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アフタートーク:星空の下の宴

(場面は、エンディングの余韻が残るスタジオから、再び、星々が窓の外に広がる幻想的な休憩室『SalondesÉtoilesPerdues』へと移る。先ほどの幕間とは異なり、部屋の中央にある大きなテーブルの上には、それぞれの時代や文化を反映した、色とりどりの料理が所狭しと並べられている。湯気を立てる日本の鍋料理、こんがりと焼けた大きな肉の塊、艶やかな江戸前寿司と蕎麦、香ばしい香りを放つ骨付き肉とパン…。それぞれの料理からは食欲をそそる良い香りが漂い、部屋全体が温かく、和やかな宴の雰囲気に満ちている。対談者たちは、先ほどまでの緊張した面持ちとは打って変わって、リラックスした表情でテーブルを囲んでいる。)


石川五右衛門:(大皿に盛られた軍鶏鍋を指し示し、豪快に笑う)「さあさあ、堅っ苦しい話はもうおしまいだ!遠慮はいらねぇ、どんどん飲んで、どんどん食え!こいつは俺の故郷の味、軍鶏しゃもを使った熱々の鍋よ!精力がつくぜぇ!特にこの、プリプリの皮がたまらんのだ!」


鼠小僧次郎吉:(寿司桶と蕎麦の皿を前に出しながら)「へへっ、じゃあこっちは江戸のいきってやつでどうでぇ!ほら、握りたての寿司と、打ちたての蕎麦だ!威勢のいいネタが揃ってるぜ!ロビンの旦那も、ジェシーの旦那も、遠慮なくつまみなせぇ!この光り物なんざ、絶品でぃ!」


ロビン・フッド:(テーブル中央の大きなローストビーフとミートパイを示し、にこやかに)「では、こちらは我がイングランドの誇る料理を。じっくりと焼き上げたローストビーフと、狩りの後に皆で熱々を囲むのが習わしのミートパイだ。隣にはエールもたっぷり用意してある。ぜひ、合わせて楽しんでくれ!」


ジェシー・ジェイムズ:(少し照れたように、しかし誇らしげにBBQリブとコーンブレッドの皿を示し)「……こっちは、まあ、フロンティアの荒っぽい味だがな。骨付きのリブを、特製のソースで豪快に焼いたBBQだ。それと、お袋がよく作ってくれた、素朴なコーンブレッド。ここに置いてあるバーボンウィスキーによく合うはずだ。口に合うか分からんが…試してみてくれ」


(四人は、互いの料理を勧め合い、早速それぞれの皿に取り分けていく。)


ロビン・フッド:(五右衛門の軍鶏鍋を味わい、目を丸くする)「ほう、これは体が芯から温まるな!少々刺激的な辛さだが、鶏肉の旨味が深く、実に滋味深い味わいだ。素晴らしい!」


石川五右衛門:(ロビンのローストビーフを大きな口で豪快にかじりつき)「うめぇ!こりゃあ、うめぇぞ、ロビン!異国の肉料理もなかなかどうして、悪くねぇな!このエールとかいう酒も、ぐいぐい進むわい!」(ジョッキを一気に煽る)


鼠小僧次郎吉:(ジェシーのBBQリブにかぶりつき、目を輝かせる)「へぇ!こいつはたまげた!甘辛いこのタレが、肉によく絡んで、たまらねぇな!こりゃあ、あっしの冷酒とも相性がいいや!手がベトベトになるのも構わねぇ!」


ジェシー・ジェイムズ:(鼠小僧に勧められた寿司を、物珍しそうに箸でつまみ、おそるおそる口に運ぶ)「……これが、スシか。生の魚というのは初めて食べるが…悪くない。この緑の…ワサビとかいうのは、鼻にツンとくるが…なんだか癖になりそうな味だ」


(テーブルには、様々な言語での感嘆の声と、和やかな笑い声が響き渡る。議論中の険しい表情はすっかり消え、まるで旧知の友のように打ち解けた雰囲気だ。)


石川五右衛門:「いやぁ、しかし、実に面白ぇ夜だったな!まさかこの俺が、イギリスの森の英雄だの、アメリカのガンマンだのと、こうやって同じ鍋をつつくことになるとは、夢にも思わなんだわ!」


鼠小僧次郎吉:「まったくだ。最初はよぉ、どんなに怖い人たちかと思って、内心ビクビクしてたんだぜ?だけどよぉ、こうやって話してみりゃあ、みんな色々抱えて、必死に生きてきたんだなぁって、なんだかジーンときちまったよ」


ロビン・フッド:(エールを片手に、頷く)「同感だ、次郎吉殿。時代も場所も、生き方も全く違う我々だが、その魂の奥底には、何か通じ合うものがあったように思う。…それはやはり、何者にも縛られたくないという、自由への渇望だったのかもしれないな」


ジェシー・ジェイムズ:(ウィスキーグラスを静かに傾けながら)「……そうかもしれん。結局のところ、俺たちは皆、それぞれのやり方で、この理不尽な世の中に抗って生きてきたんだろう。その形が、たまたま法を破るものだったというだけで…」


石川五右衛門:「おうとも!どうせ一度きりの人生よ!楽しまなきゃ損、損!さあ、もっと飲め!もっと食え!夜はまだ長いぜ!」(皆に酒を勧める)


(四人は、酒を酌み交わし、対談の裏話や、互いの時代の面白い(あるいは物騒な)話、故郷の自慢などで、時間を忘れて語り合う。五右衛門の豪快な武勇伝(?)、鼠小僧の江戸の粋な遊び、ロビンの森での冒険譚、ジェシーの語る荒野の厳しさ…。それは、奇跡のような、一夜限りの宴だった。)


(…とその時、部屋全体に、キラキラと星が降り注ぐような、美しくも少しだけ寂しげな音が、静かに響き渡った。)


鼠小僧次郎吉:(ハッとして、音のする方を見上げる)「おっと…こりゃあ、例の不思議な合図かねぇ?どうやら、お開きの時間らしいな…」


ロビン・フッド:(名残惜しそうに、グラスを置く)「もうそんな時間か…。楽しい時間は、あっという間に過ぎるものだな」


石川五右衛門:(立ち上がり、大きく伸びをする)「ちっ、仕方ねぇか。まあ、腹も膨れたし、いい酒も飲めた!満足だ!」(他の三人に顔を向ける)「達者でな、お前ら!もしあの世で会うことがあったら、また一杯やろうぜ!今度は俺が、地獄の釜で最高の酒を馳走してやるわ!」


鼠小僧次郎吉:(立ち上がり、深々とお辞儀をする)「ああ、本当に面白かった!五右衛門の親分も、ロビンの旦那も、ジェシーの旦那も、達者でな!こんな奇妙な縁、もう二度とねぇかもしれねぇが、またどこかで会える日が来るといいがねぇ!」


ロビン・フッド:(胸に手を当て、紳士的に)「この素晴らしい出会いと、実り多き語らいに、心から感謝する。石川殿、次郎吉殿、ジェシー殿、君たちの未来に幸多からんことを!また会う日まで…さらばだ、友よ!」


ジェシー・ジェイムズ:(静かに立ち上がり、一人ひとりの顔を順に見る。その目には、わずかながら温かい光が宿っている)「……世話になったな。あんたらも、達者でやれ。…もし、また…何かの間違いで会うことがあれば…その時は…」(言葉を最後まで結ばず、しかし確かな別れの意を込めて、軽く頷く)


(四人は、互いに最後の言葉を交わし、名残惜しそうに手を振り合う。すると、一人、また一人と、その体が淡い光に包まれ始める。それは、それぞれの時代の光だろうか。やがて光は強まり、彼らの姿はゆっくりと、この不思議なサロンから消えていった…。)


(静寂が戻った『SalondesÉtoilesPerdues』。テーブルの上には、まだ温かい料理と飲み残しの酒が残されている。窓の外には、変わらず無数の星々が、まるで全てが束の間の美しい夢であったかのように、ただ静かに、そして永遠に瞬き続けているのだった。)

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― 新着の感想 ―
 それぞれ己の在り方に違いはありますが、世の理不尽と戦ったという点では同じであり、そこが民衆から英雄として指示された理由でしょうね。  ただ、彼らのそれは法と秩序への反逆であり赦されざる犯罪であるため…
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