タイトル未定2024/04/22 21:13
実際に体験させてもらったことをもとに、もしこうなっていたら、なんて妄想しながら書いてます。
読んでいただきありがとうございます。
仲良しとはどういう状態をいうのか、はっきりとした線引きはないような気がする。そんなことを考え始めたのは、友達という名前の人に対して、おかしな感情を抱いてしまってからだった。
四ツ谷
高校一年の春、寝る間を惜しんで勉強したかいがあったのか、友人と同じ高校に入学できたことを喜ぶとともに、もう一度新しいことを叩き込む日々が始まったことに謎の懐かしさを感じた。
私、四ツ谷 和は、友人である橘 律と、幼馴染である坂上 さとり(さかがみ さとり)とともに、もう一人の友人寺沢 千結を教室で待っていた。
「ちーちゃん遅いね~。」
ゆったりとしたリズムでしゃべっているのがさとり、
「マジでそれw また寝坊したのかな。」
明るく、時にはうるさいのが律。
「ごめんみんな~。目覚まし時計が鳴らなくてさー。」
おそらく廊下を全力ダッシュしたであろう千結が到着した。
「おはよ千結。」
「うん和かも。」
この4人は、小学校のころからの中で、その中でも私とさとりは、親同士が知り合いで、小さなころから知っていた。
朝礼までもう少し、というところで、先生が教室に入ってきた。まだ時間はあるが、早めに席に着いたほうがよいだろうと考え、私は窓の近くにある自分の席に歩いて行った。
3人ともすごく優しい良い友人だし、あの3人以上に信用できる人間は、後にも先にももう誰もいないだろうと思っていた。
窓の外を眺めている間に朝礼は終わり、一時限目は、本格的な授業ではなくオリエンテーションのようなものだということを思い出し、心の中でガッツポーズをした。
「和さ、ノート持ってきた?」
「えっ、まさか律また忘れた。」
「それがそのまさか。」
「中学の時も同じことしてたじゃん。しょうがない、私のルーズリーフを一枚進呈しよう。」
「ありがとうごぜえます。」
おかしなのりはいつものことで、この空気がいつまでも残っていることを願っていた。
結局一日はすぐに終わり、私たちは帰路をたどっていた。
男子二人が分かれ道でわかれたあと、女子二人で話をしていた。
「今年も同じクラスでよかったよ。」
「私も。」
お互いがお互いのことを知っているからこそできる静寂が心地よいのは、気疲れすることのない暖かい時間。いつもならこれがもう少しだけ続いている。でも今日は違った。
「あたしさ、さとりが好き。」
千結の発した言葉には本心だという力強さがこもっていた。だからであろう。私の口はその瞬間に動かなくなってしまった。
「いや、ばれてるかと思ってたんだけど、その様子だと気づいてなかったのか。」
無邪気に笑う彼女は、何かを吹っ切ったかのような、そんな顔をしていた。
「うん、全然知らなかった。」
そっけなかっただろうか、でも彼女が何を言いたいのか分かっていないのに無駄な言葉をかけるのは逆効果だということがなんとなくわかった。
「そっか。あのね、」
夕焼けが彼女の背中を赤く染めていた。逆光で顔が暗く映っている彼女は、笑顔の隙間から悲しそうな表情を少しだけ見せた。
「あのね…やっぱり、言わない。」
悲しい表情の正体が何なのかを知ることができないまま、彼女はその表情を言葉と一緒に隠してしまった。無理やり笑顔を作った彼女の顔はすごく、いびつだった。
「なんて言いたかったのかまではわからないけど、なんかあったら言ってね。」
いま私ができる一番の励ましの言葉をかけて、それを彼女がどう受け取ったのかはわからないけど、私の仕事はそれで終わりなきがした。というか、終わらなければいけない気がした。
「ありがとう。それじゃ。」
私たちにも分かれ道が来たようで、お互い手を振って別れ、彼女の姿が見えなくなると激しい違和感が胸を通り過ぎて行った。罪悪感でも恥じらいでもないなにかすごく不思議なもの。
さっきまではそんなことなかったのに、彼女が何を言いたかったのか一気にそれに興味がわいた。
自分でも自分の感情がよくわからないような気がしてどうにかほかのことを考えるようにして家まで帰った。そのあとはよくわからない。手早く夕食を済ませると、自分の部屋に駆け込みそのまま眠ってしまった。あまりよく覚えていないが、千結が悲しむくらいなら、自分が代わりになったほうがいいんじゃないかなんてかっこつけたことを思った記憶がある。
朝布団の上に沈んでいる私はいつもより早く起きたようで、目覚まし時計はまだなっていないようだった。学校に行くのが嫌なわけでも何でもないのに手が動きにくいのはたぶん勘違いで、カバンを手に取って家を出るといつもと同じ私になっていた。
何となく千結にあいたくないようなきがしたから、小走りで昨日通った分かれ道を通り過ぎる。
息を切らせながら校門の中に入るとさとりが靴を履いていた。私よりも少し身長の高いさとりは、ゆったりとした口調の反面時々ズバッと正しいことを言って私のことを支えてくれた。
自分が見られていることに気が付いたのか彼はこっちを見て私を見つけると靴を持っていない左手で大きく手を振った。
「おはよー。」
「おはよう。」
いつも通り挨拶を交わすと、彼は私が靴を履くのを待って、一緒に教室へ向かった。
教室につくと、半分くらいの人がもうついていて、その中にはまだ律と千結の姿はなかった。
自分の席で余った時間をどう過ごそうかと考えていると、さとりが近づいてきて、机を挟んで私の前にしゃがみこんだ。
「まだ2人来てないみたいだね。」
「うん。」
「今日はあったかくなるといいね。」
「うん。」
「昨日さ、近所の猫がかわいくてさ。」
「そうなんだ…」
そっけない返事ばかりを返す私。なぜかいつものようにしゃべれなかった。
「和?」
名前を呼ばれてギクッとしている私を少し見てから彼は一度何かを考えてからまた口を開いた。
「なんかあった?」
低い声が耳まで届いて、それを自分が解釈する前では時間がかかった。それでもさとりはそれを待っていてくれていた。何もないといえばうそになるのかもしれないけど、さとりには離せない内容というのはわかっていたし、もし今話してしまったら千結の利益はない。というよりかマイナス。
「なにもないよ。ありがとう。」
作り笑いを返したことがばれていなければいい。さとりはいまだに私のことをじっと見ている。
「おはよー二人とも!」
元気のよい声は私の前に来ると、よっと小さな声を出しながら手を挙げた。
「ちーちゃんおはよー。」
この参院だけということが嫌に気まずく感じた私は、
「ごめんっ。お手洗い。」
と、必殺技を使った。これに勝てる人はいない、はず。
小走りになりながら廊下に出るとちょうどそこには律がいた。
「おはよう、和。」
「おはよっ。」
律にどことない安心感を感じた私は歩幅を徐々に落とすと、律の前で止まった。
「急いでたじゃん。どこ行こうとしてたん?」
「まぁ、女子には言えないことがあるのよ。」




