グランバルド王国での目的
サテンたちの目的は、「天使族の呪いを解くこと」、そして**「失われた王族を見つけ出し、グランバルド王国に戻すこと」**。
二つの目的は別々に見えて、どこかで深く繋がっている――サテンはそう直感していた。
その夜、トラゴルド王との密議を終えたサテンとドルガンは、重い疲労を抱えたまま部屋に戻った。
今後の行動については、翌朝、皆で相談することにして、しばし休むことにした。
翌朝
まだ朝日が差し込み始めたばかりの時間、サテンは誰よりも早く目を覚ましていた。
与えられた部屋の隅で、昨夜レイモンドから借りた古い伝承書を開いて読み耽っていた。
そこへ、静かに扉が開き、セレナが顔を覗かせた。
「……もう起きてたのね、サテン。今日はどう動くつもり?」
サテンは視線を上げずに問い返した。
「セレナ……解呪のことを聞きたいんだ。
涙と鱗と血――それ以外に、必要なものはあるのか?」
セレナは少し眉を寄せ、答えをためらった後、ぽつりと口を開いた。
「……あるわ。
本来、解呪は“呪いをかけた張本人”か、それに最も近しい存在の身体の一部を材料に加えることで、呪いを完全に打ち破る力を持つの。
でも……サテン、わかってるでしょ?
ドルガンや王族の呪いをかけたのは――天使族。
その天使族は……もう、滅んでいる。」
サテンは言葉を失った。
必要な材料は、もうこの世界に存在しない。
胸の奥に重苦しい絶望が広がっていく。
そのとき、遠くの廊下から声が響いた。
「サテーン! 朝ごはんだよー!」
元気なサナの声だった。
サテンとセレナは顔を見合わせ、ひとまず広間へ向かった。
朝食の席にて
長いテーブルに、仲間たちが揃って座っていた。
パンの香りとスープの湯気が立ち昇る中、サテンは意を決して、さっき聞いたばかりの解呪の条件を皆に話した。
皆の表情が曇る。
重苦しい沈黙が流れる中、ふとサナがパンをかじりながら口を開いた。
「……ねぇ、サテン。
一度、“あの場所”に行ってみない?
二千年前の大戦の跡地。天使族が滅んだ場所だよ。」
その言葉に、サテンは顔を上げた。
しかし、ドルガンがすぐに渋い顔で首を振る。
「あそこはただの草原だ。何も残っちゃいねぇ。
二千年も経ってるんだ、遺物なんて跡形も――」
「でも、何もしないで諦めるのか?」
サテンの言葉が、強く場を切り裂いた。
「希望があるかもしれないなら、行ってみる価値はあるだろう。」
しばしの沈黙の後、ドルガンは深く息を吐き、肩をすくめた。
「……ったく、お前には敵わねぇな。
わかったよ。昼から向かうとしよう。」
こうして、サテンたちは二千年前の大戦跡地へ向かうことを決めた。
しかし、この決断が彼らを予想もしない運命へ導くことを、まだ誰も知らなかった――。




