1話 目覚め
初めまして、クラゲもちもちです。
ぼくは とても 食いしん坊
いくら食べてもお腹はペコペコ
ママは、ぼくがおかわりを頼むとカリカリ・イライラ
一回、二回、三回、四回...
何回もおかわりするぼくに、ママはとうとう
テーブルをパシンと叩いて
こう言った
家を出て行って、お願い
あの人は家に帰ってこないし、お前のせいで私は飢え死にするわ
って
ぼくは呆然とした
そしてぷるぷるとイスから立ち上がって
ごめんね ぼくのせいで
ママ 大好きだよ
そう言い残してぼくは
ママが言う通りに家からとぼとぼと出て行った
家を出るまで我慢していた涙があふれだした
パパがいた頃は、どれだけ食べても
たくさん食べてえらいわねえ、ギアン
なんて言って いつも褒めてくれた
その時のママの顔はとてもかわいい笑顔で
ママが見せる顔の中で一番好きだった
パパがいなかったら僕がお嫁さんにしたかったぐらいだ
なのに、こんなに可愛いママをほっぽいて
どこに行っちゃったんだ、パパは このバカ
それからママは枯れた花みたいにみるみる元気がなくなっていって
笑うことを忘れちゃった、それかどっかに落としてぐちゃぐちゃに踏んづけちゃったんだ
でもそれもこれもきっと全部ぼくのせいだ
食べてばかりのぼくに呆れて 家を出て行っちゃったんだ
きっとそう
だからぼくがいなくなればパパは戻ってくるはず
そうすれば ママもまたあの可愛い笑顔を咲かせてくれるんだ
そう思えば涙も少し引いてきた
でもそこにぼくはいないんだって思うと
また涙があふれてきた
これからどうしようって悩んで歩いていたら
いつの間にか、まわりは霧だらけになっていた
見えるのは自分の体と目の前の小さな船だけ
船がぼくに乗ってと言ってるように思ったから
ぼくは少し迷ったけど、行く当てもないからすぐに乗った
ぼくはびっくりした だってオールが勝手に一人で漕ぎ出し始めたんだもん
この船はぼくをどこに連れてってくれるんだろう
行くなら僕の好きなハンバーグがたらふく食える島とかだったら いいなあ
ああ 食べ物のこと考えてたらお腹すいてきたや
何か食べるものはないかな
あれ 船の下にいるのはなんだろう でかい
「兄さん、着いたよ」
「兄さん、着いたってば 起きて」
肩をガクガクと誰かが揺さぶるので、心地よい眠りを妨げたやつに怒りを覚えながらもゆっくり目を覚ます
「んだよ せっかくいいところだったのに、誰だよ」
「誰って... 僕だよ、兄さん 弟のバクドー」
「あーなんだお前か、あんまり強く揺らすなよなー、でえ着いたってどこに」目を擦りながら問いかける「まだとぼけてるのかい ほらあれだよ」と反対方向に指を指したので俺も同じ方向に目を向けると、そこにあったのは何者も拒絶しそうな真っ黒な色をした巨大な円柱だった。上を見上げたら天まで伸びていて、果てがなくてどこまでも伸びてるんじゃないかって思わせる。綺麗な青い海と空の間に挟まれてそびえ立つそれは奇妙で不気味だった。
「僕たちの最後の希望、世界の監視塔さ」
一応物語の流れは結末まで浮かんでるけど、初めて書くから短編になるのか、長編になるのか分からん