『多重人格』
「範…あ、君代ちゃん また、明日ね。」
「うん。佐奈ちゃん、ありがとう。また、明日 学校でね。」
何気ない、小学生の下校風景に見えた。
君代と呼ばれた少女は、自分の家であろうアパートの一室のドアの前に立つと、目を閉じて心の中で数え始めた。
(1、2、3…)
(もう、いい?)
(…)
(もう、いい?)
(やだよ。君ちゃん。わたしやだよ。)
(八重ちゃん、いつも、ごめんなさい。)
(やだよ。もう、叩かれたくないよ。)
(1、2、3、4、…)
(もう、いい?)
(…)
(君代…)
(勝君?)
(あぁ、君代、範子は?)
(範ちゃんは、深く深く隠れてる。今は、わたしが範子の変わり。)
(…そっか。)
(…おい!君代!)
(!…望!)
(私をすぐに出せば、あの男ぐらい簡単に殺してやるぞ。ははは)
(やめて、望!あなたは出てこないで!)
(ふざけんな!これ以上、範子が深い場所に隠れるのが君代!お前の望みか?)
(そんなわけないじゃん。)
(二人とも止めて。)
(八重ちゃん)
(八重)
(八重…お前)
(…)
(……)
(いいの。わたし一人が我慢すればイイことだから…皆は黙っていて…いつか、範子が出てきて私達が消えたとしても、私達は、範子が作った姉弟だから……君ちゃん、もういいよ。)
数え終えたのか?
少女が目を開き、震える小さな手で玄関を開けた。
「…た、ただいま…。」
読んで頂き誠にありがとうございます。
今日は、「夏のホラー2021」です。
いや~、別にね。毎日投稿する義務は無いのですが、昨日は初めて投稿しないかったです。(うち二作品は、私は不注意で運営より削除されました。)
それでは、またお会いいたしましょう。m(._.)m
追記:もし、気になったら『七夕の日』も読んで頂けたら幸いです。
https://ncode.syosetu.com/n6907hb です。m(._.)m