みんなの質問コーナー
(スタジオ内。最終ラウンドの重厚な雰囲気が少し和らぎ、司会者あすかが明るい表情で進行する。)
あすか: 「さて、4つのラウンドを通して、皆さまの熱い思い、信念、そして複雑な胸の内を、たっぷりと伺ってまいりました。いやはや、時空を超えた議論というのは、これほどまでに刺激的なものなのですね!」
あすか: 「議論はまだまだ尽きませんが、ここで少し趣向を変えまして、このコーナーにまいりましょう!題して…」
(明るくポップな効果音と共に、背景モニターに「みんなの質問コーナー」というタイトルロゴが表示される)
あすか: 「『みんなの質問コーナー』!」
あすか: 「ここではですね、わたくし、あすかが皆さまに、これまでの白熱した議論の中で、特に気になった点や、もしかしたら時空を超えてこのスタジオに届いているかもしれない(?)、未来の視聴者の皆さまからの熱いクエスチョンを、代表していくつか、ビシッと投げかけさせていただきたいと思います!」
(対談者たちは、少し意外そうな顔や、面白そうな顔、あるいは相変わらず無表情な顔で、あすかを見ている。)
あすか: 「では、早速まいりましょう!最初の質問はこちらです!」
(あすか、手元のタブレットを操作する)
あすか: 「皆さまの言葉の中には、ラウンド 1 から、そして先ほどの幕間での会話に至るまで、度々『自由』という言葉が登場しました。皆さまがその人生において、渇望し、追い求め、あるいはその代償を支払ってきた『自由』。それは、皆さまにとって、具体的にどのようなものだったのでしょうか? まずは、五右衛門殿!あなたにとっての『自由』とは、やはり『力』そのものであり、誰にも縛られないことでしたか?」
石川五右衛門: (腕を組み、当然だというように)「ああ、そうだとも!力があれば、欲しいものは何でも手に入る!行きたい所へ行ける!生まれた身分だの、家柄だの、くだらねぇ掟だのに縛られず、この俺が俺の意志で、やりてぇ放題やる!誰にも指図されねぇ!それこそが、俺にとっての『自由』よ!」
あすか: 「なるほど、徹底していますね!では、鼠小僧さんはいかがです?」
鼠小僧次郎吉: (少し考えて、江戸っ子らしく)「あっしにとっちゃ、自由ってのは…まあ、難しく考えちゃいねぇが、一言で言やぁ『気まま』に生きることかねぇ。明日の米の心配がねぇとは言わねぇがよ、誰かにペコペコ頭を下げるでもなく、江戸の広い空の下を、風みてぇにフラフラと、好きなように生きる。世間のしがらみなんぞに縛られねぇで、自分の『粋』を貫く。それが、あっしなりのささやかな自由でさぁ」
あすか: 「風のように気ままに、粋に生きる…鼠小僧さんらしいですね。では、ロビン様にとっての『自由』とは?」
ロビン・フッド: (真摯な表情で)「私にとっての自由とは、まず第一に、人々が圧政や恐怖から解放されることだ。誰もが尊厳を持ち、自身の労働の成果を不当に奪われることなく、平和に暮らせる社会。それが実現されてこその自由だ。そして、個人としては、いかなる状況にあっても、自らの良心に従い、正しいと信じる道を選択できる勇気と権利…それが、私が追い求める真の自由だと考える」
あすか: 「社会全体の解放と、個人の良心の自由…深いですね。では、ジェシーさん、あなたにとっての『自由』とは?」
ジェシー・ジェイムズ: (静かに、しかし重い口調で)「……自由、か。俺たちが血を流して戦い、手に入れようとしたものだ。だが、結局、本当に手に入ったのかどうかは分からん。あるいは…この世に、完全な自由なんてものは、最初から存在しないのかもしれん。あるのは、戦うか、支配されるかの選択だけだ。俺たちは、ただ戦うことを選んだ…それだけのことかもしれん…」
あすか: 「誰にも縛られないこと、気ままさ、圧政からの解放、そして…戦いの果てにあるかもしれないもの、あるいは存在しないかもしれないもの…。皆さま、それぞれに深く、重く、そして切実な『自由』の定義があるのですね…。胸に迫ります」
あすか: 「では、気持ちを切り替えて、次の質問にまいりましょう!これは、少し詮無い問いかもしれませんが…もし、皆さまが捕まることなく、あるいはアウトローではない、全く別の人生を歩むことができたとしたら…どんな人生を送っていたと思われますか?想像してみてください」
鼠小僧次郎吉: (腕を組んで、うーんと唸る)「別の人生ねぇ…。考えたこともなかったな。まあ、どうだろうねぇ。お袋が大工だったから、真面目に修行して、カタギの腕のいい大工にでもなってたかもしれねぇな。あるいは、持ち前の度胸と手先の器用さで、どこかの大きな芝居小屋の仕掛けを作る職人とか?…いやいや、やっぱり、面倒なことはごめんだ。目立たず騒がず、裏長屋で昼間っから酒でも飲んでるのが、一番性に合ってるかもしれねぇや!」(笑う)
あすか: 「職人気質と自由人な部分が同居してますね!では、ロビン様は?」
ロビン・フッド: 「もし私が、不当に貴族の地位と領地を追われることがなければ…おそらく、父の後を継ぎ、領主として、我が領地と民を守るために、力の限り善政を敷こうと努めていただろう。だが、そうなれば、シャーウッドの森で得たかけがえのないメリーメンとの出会いも、民と共に圧政と戦うという貴重な経験もなかっただろうな…。どちらの人生が、より幸福だったのか…それは、今となっては誰にも分からないことだ」
あすか: 「選ばなかった道への思い、ですね…。ジェシーさんはいかがですか?」
ジェシー・ジェイムズ: (遠い目をして、静かに)「……もし、あの忌まわしい戦争がなければ…俺は、ミズーリの片田舎の農場で、母さんと、兄貴のフランクと、ただ静かに暮らしていたかもしれん。馬を育て、トウモロコシ畑を耕し…ごく普通の、慎ましい家族としてな。だが、それはもう、決して戻ることのない過去の話だ…」(彼の声には、深い郷愁と哀しみが滲む)
あすか: 「……(言葉を失いかけるが、気を取り直して)五右衛門殿は、いかがでしょう?別の人生なんて、考えたこともない、とおっしゃりそうですが…」
石川五右衛門: (ニヤリと笑って)「ハッ!当たり前よ!別の人生だと?この石川五右衛門の人生より面白い人生が、他にあるわきゃねぇだろうが!俺はこの生き様を選び、そしていずれ、あの世で釜茹での熱湯風呂に入る!それで満足だ!…まあ、もし仮に、万が一、別の生き方があるとしたら…そうだな、でっけぇ船に乗って、海賊にでもなって、南蛮の宝を根こそぎ奪い、七つの海を荒らし回るってのも、なかなか痛快で面白かったかもしれんがな!ガッハッハッハ!」
あすか: 「地道な職人、領民を思う領主、家族と暮らす農夫、そして豪快な海賊…!皆さまの意外な(?)一面や、心の奥底にあるかもしれない願望が、少しだけ垣間見えたような気がします。選ばなかった道への思いも、それぞれなのですね…」
あすか: 「それでは、最後の質問です。これはラウンド 3 で、皆さまの意見が真っ向からぶつかり合ったテーマですが、改めて、そしてこれが最後の問いとして伺います。後世の私たちが、皆さまを『英雄』あるいは『義賊』として、物語の中で語り継いでいることについて、皆さまは今、最終的に、どのように受け止めていらっしゃいますか?」
ロビン・フッド: (迷いなく、しかし穏やかに)「先ほども述べたが、もし我々のささやかな行いが、後世の人々に何かしらの勇気や希望を与え、語り継がれる価値があると見なされているのなら、それは我々メリーメンにとって、この上ない光栄なことだ。我々の森での戦いが、決して無駄ではなかったという証だからな。ただし、繰り返しになるが、我々を完全無欠の英雄として過度に美化することは望まない。我々もまた、過ちを犯す不完全な人間なのだから」
ジェシー・ジェイムズ: (静かに、感情を抑えた声で)「……好きにすればいい。後世の人間が、俺たちのことをどう語ろうが、俺には関係ないことだ。俺たちの真実の姿など、結局のところ、誰にも分かりはしないのだからな。英雄と呼ばれようが悪党と罵られようが、俺たちの名前が、良くも悪くも忘れ去られない限り、俺たちがこの世に生きた意味は、わずかでも残るのかもしれん。…それで、十分だ」
鼠小僧次郎吉: (困ったように笑いながら)「英雄ねぇ…義賊ねぇ…やっぱり、どうもくすぐってぇや、何度聞いても。まあ、芝居や講談で面白おかしく語られるってのは、悪い気はしねぇけどよ。ただ、一つだけ言っとくぜ?あんまり物語を真に受けねぇでくれよな?あっしは結局、ただの、ちょっと腕の立つ盗っ人だったってこった。そこんとこ、よろしく頼んます!」
石川五右衛門: (ふてぶてしく、しかし力強く)「英雄だの義賊だの、どうでもいいと何度言やぁ分かるんだ!俺は俺だ!石川五右衛門だ!後世の奴らが、俺のことをどう持ち上げようが貶そうが、俺の知ったこっちゃねぇわ!だがな…!」(ここで、ニヤリと笑う)「もし、この石川五右衛門の名が、ふんぞり返ってる権力者どもにとって、目障りで、耳障りで、立ち向かってくる『意地』の象徴として、ほんの少しでも奴らの気に障る存在であり続けるんなら…それもまた一興よ!」
あすか: (深く頷き、感慨深げに)「光栄、諦念、困惑、そして揺るぎない反骨…『英雄視』という後世からの評価に対する受け止め方も、最後の最後まで、皆さまそれぞれ、実に人間味あふれるものでしたね。非常に、非常に興味深かったです」
あすか: 「さあ、『みんなの質問コーナー』、いかがでしたでしょうか?短い時間ではありましたが、ラウンドでの議論をさらに深め、皆さまのさらに奥深い部分に触れられたような、貴重な時間となりました。対談者の皆さま、ご協力、誠にありがとうございました!」
(あすか、にっこりと微笑み、名残惜しそうにコーナーを締めくくる。そして、エンディングへの流れを作る。)