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《血まみれ一族・チューダー家》

《Kaffeepause ☆カフェブレイク☆Cafépause》


血まみれ一族・チューダー家


挿絵(By みてみん)

※1833年にポール・ドラローシュによって描かれた美しくも哀しい『ジェイン・グレイの処刑』の絵。



 前回「チューダー朝ヘンリー7世の家系図」について書いた際に、プランタジネット朝からチューダー朝までの国王の名前を書き並べましたが、この中の何人かは「悲劇的に殺害あるいは処刑された」あるい「非道に殺害あるいは処刑した」という、この王達に殺害された人物の名前がどうしても後ろから這い出してくるような、なんとも血にまみれた記憶が呼び覚まされる見覚えのある名前ばかりでした。


 整理すると、前回のリストの中で自然死した国王は、プランタジネット家のエドワード1世、エドワード2世、エドワード3世、ランカスター家のヘンリー4世とヘンリー5世。そしてヨーク家のエドワード4世と、チューダー家ではヘンリー7世、ヘンリー8世、エドワード6世とメアリー1世とエリザベス1世であり、なので普通に亡くなった王の方が多いのですが、ヘンリー6世はヨーク家から暗殺されたという説が濃厚ですし、リチャード3世はヘンリー7世に戦争で負けて殺害されました。  ただ、「非道に殺害あるいは処刑した」王として筆頭に上がるのは、皆様ご存知のように、ヘンリー8世で、彼の治世では2人もの王妃が処刑されていたためか、そもそも陰惨な雰囲気が背後に漂い、その後ジェーン・グレイはたった9日間王位に就いた後に、メアリー1世に首を刎ねられましたし(彼女のその瞬間の美しい絵画があるので、この絵画をご存じの方も多いことでしょう)、一方、メアリー1世と同様に、やはりヘンリー8世の娘だったエリザベス1世もやはりスコットランドの女王だったメアリー・ステュアートを処刑していますよね。


 この当時の処刑法は、ギロチンではなくて死刑執行人が手に持った斧で首を斬るというもので、処刑場はなかなかに残虐な光景に満ちていました。


 しかもまた、エリザベス女王は父ヘンリー8世によって処刑された2度目の妻アン・ブーリンの娘であり、またメアリー1世の母はそのアン・ブーリンによって離婚させられ王妃の地位も剥奪されたキャサリン・オブ・アラゴンという、とにかく最初から陰湿な空気漂う、登場人物の全員が仄暗い因縁の中から這い上がってきたような、そんな雰囲気が充満しています。


 そういう理由もあり、チューダー朝からは特になんだか特におどろおどろしい空気が流れているように思えてならないのです。


 また、これは私の私見でしかありませんが、ヘンリー8世の父、ヘンリー7世も考えてみれば実はあの狂気のフランス王シャルル6世の血が流れていますよね。シャルル6世の娘キャサリン・オブ・ヴァロワが祖母だったわけで、例えば彼女の愛息子であったヘンリー6世はその遺伝によって精神を病んでいたため、そういうわけでヘンリー6世は国王にふさわしくない大きな理由があるとヨーク家から付け込まれ、最終的にランカスター家はヨーク家から王位を奪われる原因となったわけですが、そう考えれば、彼女の狂気の血がヘンリー8世に流れていて、それが理由で彼は非常に残虐な性質になったのだとは考えられないでしょうか?


 男児欲しさに次々に妻を変え、気に入らないことがあれば追い払い、王妃の地位を剥奪し、場合によっては首を刎ねて殺すことも厭わないだなんて、どこかで精神を病んでいたからこそ、あれほど残酷になれたのだとは言えないでしょうか。


 彼の娘であるメアリー1世にしてもエリザベス1世にしても、共に自分の母親の無念さを考えれば、心から父を尊敬し慕うというような気持ちは皆無だったことでしょう。


 しかしそのメアリー1世にしても超カトリック大国スペイン・ハプスブルグ家のフェリペ2世と結婚したこともあり、もちろん彼女自身も母キャサリンによって生粋のカトリック教徒とは言え、異常なほどプロテスタントに対する過酷な弾圧を行い、彼女は「Bloody Mary(血まみれのメアリー)」という異名までついた人でした。このプロテスタントへの異常なまでの激しい弾圧には、父ヘンリー8世へ対する恨みや憎しみも込められていたのだろうとは想像できますが、この彼女の残酷さも父譲りの、何か精神疾患から来るものだったという可能性はないのでしょうか? 


 さて、このヘンリー8世が政敵によって牢獄へ入れられることもなく、また殺害されることもなく、肥満による健康の問題でというむしろ幸せな病気で天寿を全うできたことは、それだけでも彼は有り難く思うべきだと思いますが、しかし、その後王位を継いだエドワード6世、メアリー1世、エリザベス1世という彼の3人の子供達は誰一人子供を生むことなく、エリザベス女王の治世でチューダー家は終わってしまったわけで、これも彼の血を引いてしまった子供達を通して、彼自身に天誅が下った結果かもしれませんね。


 しかし、これ程にも陰惨なチューダー朝の王のリストの中で、私自身がもっとも拒否反応が出てしまうのは、どういうわけか実は初代ヘンリー7世なのです。


 彼は凡庸そうな顔をした人で、悪人なのかと言われると顔立ちからはそれははっきりとはわかりませんし、特に何か残虐な事をしたというような記録も残ってはいないようです。


 しかし私がヘンリー7世にひっかかりを感じる大きな理由というのは、それはエドワード4世の息子で少年王だったエドワード5世とその弟リチャードが、叔父であるリチャード3世に殺されたと言われている事件において、本当の真犯人というのが、実は彼なのではないだろうかと思ってしまったからなのでした。


 次回はこの件について、色々聞いたり読んだりしたことから、私なりの考察を書かせていただこうと思います。





Copyright@2023-kaorukyara


しばらく週に1度、週末の日本時間22時頃の公開予定です。


またベルギーに近いドイツ在住の地の利を生かして、InstagramやTwitterではマリー・ド・ブルゴーニュのゆかりの地ベルギーのブルージュで見かけた、マリー姫に関連するものをご紹介していきます。


この物語と合わせてお楽しみ下さい。



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