旅路
同行メンバー紹介
エルフ族の代表含む30名、そして旅を共にする騎士団員は2名。
サテンが「信用できる者だけを」と選んだ精鋭だ。
ユール・ガロア(Yule Garoa)
年齢:28歳 階級:上級騎士
長身で寡黙。冷静な判断力と剣技に優れ、サテンの信頼も厚い。
サナの護衛役を買って出るが、子供への接し方が不器用で、たまに顔がこわばる。
マイナ・セイ(Maina Sei)
年齢:23歳 階級:中級騎士
陽気で明るいムードメーカー。ユールとは対照的におしゃべり好き。
エルフたちの緊張を和らげる役として重宝される。弓の腕も一級品。
夜が明けきる前
王都の南門は、まだ青みを帯びた闇の中に沈んでいた。
火灯りだけが頼りの通路に、重い荷車の音が響く。
サテンは馬の手綱を軽く引いた。
「大丈夫か、サナ」
「うん、眠いけど……みんなが不安にならないように頑張る」
隣で揺れるその声に、サテンは小さく頷いた。
列の最後尾には、マイナが陽気に笛を吹いていた。
エルフの子供たちが小さく笑っていた。
「この曲、知ってる? 私の村の子守唄なんだけどさ〜。森の歌にも似てるってエルフの子が言ってたんだ」
その一言で、エルフの青年が少し顔を上げた。
不安の中にも、ひとすじの希望が差し込んでいく。
道は広く、そして長い。
昼は蝉の声、夜は星の海。
小川を越え、草原を抜け、岩山の裾を歩く。
エルフたちは規律を乱さず、疲れても文句一つ言わなかった。
それがかえって胸を痛めさせた。
「サナ、お前も彼らと同じだったのか?」
「うん。でも……私はラッキーだった。サテンに会えたから」
サテンは無言で、前を向いたまま手綱を握り直した。
七日目の午後、風が変わった。
「……香りが違うな」
ユールが呟く。
周囲の木々が静かにざわめき始め、空気が柔らかくなる。
「間違いない。ここから先は“彼らの領域”だ」
マイナが矢を一本だけ弦にかけた。
サテンは馬から降り、歩くエルフたちの顔を見渡した。
誰もが小さく息を呑み、緊張と懐かしさが混ざったような表情をしていた。
「あと少しだ。……行こう」
その言葉と同時に、先頭の森の木々が風に揺れた。
一本の大木が、その幹の間から“道”を開くように光を漏らす。
エルフの少女が、そっとつぶやいた。
「……帰ってきたんだ」
サテンとサナはその言葉に耳を傾けながら、森の奥へと一歩を踏み出した。
木々が彼らを受け入れるかのように、音もなく揺れていた。




