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オープニング

(スタジオ内。軽快で少しミステリアスなオープニングテーマ曲が流れる。中央の司会者席にスポットライトが当たり、可憐な司会者・あすかが笑顔で立っている。背景には「歴史バトルロワイヤル」のロゴが映し出されている。コの字に配置されたテーブルには、まだ少し緊張した面持ちの対談者たちが座っている。)


あすか:「皆さま、ごきげんよう!金曜日のこの時間、いかがお過ごしでしょうか?時空の狭間で、歴史の『もしも』に思いを馳せるひととき…あなたの心の物語にそっと寄り添う、『物語の声を聞く案内人』、わたくし、あすかがお送りいたします!『歴史バトルロワイヤル』へようこそ!」


(あすか、優雅にお辞儀をする)


あすか:「さて、今宵はですね、ちょっぴり…いえ、かなりスリリングなテーマでお届けします。題して、『犯罪編~民衆が愛したアウトロー列伝~』!」


(スタジオの照明が少しドラマチックに変化する)


あすか:「え?犯罪者をスタジオに呼ぶなんて物騒だって?ふふ、ご心配なく。ご覧ください、このスタジオは、この『クロノス』の力をお借りして、安全かつ確実に、時空を超えたレジェンダリーなゲストをお招きしております」


(あすか、手元のタブレットを指し示す)


あすか:「それでは、長々とお待たせいたしました!今宵、このスタジオに集結した、伝説のアウトローたちをご紹介いたしましょう!」


(あすか、まず石川五右衛門の方へ向き直る)


あすか:「まずはこの方!『絶景かな、絶景かな!』その辞世の句はあまりにも有名!安土桃山の世を、ド派手に駆け抜けた天下の大泥棒!その破天荒な生き様は後世、歌舞伎の人気演目にもなった、まさにレジェンド・オブ・アウトロー!石川五右衛門殿!」


石川五右衛門:(椅子にどっかと腰を下ろし、ふてぶてしく腕を組む。鋭い視線で他の対談者たちを睥睨するように見回しながら)「おう、五右衛門様とは俺のことよ!で?なんだか妙な場所に呼びつけやがって。こいつらはどこの馬の骨だい?」


あすか:(苦笑しつつ)「まあまあ、五右衛門殿、そんなに睨まないでくださいな。他の皆さまも、劣らぬ伝説の持ち主ですよ。後ほどたっぷり、自己紹介のお時間はございますから」


(あすか、次に鼠小僧次郎吉へ視線を移す)


あすか:「続きましては、江戸の闇夜をひらりひらりと駆け抜けた、義賊伝説の立役者!武家屋敷から千両箱を…持ち去ったとか、持ち去らなかったとか?その真相は謎ですが、庶民の喝采を浴びた(かもしれない)、江戸っ子の粋の結晶!鼠小僧次郎吉さん!」


鼠小僧次郎吉:(手ぬぐいで額の汗を拭うふりをして、周りをキョロキョロと見回し、照れくさそうに頭を掻く)「へへ…なんだか大層な紹介で、こっ恥ずかしいったらありゃしねぇ。天下の大泥棒に、異人さんまでいるとはねぇ…。よ、よろしく頼んます、案内人さん」


あすか:「あらあら、謙遜しちゃって。その素顔は、ただの盗っ人か、それとも…?気になりますねぇ」


(あすか、今度はロビン・フッドへ向き直る)


あすか:「そして、海を越えて、緑深きシャーウッドの森からやってまいりました!麗しのマリアン姫のハートも射抜いた(という噂の)、弓の名手!暴政に苦しむ民のため、権力に敢然と立ち向かい、富める者から奪い、貧しき者に分け与えた…イングランドが誇る伝説のヒーロー!ロビン・フッド様!」


ロビン・フッド:(すっくと立ち上がり、胸に手を当てて優雅に一礼する。他の対談者たちにも、にこやかな笑みを向ける)「ご招待に心から感謝する、ミス・アスカ。そして、ここに集う勇気ある…いや、興味深い魂たちに敬意を表するよ。まさか日本の伝説的な方々や、新大陸のガンマンと席を同じくするとは。これは実に、刺激的な出会いだ」


あすか:「まあ、なんと紳士的!素敵です、ロビン様!その笑顔だけで、もう民衆はメロメロですね!」


(あすか、最後にジェシー・ジェイムズへ視線を送る)


あすか:「最後にご紹介するのは、荒ぶるアメリカ西部開拓時代が生んだ、最も危険で、最も有名なガンマン!銀行を、列車を、その二丁拳銃で震え上がらせた、反逆のアウトロー!その名は今も、無法と自由、そして悲劇の象徴として語り継がれる!ジェシー・ジェイムズ氏!」


ジェシー・ジェイムズ:(寡黙に椅子に座ったまま、動かない。深く被った帽子の下から、鋭い視線であすかと他の対談者を射抜くように見ている。紹介されても、軽く顎を引くだけで、声は発しない)「…………」


あすか:(一瞬、その鋭い視線に気圧されつつも、プロの笑顔を崩さずに)「……ジェシーさん、ようこそ!その静かなる存在感、しびれますね!その胸の内に秘めた熱い思い、後ほどたっぷり聞かせてくださいね!」


(あすか、中央に戻り、改めて全員を見渡す)


あすか:「さあ、これで役者は揃いました!石川五右衛門殿、鼠小僧次郎吉さん、ロビン・フッド様、ジェシー・ジェイムズ氏!まさに時空を超えた、アウトロー・サミットの開催です!」


(スタジオに、期待感を煽るような効果音)


あすか:「改めまして、今回のテーマは『民衆が愛したアウトロー』。皆さま、予習済みとはいえ、ご自身がこの『民衆が愛した』という括りで呼ばれることについて、率直にいかがですか、五右衛門殿?」


石川五右衛門:(鼻で笑う)「愛されただぁ?笑わせるな。俺ぁ別に、民衆に媚び売った覚えはねぇぞ。欲しいモンを力ずくで奪って、派手に生きて、派手に散った!ただそれだけだ。後世の奴らが勝手に面白おかしく語ってるだけだろうよ!俺を恐れてた奴はいただろうがな!」


あすか:「なるほど、あくまで己の道を突き進んだ、と。では、鼠小僧さんは?」


鼠小僧次郎吉:(少し困ったように眉を下げて)「あっしも五右衛門の親分と全部同じってわけじゃねぇが…まあ、似たようなもんで。ただなぁ…仕事の後で、長屋の連中がこっち見てニヤリとしたり、悪ガキどもが『鼠小僧だ!』なんて真似して駆け回ったりするのを見ると…へへ、悪い気はしなかった、かな?『愛された』かどうかは別としてよ」


あすか:「ふむふむ、民衆の反応に、少しは思うところがあった、と。では、ロビン様はいかがでしょう?」


ロビン・フッド:(自信に満ちた表情で)「我々『メリーメン』は、確かに民衆の支持を得ていたと断言できる。それは我々が彼らの苦しみを理解し、代弁者たらんとしたからだと信じている。彼らが示してくれた信頼と『愛』こそが、我々が強大な権力と戦い続けるための、何よりの力だったのだ」


あすか:「民衆の愛こそが力の源…まさにヒーローのお言葉ですね。では最後に、ジェシーさんは?」


ジェシー・ジェイムズ:(しばしの沈黙の後、低い声で呟く)「……愛か。…憎しみと紙一重かもしれん。俺たちを英雄視する南部の人間もいれば、悪魔のように恐れ、憎む北部の人間もいた。どっちも真実だろう。だがな…俺たちの存在が、あの時代の何かを、良くも悪くも揺さぶったことだけは確かだ」


あすか:(頷きながら)「肯定、否定、疑問、そして複雑な思い…皆さまの第一声からして、すでに一筋縄ではいかない議論になりそうですね!それぞれの信念、それぞれの生き様、そして『民衆が愛した』という伝説の裏側にある真実とは?これからじっくりと、この歴史法廷…いえ、歴史バトルロワイヤルで、紐解いていきましょう!」


(あすか、にっこりと微笑み、次のラウンドへ進行する構えを見せる)

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