の賑わいが響き渡る。

香ばしい焼き肉の匂い、香辛料の刺激的な香り、職人たちの金槌の音。

この国の活気と熱量が、サテンの重い心を少しだけ和らげていった。


「……ここが、ドワーフの街……」

隣を歩くサナが目を輝かせる。

ユールも周囲を見渡しながら感嘆の声を上げた。


「見てくださいサテンさん!あっち、武具工房ですよ!」

「こっちはアクセサリー!すごい彫金技術ですねぇ……!」


武具の露店には、重厚なドワーフ製の戦斧、槌、剣が並んでいる。

その全てに職人の魂が込められた、精緻な装飾と重みのある造形。

さらに奥へ進むと、家具や工芸品を扱う工房も立ち並び、

伝統技術を駆使した装飾椅子や魔力付与ランタンが目を引いた。


サテンはふと、武具の新調について考えた。ここが終われば帝国に行き、精霊王ルーフェリアとの約束、囚われたエルフを助ける為の準備をしないといけないと。しかし今はドワーフ王国の事に集中しようと首を振って一旦忘れる事にした。


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