ラウンド2:俺たちの流儀・『仕事』の美学とは?
(スタジオ内。ラウンド1の議論を受け、司会者あすかが進行を続ける。)
あすか:「ラウンド1では、皆さまがアウトローとしての道を歩み始めた、それぞれの熱い…あるいは、やむにやまれぬ動機を伺いました。いやぁ、どのエピソードもドラマチックでしたねぇ」
あすか:「さて、ラウンド2では、その『仕事』ぶりについて、さらに詳しくお聞きしたいと思います!皆さま、ただ法を破るだけでなく、そこには確固たる『流儀』、譲れない『美学』があったはず。テーマはこちら!」
(背景モニターに「ラウンド2:俺たちの流儀・仕事(犯行)の美学とは?」という文字が映し出される)
あすか:「早速ですが…やはりここは、この方から伺いましょうか!五右衛門殿!あなたはラウンド1でも『やるならデカく、派手に!』が信条だとおっしゃっていました。その仕事ぶりはまさに伝説級ですが、具体的にはどんな『流儀』で臨まれていたのですか?」
石川五右衛門:(ふんぞり返って、ニヤリと笑う)「流儀だぁ?そんな小難しいこと、いちいち考えちゃいねぇよ!欲しいモンがあったら、目星をつけて、真正面から乗り込んで奪う!ただそれだけのことだ!」
(五右衛門は、さも当然というように胸を張る)
石川五右衛門:「例えばよぉ、あの鼻持ちならねぇ太閤はん…秀吉の城に忍び込んだ時なんざ、いい例だ。夜陰に乗じてスルスルっと塀を乗り越え、目指すは奴が大事にしてるっつう南蛮渡来の香炉『千鳥』よ!だがな、ただ盗むだけじゃつまらねぇ。どうせなら、この石川五右衛門様が参上したってことを、世間に知らしめてやらなきゃなぁ!」
あすか:「と、申しますと?」
石川五右衛門:「噂じゃ、俺が楼門の上から『絶景かな、絶景かな!』なんて見得を切ったことになってるらしいが…まあ、それに近い派手なことはやったかもな!ハッハッハ!隠れてコソコソなんてのは性に合わん!盗みに入るなら、この五右衛門様の名を轟かせてこそ、仕事ってもんだろうが!」
鼠小僧次郎吉:(呆れたように)「ひぇ…城に真正面から乗り込んで、おまけに見得まで切るたぁ…そりゃ無鉄砲ってもんでさぁ、親分。捕まってくれって言ってるようなもんじゃねぇですか」
石川五右衛門:(鼠小僧を睨みつけ)「うるせぇ、小僧!それが俺様のやり方よ!スリルがなくちゃ面白くねぇだろうが!」
あすか:(割って入り)「まあまあ、お二人とも。対照的なスタイルですねぇ。では、鼠小僧さん、あなたは五右衛門殿とは真逆で、隠密行動が十八番だったとか?『音もなく忍び込み、気づかれずに去る』…まさに闇夜のプロフェッショナル、という感じですが」
鼠小僧次郎吉:(得意げに鼻をこする)「へへ、まあ、派手な立ち回りは五右衛門の親分に任せときゃいいんでさぁ。あっしの売りは、とにかく誰にも気づかれねぇこと。そこが『粋』ってもんよ」
(鼠小僧は、指で忍び足の真似をしながら続ける)
鼠小僧次郎吉:「夜も更けて、皆が寝静まった頃を見計らって、スルスルっと屋根伝いによ。足音なんざ立てねぇ。で、お目当ての武家屋敷に着いたら、特製の『焼き破り (※錠前破りの道具)』なんぞで、頑丈そうな錠前もチョチョイのチョイよ。蔵の中に入っても、物音一つ立てずに、お宝…まあ、大抵は千両箱だがね、そいつを拝借する。必要な分だけ頂いたら、来た時と同じように、風のようにスーッと去る。翌朝になって、蔵が空っぽんなってるのに気づいて、腰抜かす屋敷の連中の顔を想像すると、たまんねぇんだ、これが!」
(鼠小僧は、いたずらっぽく笑う)
鼠小僧次郎吉:「武家屋敷専門ってのも、まあ、威張ってる割に油断しきってる連中の警備をあざ笑うみてぇなもんでね。それに、町人の家から盗むのは、どうも寝覚めが悪くってよ」
ロビン・フッド:(感心したように頷く)「なるほど…高度な技術と、細心の慎重さが求められるのだな。ある意味、我々が森で獲物を狩る際の隠密性にも通じるものがあるかもしれない」
ジェシー・ジェイムズ:(それまで黙っていたが、鼠小僧に問いかける)「……それで、あんたはいつも一人でやるのか?」
鼠小僧次郎吉:(胸を張って)「おうよ!盗みは一人に限るぜ。仲間なんざいたら、かえって足手まといになるだけってもんよ。分け前の心配もいらねぇしな」
あすか:「鼠小僧さんは単独犯、と。では、ロビン様は先ほど『メリーメン』という頼もしい仲間たちのお話が出ましたが、皆さんと共に活動されていたのですよね?その見事な連携プレー、そしてご自身の得意な武器について、詳しく教えていただけますか?」
ロビン・フッド:(仲間を思い、誇らしげな表情で)「その通り。我々の力は何よりも団結にある。シャーウッドの森は、我々メリーメンにとっては庭のようなものだ」
(ロビンは、自信に満ちた声で続ける)
ロビン・フッド:「斥候が獲物…いや、失礼、徴税役人や強欲な貴族の一行が森へ入ったという知らせを受けると、我々は合図と共に森の各所から姿を現し、瞬く間に彼らを包囲する。私はこのヨー(イチイ)の木で作った長弓で、まずリーダー格の馬や武器を狙い、動きを封じる」
(ロビンは、滑らかな動作で弓を引く仕草を見せる)
ロビン・フッド:「我が弓は100ヤード先の小鳥の目さえ射抜くと言われているが、目的はあくまで彼らに不当に得た富を『寄付』してもらうことだ。無用な殺生は、我々の本意ではない。怪力の持ち主リトル・ジョンや、陽気なタック修道士といった頼れる仲間たちが、力と知恵で相手を説得…まあ、時には少々手荒になることもあるが…してくれるのさ。チームワークこそが我々の流儀だ」
石川五右衛門:(つまらなそうに)「弓か…飛び道具は好かねぇな。チマチマしてやがる。やっぱり獲物は、己の手で掴み取らねぇと、張り合いがねぇ!」
ジェシー・ジェイムズ:(ロビンに向かって、静かにだが鋭く)「仲間、か。信頼できるなら、それもいいだろう。だがな…裏切りは常につきまとうぜ。一番怖いのは、外の敵より内の敵だ」
ロビン・フッド:(ジェシーの言葉に、少し表情を曇らせつつも)「……その言葉、重みがあるな、ジェシー殿。だからこそ、信頼こそが我々の絆なのだ。裏切りのない世界を…目指している」
あすか:(少し不穏な空気を感じ取り)「『裏切り』…穏やかでない言葉が出ましたね。ジェシーさん、あなたは『ジェイムズ=ヤンガー・ギャング団』という無法者の集団を率いて、銀行や列車といった、当時としては非常に大きなターゲットを狙いました。そこには綿密な計画と、時には…激しい銃撃戦もあったと聞きますが、あなたの『流儀』とは?」
ジェシー・ジェイムズ:(低い声で、しかし有無を言わせぬ力強さで語り始める)「仕事は常に命がけだ。ロビン殿の言うような、甘い世界じゃねぇ。行き当たりばったりでやれることじゃない」
(ジェシーは、過去の激しい戦いを思い出すかのように、目を細める)
ジェシー・ジェイムズ:「ターゲットを決めたら、徹底的に下調べをする。銀行の金庫の場所、見取り図、警備員の数。列車の時刻表、貨物車両の中身、乗務員の配置…。情報を集め、仲間と役割分担を決める。合図一つで、一斉に動く。俺と兄貴のフランクが先陣を切る。そこには躊躇も、慈悲もない。邪魔する奴、抵抗する奴には…容赦はしない」
(ジェシーは、無意識に腰のコルト・リボルバーに手をやる仕草をする)
ジェシー・ジェイムズ:「悪名高いピンカートンの探偵どもが、俺たちの首に懸賞金をかけて嗅ぎつけてきた時も、何度も撃ち合いになった。何人も死んださ…仲間も、敵もな。だが、それが俺たちの生きる道だった。生き残るための、な」
鼠小僧次郎吉:(青ざめた顔で)「うへぇ…撃ち合いとは、とんでもねぇ物騒なこって。やっぱり、あっしは一人でコソコソやるのが性に合ってるってもんだわ…命がいくつあっても足りねぇや」
ロビン・フッド:(悲しげに首を振り)「暴力が更なる暴力を呼ぶ…なんと悲しい連鎖だろうか。ジェシー殿、その先に真の平和はあるのだろうか?」
ジェシー・ジェイムズ:(ロビンを冷ややかに見据え)「あんたの生きた時代は知らんがな。俺たちの時代、俺たちの場所では、撃たなきゃ撃たれる、それだけだったんだ。あんたの世界は、少し…綺麗すぎる」
あすか:(両者の間に割って入るように)「ありがとうございます、ジェシーさん。ロビン様。…派手なパフォーマンスに命を懸ける五右衛門殿、隠密技術を極めた鼠小僧さん、仲間との連携を重んじるロビン様、そして冷徹な計画性と銃で道を切り開くジェシーさん…。皆さま、それぞれに確立された『流儀』と、そこに見え隠れする譲れない『美学』があるようですね」
あすか:「ただ盗む、奪うだけでなく、その『やり方』自体に、ご自身の存在証明や、時代への反抗のようなものが込められているのかもしれません」
あすか:「しかし、今、ロビン様とジェシーさんの間で見られたように、その『流儀』、特に『暴力』をどこまで許容するか、という点には、大きな考え方の違いもありそうです。このあたり、次のラウンドでさらに深く掘り下げていきたい、非常に重要なテーマですね…!」
(あすか、意味深な表情で、次のラウンドへの期待感を煽る)