表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

4話 妖精と始まり

今回今までより長いです。

「えっと・・・俺は、」

ていうかあのおじさん物凄い殺気を込めた視線でこっち見てるんですけど。間抜け面だけどそれが逆に恐怖を倍増させてるぜ。俺なんかしたかよ、身に覚えがねえぞ・・・。いや、あったわ 壁食い破ってるわ。でもこれ不可抗力じゃね、目の前にハンバーグあったら食うって、普通。うわ、さっきより殺気強くなってる、さっさと答えろってか。

「俺は、、ハンジャ。で後ろにいんのが弟のバクドー。・・壁ぶっ壊して悪かったよ、ほんとーにごめん」

壁穴から上半身をだして、心を込めて謝る。けれど、おじさんの視線は相変わらず殺気を込めたままだ。まだあるじゃろう、ほれ、そんな様子だ。何、あとなんかある?自己紹介したし謝りもしたじゃん。はー、こんなやつに会うんなら、罪悪感なんて持たないでバクドーに先行かせればよかったぜ、何事も無かったんだしよ。あいつなら人前の良さでなんとかしそうだし。「兄さん、何かあったのー?」えーと・・・ んーあーあのおじさんの名前聞いてねえや。

「あんたの名前は」どうだ、これが正解か?俺はまじまじとヘンテコな恰好のおじさんの顔を見つめる

「よくぞ聞いてくれた!我の名はグイダ、導きの妖精グイダじゃ。ほれ、そんなとこにずっといないでこっちへこんか」おじさんの視線がさっきの殺気が嘘だったようにどっかに消えて、代わりに朗らかで柔和な笑顔にスイッチで切り替えたかのように変わる。こええぇぇええええええええええ!なに、名前聞かれたかっただけでそんな怖い顔してたの?見た目も相まって恐怖しか感じないんだが。やべえよこいつ、関わらんとこ。

 取り合えず俺は穴から抜けて不思議な空間に降り立った。

「はははは、バクドーも来いよ」向こう側にいるバクドーにそういうとバクドーもこちら側にやってきた。俺はバクドーに耳打ちをする。「おい、バクドー。さっさとここを抜けるぞ、あのおじさんの右側に階段があるから」バクドーもそれに従うように囁き声になる「え、でもあのおじさん、無視していいのかい?こっちを黙って見てるけど」

「いんだよ、あいつ、グイダ?だっけえ。何してくるか予想できねえし、近づいた瞬間に笑顔でなぶり殺しにしてきてもおかしくねえぞ」

「何言ってるんだよ、兄さん。そんな人いる訳ないだろ」

「俺はそう思ったんだよ、それに用心に越したことはねえだろ。」

俺はスタスタと階段に向かって歩いていく。階段の上はなぜか分からんがぼやけてて何があるか何も分からない。だがこんな恐ろしいやつから一刻も早く離れる方が先だろ。

「すんませーん、俺たち急いでるんで先行きますね。いやほんとーに壁のことはごめんなさい。用事済ませたら戻って修理でもなんでもしますから。」引きつりそうな顔をなんとか笑顔にして、ペコペコ平謝りしながら進んでく。よしあともう少しだ。

「おい、待たんかお主ら。こっちへこんかと言ったじゃろうが。壁なんか勝手に治るから良い、そんなことより俺とお茶でも飲んで話を聞け」

「ハハハ、それは用事がすんでからゆっくりと」ヘッ、もう二度と来ねえけどな。じゃあな、グイダ―。

「この壁のこと知りたくはないか?えー?」

俺は階段の一段目にに右足を乗せた所で立ち止まる。なんだって、この壁のこと?壁って言ったか?壁のことについて知ってるっていうのか、お前。

「本当か?お前」俺は振り向いて聞く。

「本当だ。というかお前ではない、グイダじゃ。創造主様から貰った大事な名じゃ」顎に手でけつ顎を作りながら偉そうな奴だ。

「あー悪かったな、グイダ。それで壁のことって?」

「まずはこっちにこい、話はそれからだ」

えーマジぃ?近づいた瞬間に急にキレて話はこれじゃあ!っていいながら手元のカップを俺の頭で割ったりしねえよな、グイダさん。考えすぎだって、思うか。思うよな。でもよ、チキンの俺はそう思っちまうんよ。

「ほら、グイダさんもあー言ってるし、行こう兄さん」お前はあのやり取りを見てねえからそう言えんだよ。てめえは幸せもんだぜ。

「わーたよ、行けばいんだろー行けばー」話したくないが、壁のこと知ってるってことは、この塔、世界の監視塔のことやもしかしたらハンバーグ島についても知ってるかもしんねー。そうだとしたら話を聞く以外ない、しょうがないが。

 俺たちがグイダの元へ着くとグイダは「ほれお主ら、ハンジャとバクドーだったか。イスを用意してやる」ちょっと偉そうなのが鼻につく。そう言ったグイダは指パッチンをする。なんだ執事でもやってくんのかと思ったら、グイダが座ってるのと同じサイズのイスがボワンという効果音と共に二つ現れた。

「お前すげえな、ほんとに妖精みたいだ。その羽、飾りじゃなかったんだな」

グイダはギロリと俺を睨んで俺の脛を思いっきり蹴る。

「痛ぇぇええええええ!なっ、なっ、なに、すんだよ、こんのくそ野郎!」テーブルに両こぶしで怒りをぶつける。くそお、こぶしも痛え。いきなりなんで蹴んだよ、こいつは。

「俺の名はグイダと言っておるだろう」お前呼びでそんなにキレんの?怒りの沸点低すぎだろうが。

「ああ、すまねえな、グイダ」我慢だ、俺

「ねえねえ、どうやんの!それ!僕にも教えてよ、その魔法」バクドーはもう既に座っていた。

「フンッ。これは妖精であるグイダにしか使えん。人間には無理じゃよ」

「そっかー、ざんねん」ほんとに残念そうにしてんじゃねえよ、まあ使えればそりゃ便利だろうけど。それと、グイダの態度が一々偉そうで腹立つー。

「よし、じゃあまず一つ目いいか」バクドーの対面のイスを引きながら質問を始める。位置関係は時計回りにグイダ、俺、クラゲのぬいぐるみ、バクドーだ。

「あのハンバーグの壁、ありゃなんだ」いろいろ聞きたいことがあるが、まずこいつが言ってた壁について聞いてみる。

「ありゃなんだと言われてもハンバーグの壁はハンバーグの壁じゃ、ハンバーグでできておる。外側は各妖精の創造主様の魔法を合わせた特別使用の結界じゃがな。そういや、お主ら・・どうやってあの結界破ったんじゃ?」

「え?なんか手が燃え」

「待て、グイダ、バクドー。グイダのいう各妖精の創造主ってなんだ。一人じゃねえのか?」

「この塔は俺を作ってくださった創造主様だけで維持しているのではない。もう5人の創造主様たちと共に維持しとるのじゃ、すごいじゃろ」

「維持?じゃあ例えばその内の一人がいなくなったらこの塔は崩れちまうのか?」

「そうじゃな。だがそんな例えばは決して起きんがな」

「なんでそう言い切れんだよ」

「それはじゃなあ、創造主様たちがおわす最上階を俺の他の妖精が一人一人、この塔の各階層を何人も通さんように守っておるからじゃよ、それを破るやつを俺は想像できん」

なるほどねえ、創造主に妖精か。こいつのいう通りなら、そいつらがこの塔の最上階にある何かを必死に守ってるみてえだな。まさかのもしかして、それ、至高のハンバーグだったり。俺はバクドーを見る。こいつも俺と同じこと考えてるな。

「その妖精たちがどんなことをしてくるかってのは教えてくれんの?」

「それは無理じゃな、通させないために守っておるのに妖精たちがヒントをくれるはずなかろう」そりゃそうだ、俺だってそんなバカなことしない。

「だが、妖精たちの名は教えられる。聞きたいか?えー?」

「ああ聞きたい、是非教えてくれグイダ」もうこいつの偉そうな態度は無視だ、無視。

「いいじゃろう、教えてやる。この上の第二階層には玉ねぎの妖精タマネキ、第三階層にはコショウの妖精ハンクション、第四階層にはパンの妖精パパン・パーン、第五階層には塩の妖精ソルトーラ、第六階層にはミンチリ・ケチャウがおるのじゃ」

「全部ハンバーグの具材じゃねーか!」益々怪しくなってきたぜ、こりゃ来て大正解だな。あれ、ちょっと待て

「そんなにペチャクチャ俺たちに教えていいのかよ、俺たちこの塔の最上階目指してやってきたかもしんねえのによ」

「自己紹介のときに言ったじゃろう、俺は導きの妖精だって。導くのが役目、使命じゃ。次は俺の番だ、どうやってあの結界を破った。人間ごときが破れるような代物じゃないはずじゃ」

なんだよ、だからそんなに教えてくれんのか。そういうことならあの炎のことについても喋っても問題なさそうだな。

「こいつ、バクドーが壁に触れた瞬間に青白い炎が手を包みこんで、その炎があの黒い壁を溶かしたんだよ」炎に注目してたせいで溶けてるところをちゃんと見てないがあの穴の縁を見るに溶けたって形容するのが正しいだろう。

「青白い炎?その炎でなんだ、ほんとにそれだけで結界を突破したっていうのか」些かそんな事実信じれないという様子でバクドーに疑惑の目を向ける。

「ほんとだって、触った瞬間にぼわああって燃えてさ、それで気づいたらハンバーグの壁が見えてたんだって。ねえ、そうだよね兄さん」

「ああ、ほんとーだ、マジだ。ハンバーグに誓ってもいい。どれだけあの壁の強固さが凄まじいかなんて知らねえけど、燃えて溶けちまったんだよ。俺とバクドー、二人ともそれを目の当たりにしてるからな。」

「うーむ」けつ顎を作りムニョムニョさせながら

「分かった。お前らのいう事を信じようぞ、他の方法も皆目見当つかんからな。しかし、青白い炎とはなんなんじゃ」

「それは俺たちが一番知りてえよ、グイダなら知ってると思ったんだがな」

シーンと静まり返る。この炎の件は取り合えず保留だな、こりゃ。気になるけど。

「じゃ、最後にいいか」核心に迫るぜ

「ハンバーグ島って知らねえか」さあ、どう出るどう出る。

「ハンバーグ島?知らんな。ここは塔じゃぞ」

ハッ?マジで?違うの?ここがハンバーグ島じゃねえの?

「だが、ここの名前はハンバーグ塔じゃぞ」

え・・・お前、ハンバーグ塔って言った?ハンバーグ塔?あれ、待って。ちょっと待ってくれ。ハンバーグ島、ハンバーグ塔。まさか島じゃなくて塔なのか。俺たちは島だと少しも疑わず、ずーーーーーーーーと探し続けてたけどさ、塔なのか。マ、マ、マジィ?それに少しでも気づいてたら、もっと早くここに辿り着いたじゃん。んだよそれ。なんか、ちょーーーーーー疲れたわ。ほらあの感覚だよ、眼鏡なくしてどこだどこだって探してたら自分が身に着けてましたってやつ、でその眼鏡を俺たちは10年もどこだどこだって探してた訳。な、ちょーーーーーー疲れるだろ。精神的にさ。

俺はぐでーと体を大の字にしてとろける。何も考えたくない。

「兄さん、いきなりどうしたんだよ」お前ってやつはいつもお気楽だな、羨ましいぜ。はーーーーあ、でもそうだな、至高のハンバーグがここにあるのはもうほぼ間違いない。ならもう突き進むだけじゃねーか。こんな所で油売ってるとこじゃねえよな。よし。

俺は重くなった腰を気勢を込めて無理やり持ち上げる。

「ありがとなグイダ。いろいろ教えてくれて助かったぜ。さあ行こうぜ!バクドー!」

「うん!じゃあねグイダさん」元気がよくて結構、ほんとお前には敵わんよ。そうして俺たちは階段に向かって歩き出すのだった。

「ま、待て。俺を置いていくつもりか。」今にも泣きだしそうで寂しそうな顔して俺たちの裾を掴む。

「中年男がそんな気色わりい顔すんなよ、寒気がするわ!」

「フンッ!いいのか?俺を置いていったら、絶対後悔するぞ」

「後悔ってなんだよ。おま、グイダ、他の妖精が何するか分かんねえんだろ。じゃ付いてきても意味ねえじゃん」

「道案内ぐらいはできるわ」ほんとかー?

「兄さん、いんじゃない。さっきの魔法あればいろんな場面で役に立ってくれそうだし、なにより人数多い方がきっと楽しいしね」

「お前なー」こいつ連れていきたいの?この情緒不安定な中年おじさんを?本気か?本気なのか?

「ほれ行くぞお主ら!何を突っ立ておるのじゃ!」いやもう行く気満々!?

「ほら行こう兄さんも」と言い放ち、バクドーはグイダに早足で駆け寄る。もう一緒に行く流れなんだな、わーたよ、諦めるよ。

俺は髪を搔きむしり、バクドーとグイダに駆け寄る。こうして俺ハンジャとバクドーとグイダの冒険が始まるのだった。











展開もうちょっと丁寧にやってみようと思ったら予想以上に文字数が多くなっちまった。これぐらいでいいのかねえ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ