まるで異世界転生!?大爆発!恋愛禁止物語 お試し版
※この作品はパイロット版になります
書き続けるかどうかは皆さんの反応で決めようと思ってます。
プロローグ
機体左側ニ損傷確認。損傷率三十%。自動修理システム作動。自動修理システム作動。動力ノ一部ヲ自動修理システムニ回シマス。航行一時停止。航行一時停止。
暗い空間にある無数の飛礫。宇宙船がその空間を漂っていた。PX01号。パーフェクトクリスマス号。クリスマスに出来上がり、最新技術の粋を集めたその機体に今、暗雲が立ち込め始める。
飛礫は大小様々であり、大きいものは山のように大きなものもある。船が停止する中で、そんな飛礫同士がぶつかった。ちょうど十階建てのマンションほどの大きさの飛礫だ。宇宙船よりもはるかに大きい。飛礫は急激に進行とは違う進路を取り始める。それは明らかにぶつかった速度よりも早く急転回した。その不規則な動きにコンピューターは対応できなかったのだ。
そうして、PX01号は止まった。
「まずいわね。隕石群の中で停止だなんて」
女性の名はミラノ。この船の船長である。彼女に課せられた任務は銀河系探査であった。
出発当時の技術の粋によりハイパージェットモードを取り入れたこの船はいわゆるワープ航行を可能とさせ、一瞬にして太陽圏を離れる技術を持ち合わせていた。そしていざ、ハイパージェットモードで飛び出した先がこの隕石群だったのだ。
「船長、このまま浮遊していても危険なだけです。目の前の隕石に一度腰を落ち着かせましょう」
彼は夜見。この船の乗組員だ。若干十八歳にして、宇宙飛行士になる快挙を成し遂げた期待のホープである。
初のハイパージェットモード、最年少の乗組員。地球ではこれらが話題を呼び、かなり注目度の高い出航になった。宇宙を解析する無限の可能性。そんなフレーズが飛び交い、彼らを送り出したのである。
「船長、サッチが先程の衝突により、衝突により死亡しました」
扉から勢いよく入ってきたのはこの船のパイロット、ベンジャミンである。童顔で背の低い彼は夜見のそれよりも若く見えるが、歳は28とそこそこである。サッチを除けば彼が最年長だ。
「そう……。わかったわ。ベンジャミン、とりあえずマニュアル操作であの隕石に着陸できる」
ミラノは一瞬顔を伏せて、しかしすぐに顔を上げ凛々しく指示する。
「はい、わかりました船長」
ベンジャミンも事態は飲み込めているのか、テキパキと動き自分の座席に着いた。
船が動き出す。とすぐにアラーム音が鳴った。
隕石接近中、隕石接近中。
モニターに映し出されたのは船の後方。強大な隕石が船に向かって押し寄せていた。
「っく、まさか幸先よく死の地帯に足を踏み入れるなんてね。ベンジャミン、なんとかして。あと、夜見貴方はこっちに来て」
「あいあいさー」
ベンジャミンの声が聞こえるか否か、船体が急上昇する。そんな中夜見はミラノに連れられ船内を移動した。
「急にどうしたんだ。船長、いや、ミラノ」
夜見が連れられたのは脱出用のポッドであった。夜見が口を開くとすぐに、その口は閉じられた。そう、ミラノが急にキスをしたのだ。
「な、なんだこんな時にいきなり」
非常識も甚だしい。この非常時に恋の情事に火を点けるなんて、と夜見は思った。と、そんな抗議も虚しく、今度は胸を急に押された。夜見は不測の事態に対応しきれずにそのまま後ろに飛ばされる。
「さっきから何を」
飛ばされた先はポッドの中だった。そして、中に入るや否やその扉が閉められてしまう。
「っておい、何やってる」
「ごめんね、夜見。今、船の情報をブラックボックスに転送する」
ミラノの目には涙が流れていた。その涙を見たからか、ブラックボックスの話題が出たからか、夜見はようやく自分の状況を理解し始めた。
「おいっ、開けろ。なぜ俺なんだ。お前が乗るべきだ」
夜見はドンドンドンッと扉を叩いた。力いっぱい叩いても、扉はうんともしない。
「ううん。これは決められていることだから。一番若い貴方が一番可能性がある。合理的な結論よ」
ミラノが何かのスイッチを押す。と、ポッド内に煙が充満してきた。
「そんなことを言ってるんじゃない。俺たちの子はどうなるんだ。お前が乗るべきだ」
夜見は必死に声を張り上げる。しかし、それは白い煙を大量に吸う結果となった。夜見の意識が朦朧としてくる。
「安心して。そんなのいないから」
薄れゆく意識の中で、ミラノのそんな声が聞こえた気がした。夜見はそのまま深い眠りについていく。ポッドが勢い良く発射される感覚が僅かに感じられた。宇宙が暗く広がってくる。飛礫が光を発しているかのように細長く見えた。あるいはあれは星の輝きだったのかもしれない。夜見の意識はそこで途切れた。
ーーーーーーー
「オギャーオギャー」
「遂に生まれたか」
「オギャーオギャー」
「おお、こっちも生まれた」
「最強の遺伝子と、最恐の遺伝子を持つ、未来を担う子どもたちだ」
「この衰退していく世界に未来を。君たちの活躍に期待する。さあ、祝杯だ。乾杯」
ーーーーーーー
四季は毎年巡るというのに
僕の季節は止まったままだった
君と交わす約束を夢見て
僕はずっと君を想う
あの空よりも高く
あの海よりも深く
地平の彼方にいる君に
届けたい想いがあるんだ
風よ必ず運んでおくれ
僕の想いを運んでおくれ
この地球を包むほどの愛ならば
必ず君に届くと信じている
僕の気持ちはいつまでも
僕の気持ちは更に大きく
雨よ洗い流しておくれ
この不安を流しておくれ
君が僕と同じであるよう
君とまた会えるようにと
最後に貴女に渡した手紙は確かこんな感じの言葉だった。雨は降り、綺麗に流してくれたようだ。風が吹き世界に僕の想いが流れたようだ。ようやく、ようやく君と会える。この扉の向こうに君がいる。
レシェフがこの世に舞い降りた
彼は世界を二つに切り裂いた
アダムとイヴは地獄に落ちた
楽園から追放された後にある幸せは
ただ一つだけだったというのに
彼らは離れて暮らさなければならなくなった
ああ、だめね
あなたを想うと暗い気持ちにばかりなる
本来ならあるはずの幸せが
こんなにも苦しいものに変わるだなんて
一体だれが想像できたでしょう
もう一度でいい
もう一度だけでいいから
貴方に会いたい
きっとそう思っている人々は世界中にいるはずなの
だから私は立ちあがった
敬愛するアテナのように
そしたら貴方も立ち上がってくれた
そして世界も立ち上がった
今こそ地獄からの脱出を
レシェフが神なら
我らも神となりて対抗せしめん
自由と本当の愛を手に入れんがために
やっと、ここまで来れた。私の想いはもう張り裂けそうなくらいに溢れてる。この扉の向こうに貴方がいる。それだけで息がつまりそうになる。早く会いたい。早く見たい。早く声が聞きたい。神さま、最後まで私達を見守って。
ーーーーーーー
なるほどなるほどなるほどな。
フェロモンか。フェロモンに寄生しているのか
私はすぐにノートを引っ張り出した。そしてこの世紀の大発見の記録と野望のための方程式を組み上げる。
恋愛素粒子爆発
そう名付けることにした。男性フェロモンと女性フェロモンにそれぞれ別の超小型ナノマシンが寄生し、それが近づくことでフェロモンを分解。そして高速に飛散させる。すると素粒子状になったフェロモンが瞬間的に衝突し、後は素粒子爆発の原理である。
やっとわかったこの原理。
やっとだ、やっと野望が叶う。
これを応用すれば・・・・・・。
私は来るべきその日を夢見てペンを走らせた。
ーーーーーーー
〔まじリア充爆発しろ〕
〔なになに何があったの?〕
〔電車でペチャクチャペチャクチャうるせえんだよ〕
〔電車でうるさいのは彼らだけではないがね〕
〔はあ、わかってないな。そういうんじゃねえし〕
〔あーわかる。公共の場でイチャイチャされるとうざいよね〕
〔それな〕
〔私たち幸せですよって主張されてもうざいだけ〕
〔神理解者〕
〔あー一応断っておくがね。リア充という者はカップルのそれにのみ当てた言葉ではなくリアルが充実している人全体を指す言葉で、仕事で充実しているような人も含むのをお忘れなく〕
〔出たウザ絡み〕
〔おいおい空気読めし〕
〔知ってるわじじぃ〕
〔いや、一応だよ。一応。そんなに過剰に反応しないでくれ〕
〔消えろカス〕
〔NG確定〕
〔私は言葉を大切にして欲しかっただけで〕
〔他でやれカス〕
〔こういう知ったかぶりもうざいよね〕
〔そんなやつどうでもいいからリア充トーク戻ろうぜ〕
〔因みに知ったかぶりという言葉はこの場合当てはまらないことを指摘しておく。というのも適切に私は知っているからだ。知ったかぶりというのは知らないのに知ってる風な事を言う人のことを指す言葉だ〕
〔はい、NG〕
〔なになに、どうしたの〕
〔じじぃがうんちく始めたww〕
〔もう見えない俺勝ち組ww〕
〔で、俺もなんだけどさ。この前公園歩いていたら、「ひとし君のうち行っていい」って女の方がせがんでた。まじリア充爆発しろって思ったね〕
〔確かに爆破案件〕
〔リア充はすべからく爆破されるべきであーる〕
〔本当に爆破させちゃおうか〕
〔おっ、テロる?〕
〔そんな野暮なことしなくても爆破できるよ〕
〔おお、まじか!神降臨。方法は任せた。マジ頼む〕
〔オッケー〕
〔リア充リア爆発ウケるww〕
〔流行語大賞推薦しまーすww〕
〔ここにいる人は自分がリア充になった時の事を考えないのか。いや、野暮か。ここにいるやつらがリア充になることはなさそうだ〕
〔ちょっとこのリア充もお願いーー〕
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書き始めは早くても三月の中旬になるかと思います。
書くことにしたら、投稿は最後まで書いてからになります。