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2話 梅喰らいし米

2話からはしばらく明るい話が続く予定

「兄さん!とりあえずあの柱に触ってみよう」

「待て、こんな得体の知れないものにいきなり触るとか正気か、てめえ」

「大丈夫だよ、触れた瞬間に手を嚙みちぎったりとかしないかぎりは」と言って肩にかけた琥珀色で薄汚れたショルダーバッグを数秒漁りグローブを取り出す。

「これを先っちょだけはめて... ほら、これならもし手を噛まれそうになってもすぐグローブを外して回避できる!」と片方の腕でガッツポーズを決める。したり顔だ。だが悲しいかな、グローブを手のひらまでしかはめていないせいで、指の付け根から先がエビぞりのプロでも泣いて逃げるほどに折れ曲がっていた。全然決まっていなかった。笑止千万である。

けれど「グ~~~~~~~~ッ」お腹さんは気に入ったようだ。

「オーケー、とりあえず飯にしよう。あのじいさんの言うとおりなら、この梅干しでこのあたりに生息してるコメーンが釣れるはずだ」

「そうだね... もうお昼だし」頬に少し紅を差しながら頷いた。


この船を貸してくれたじいさんが言うにはこの辺りの海にはコメースという見た目も味も米の魚がいるらしい。そしてコメースの好物の一つに梅干しがあり、一人分の頭なら余裕で入りそうな瓶に梅干しを詰めたのをよこしてくれた。妻に先立たれ、最近は息子も孫も会いに来てくれなく遊びに来てくれる人もいなかったから、俺たちが訪れたのがよほど嬉しかったらしい。俺たちはありがたくその善意を受け取り、2時間ほど歓談をしてじいさんの家を立ち去った。


コメースは驚くほど早く釣れた。釣り糸を垂らして1分もしないで梅干しに食いつた。それでもコメースは8歳児ぐらいの大きさがあったから釣り上げるのに一苦労した。それほど暴れはしなかったがとにかく重くて釣りあげる前に釣り竿が折れるんじゃないかと焦ったが、見た目に反して丈夫だったので一気に力を込め引き上げた。そのあと弟も釣れたが2匹を置くスペースは無かったので1匹はすぐにリリースした。

「すごいね、コメースってこんなにでかいんだ」とバクドーはコメースの頭をぺしぺしと叩く

「ああ、ガキと同じくらいのサイズじゃねえか」と言いながら自分のリュックからナイフを取り出し、コメースのお腹を頭から尻尾の方向に力強く切れ込む。出てきたのは沢山の米粒で全身にぎゅうぎゅうと隙間なく詰まっていた。

「これって多分、米だよなあ、炊かなくても食えんのかなあ」どうしようかと考えあぐねていると

「じゃあ、ぼくが先に味見するよ」と一粒摘まんで口に放り込み、咀嚼する。なんとも言えない、そんな顔だ。

「どうよ、お味の方は」

「冷めたご飯だよ、これ」

「炊く必要は無いらしいな、今日は日も強いし晒しておけば勝手に温まるんじゃないか」と心配するような事は無さそうで一安心して、つい適当な提案をした。というか問題があるなら梅干しのじいさんが何かしら注意をするはずである。

「えーじゃあそれまでどうするのさ」

「その冷めた米でも食っとくしか無いんじゃねえの、ほらここにまだ沢山梅干しがある。これと一緒に食えば割と気にならないかもしれん」梅干しが入った瓶をバクドーに投げ渡す。

「えー」不満たらたらの様子だが、瓶を受け取りお腹が空いてるバクドーは「兄さん、皿とスプーン」と言ってきた。「あいよ」自分のリュックから実家から持ってきてずっと使ってる木の皿とスプーンを取り出し、スプーンを乗せた皿を床にスライドさせてバクドーに渡した。バクドーは皿にカレーのご飯みたいに米を装い、梅干しを乗せ「いただきまーす」と言い食べ始める。

「どう、マシになった?」

「マシにはなったかな、梅干しの酸っぱさのおかげで冷たさはそんなに気にならなくなった」

「それは上々、俺もお腹空いたし食うかな」


俺たちは静かに食事をしている。特に話すことが無ければ黙々と食べる。しゃべらなくても気まずくなることはないからだ。食べながら俺はこの10年間の旅を振り返る。いろんな場所を巡った。故郷のブロコリー村を17歳、バクドーは15歳の時に飛び出してから、トマ島、キャベツイスターランド、チーズン帝国、ジャガ・イーモ.... ほんといろんな場所を巡った。けれど至高のハンバーグが眠ると言われてるハンバーグ島の情報は一つも手に入れることができなかった。分かったのは俺たちの今いる場所にある黒い柱、これに崇拝こそすれ誰も近づこうとしないことだ。敬っているのなら、あの柱に近づくことをみなが恐れている、拒否してる。催眠術にかけられてるかのように


「兄さん、そういえばさっき寝起きに、いいところだったのにって言ってたけど、何の夢を見てたの」と急に話しかけらたので回顧を終える。

「えーとなんだっけな、、、そうそう、俺たちが小さい頃親父の書斎で見つけた「ハンバーグとギアン」だよ」

「あーあれね」と言ったバクドーは脇に置いたショルダーバッグから表紙に蒼い宝石が埋め込まれた一冊の本を取り出し「これでしょ」と俺に見せつける。

「それそれ」

「僕たち何度もこの本読んだよね、最初の悲しい所は僕はあんまり好きになれないけど」

「そこの部分も俺は好きだけどな、おかげでギアンはとても楽しそうなのにずっと悲壮感漂ってるし」

「それの何がいんだよ」

「分かんねえなら、分かんねえままでいいよ」

「なんでさ」

「これは性癖の話だからさ」

「?」

「さ、そろそろあの柱について調べようぜ」残りを口に掻き込み、片付けを始める。バクドーはもうこれ以上の回答は得られないと察して、自分も残りを口に掻き込み、片付け始めた。


ドラクエ6の賢者、魔法のスペシャリストなはずなのに最上級の攻撃魔法、イオグランデしか覚えないの納得いかない。

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