表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

遭逢

暇潰しの投稿

「ここは何処だ?」


そこは見渡す限り何も無い灰色の空間

そして自身の身体は地に足を付けず宙に浮いていた

男は現在置かれた状況に困惑しながらも記憶を辿りながらここに至った経緯を思い出す


「そうだ・・・俺は・・・!」


男が記憶の根源から情報を引き出しかけたその瞬間、後方から何か気配を感じた

咄嗟に振り向くとそこには何も無かった

しかし何かそこに存在するという気配を感じ取ることができた

男は不安を抱えながら構えていると何処からともなく声が聞こえた


「警戒しなくてもいいですよ」

「貴方は久しぶりのお客様ですから」

「我々は君に危害を加える気はありません」


人間の発する音とは思えない複数の声が男に語りかけてくる

その得体の知れない存在に男はより警戒心を強めた

そんな事はどうでもいいと言わんばかりに謎の声は再び語り始めた


「更に警戒されてしまったようですね」

「それより貴方がここにいる理由を思い出しましたか?」

「随分と長い時間眠っていたから記憶の方に不具合が出ると思っていましたけど大丈夫のようですね」


謎の声の問いに男はハッと驚いた顔をした


「自宅の納屋を掃除していた時に古びた箱を見つけて開いたら中から黒い霧のような塊が出てきた・・・そして黒い霧が俺の身体を貫いた!?」


男は自身の過去を思い出し顔を曇らせた

そして同時にある疑問が浮かんできた


「俺は何故生きている?」


震えながら自身が撃たれた箇所を念入りに確認する

だが直ぐにその疑問は解消された


「貴方は自分が生きていると思っているようだけど正確ではありません」

「今の貴方の状態を正確に言うなら〝死んでいないだけ〝です」

「普通あれだけのダメージを負ったら即死とは言いませんがまず助かりません」


謎の声から貰った回答に酷く動揺しながら男は尋ねた


「俺は今どうなっている?」

「〝死んでいないだけ〝とはどう言う意味だ?」

「そもそもお前達は何者なんだ?」


男は浮かんできた疑問を一気にぶつけた


「まず貴方は一度死んだが活動停止した肉体とそれに宿る魂を我々が回収し修繕しました」

「この世界では生と死の概念がありませんので肉体と魂が万全の状態でも生きているとは言いません」

「我々は貴方のいた世界とは違う別次元に存在するモノとだけ言っておきます」


突然の答えに半信半疑ながらも辻褄が合っている事に男は動揺しながら更に問いを投げた


「何故俺を修繕・・・いや助けた?」


言いづらそうに間を開けて謎の声は答えた


「貴方を襲ったあの黒い塊とーはかつて我々の同族だった者が創り、使役しようとしていた存在だったのです」

「そしてアレは貴方のいた次元世界のあらゆる物質に干渉し侵食しながら属性を変えてしまう厄介な特性を有しており、放っておくとあの世界のバランスが崩壊して周囲の次元世界に影響を及ぼす可能性が高いのです」

「我々は早急にあの黒い塊に対処する必要がありましたが貴方を貫いた事で貴方の属性を変えたと同時に黒い塊は貴方の属性をコピーして物質的肉体を手に入れたのです」

「我々は物質的肉体を持たないので貴方の次元世界に長時間直接干渉するのが難しい状況にあります」

「なので同じ次元世界の存在にあの黒い塊の対処をしてもらうしかないという結論に至りました」

「貴方はあの黒い塊に貫かれた事でお互いが同じ属性となり干渉しやすいようになっている筈ですのでこれ以上の適任者はいないと考えました」


謎の声からの応答に男は不満を漏らした


「俺はまたあんな目に遭うのはゴメンだ!」


自分勝手な意見を申し訳なさそうに思いながら謎の声は答えた


「そうですよね・・・しかしもう貴方の次元世界だけの問題ではないのです」

「それにタダで働けと言うつもりはありませんし出来る限りの支援と報酬を差し上がるつもりです」

「なのでこの話是非受けてもらえませんか?」


面倒な事と思いながらも〝支援と報酬〝という言葉に男は少し興味を示し問いを投げた


「支援と報酬って具体的に何をしてくれるんだ?」


多少興味を持ってくれた事を嬉しく思ったのか重苦しい空気が少し軽くなった


「我々は貴方の次元世界と同じ物質的肉体を持たないので金銭や道具などを与える事は出来ませんが魂そのものに能力の付与・削除・強化などが出来ます」

「例えば目に関する能力ならちょっとした視力の強化から未来視などの超能力のようなものまで様々な条件の下で強化や付与をする事が出来ます」

「因みに先程言いました条件というのが一定量の魔力因子を変換して魂の情報を書き換える事で能力付与などを行います」


続けざまに難解な単語を連発する謎の声に男は少々混乱しながら言った


「待て待て少し頭の中を整理させろ」

「突然の事で頭が混乱する」


その様子を見た謎の声は嗜めるように


「では一度貴方を元の次元世界へ送還します」

「そして我々と交信できる能力を付与します」

「能力と一緒に使用方法の記憶も付与しておきましたので帰還後にご確認ください」


「「「それではまた近いうちに・・・」」」


最後の言葉を聞いた男はその瞬間意識を失った


更新は不定期

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ