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ラケルの虚  作者: 風間 秋
第2章:魔禍
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強欲と策謀

 ニザ瘴土帯で過ごした刺激的に過ぎる夏は終わりを迎え、赤結の1節も4日。

 昼下がりに、4組で帰還が遅れていた小隊が学園に戻った。

 別段、事件に巻き込まれたなどという大層な話ではない。


 この世界(ラケル)の夏は専ら軍事行動の季節だ。

 地には魔が蔓延っている。彼の悪鬼らとの戦いは人類種に課せられた宿命と言ってよい。それが如実に形として現れるのがこの季節だった。


 農作物の収穫に先立って、青深節には多くの国で魔物を間引き憂いを払う『魔祓い』が執り行われる。

 これは教会法によって定められたある種の宗教行事で、戦時下であろうと怠れば厳罰を科せられる。妨害するのも同様。事と次第によっては背信行為として教会の粛清対象に名を連ねることになるだろう。


 斯くも重大な年中行事である。

 教会の資本により運営を支えられている学園がその援軍として駆り出されるのは、半ば必定と言えた。


 前期末試験と続く二月の休暇にはこうした背景がある。いや畢竟、休暇とは教官と候補生の手を空けるための方便なのだ。

 事実、候補生は専ら自主遠征の名目で迷宮の浄化に勤しみ、貴族の子弟の多くが領地の魔祓いの手伝いのため帰省する。


 とは言え、候補生を戦地に送り込むのは人類側が戦力に困窮しているからではない。正しく余力を残すため、余力があるからこそ訓練がてら使われるのだ。

 そして、貧乏貴族にとってはおいしい話でもあった。


 候補生が従事する迷宮の浄化は実入りがたいへんよろしい。

 予科1年で稼ぐ者は稀だが、2年ともなればこの自主遠征でその年の学費を賄う猛者は少なくない。

 平民が多数を占める4組では、自ずと遠征への参加者も増える。


 さてこの自主遠征、隊での行動が基本となるのだが、現場の事情に左右されるため始業に間に合わない隊が毎年それなりに出る。

 オルウェンキス率いる隊がまさにこれであった。



 ◇◇◇



「10階梯の炎を涼しい顔で耐えるかよ、くそッ!」


 締め切られた屋内訓練場に響くキャスパーの恨めし気な声を、アズルトは轟々と吹き荒ぶ魔炎ごしに聞き取る。

 そして直後に焔の壁を裂いて迫った刃を、手にした棍で打ち払った。

 間髪を置かず振るわれる鋭い斬り返しには、その軌道上に高速で回転する球状の気流――『風球』の魔術を差し込むことで太刀筋を捻じ曲げ無力化する。


「いや、素直に感心しているけどな。まさかベルナルドをこうも呆気なく降り切ってくれるとは」


 アズルトは今、キャスパーと実戦形式の模擬戦を演じていた。

 オルウェンキスの隊に編入されていたチャクから成果を聞くより早く、キャスパーに手合せを求められたのだ。


 立ち合いは防諜のための結界を張るクトがいるのみ。

 そのため能力抑制用の封縛術式(デバフ)をふたつ解除しており、これを以って『アズルト』の全力を装っている。

 それでも身体能力ではキャスパーになお分があり、剣の腕は言わずもがな。

 しかし、キャスパーの刃がアズルトを捉えることはなかった。


「でもまだまだだ。おまえの術には早さが足りない。発動に時間をかけ過ぎだ」


 相手の手の内が読めてしまえば、対策を講じるのは容易い。故に術比べではその暇を与えぬことこそ至極とされる。

 キャスパーの放つ牽制の魔術はその悉くがアズルトの展開した対抗魔術によって受け止められ、ひとつとして本来の用を果たすことはない。

 対するアズルトの魔術はすべてが万全に機能し、戦いの主導権を終始アズルトの側に保ち続けていた。


「自分たちがおかしいだけだって気づけッ」


 風球の合間を強引に抜いてきた切先は、棍の半ばで造作もなく受け止める。


「普通だろ」

「ガガもベルもバッテ教官には遠く及ばないんだぜ。なのにチャクが教官とタメ張る速さだ、これが普通なワケあるか。アズルトの班はどーなってんだ、よっ!」


 吸い付くような剣にエフェナの妙技を連想しながら、不意を打たんと繰り出された蹴撃を体術に魔術を絡め対処する。


「鍛えてるからな」

「オレだってな、生半可な修練で挑んじゃいねえ!」

「だろうな、休暇前よりも太刀筋が洗練されている」


 己の身体を頼みとする市井の剣から、魔術による拡張を前提とした騎士の剣へ。

 その進歩は目覚ましい。


「遠征の間もメナとの稽古は減らさなかった、そうだろう?」

「足りるかよ。そんなんで足りると思うのかよ!?」


 焔を纏った剣が振るわれると、軌跡が灼熱の刃となって襲い来る。

 だが、所詮は炎の形質を借りた()()剣技。『属性』を介して魔力を用いる限り、魔導の深淵を知るアズルトの防壁を破ることはどだい無理な話であった。


「加減をしてるオマエにすらオレの剣は届かない」


 疾風の如き剣撃を棍で受け、流し、払い、止め。時に魔術を交えながらアズルトは猛攻を捌いていく。


「キャスパー。おまえはどうにも思い違いをしている。武術によっておまえは攻め、魔術を以って俺はこれを制した。ただ武芸を競えば、どう足掻いたところで負けるのは俺だ」

「今はまだ、な。棒捌きに野心が透けて見えるぞ」


 アズルトの受け手が心なしか鈍る。


「野心」


 その響きは忠義を信条とするアズルトにとって、愉快とは言い難いものだった。

 ふっ、とアズルトの口から吐息が漏れる。


 ――『風塵』――


 アズルトが魔術を解放した瞬間、鼓膜を裂く金切音が響き、キャスパーの振るう長剣が大きく弾かれた。

 為したのは、錬成棍が刹那に纏った錆色の旋風である。


 真銀(ミスリル)と血液を主な構成要素とするそれは、錬金術と付与術により変性された棍そのものと言えよう。

 渦は勢いを増しつつ膨張し、棍を粉粒へと変じて呑み込むと、体勢を崩したキャスパーを無造作に打ち据えた。

 重い衝撃に、キャスパーが驚愕の声を残し宙を舞う。


 1秒にも満たぬ寸時の出来事である。

 風がアズルトの周囲を吹き抜けると、その手には再び長さ2メートル弱の棍が何事もなかったかのように握られていた。


 錬金と付与の複合魔術。

 それはアズルトが得手とする類の術式で、ここまで片鱗すら見せずにきたもののひとつだった。


「天空、其れ神域なり。禁を破りて人、地に縛らるる」


 アズルトの耳に馴染んだ声が、聞き慣れない語調で覚えのある文言を紡いだ。


 クトが吟じたのは聖戒の一節だ。

 古の時代、神々より宝珠を授けられた魔導師らが空を飛ぶ魔術を編み出した。

 彼らは魔道の深奥を極めんとするあまり天盤の空域を侵し、神々の怒りを買った人は飛行に類する魔術を永劫に剥奪されることになった、と教会は伝える。


 過ぎたるを窘めた誰もが知る訓話だ。

 しかしながら、とアズルトは考える。

 常には用いぬ文句で口を挟んだのは、そんなことを伝えるためではあるまい。

 この聖戒は歴史の中で数多の返しが詠まれている。クトが意図しているとすればそちらだ。


 壁際を見遣れば、あるのは変わらぬ無愛想な面差し。けれどアズルトにはそこに若干の呆れを読むことができた。

 つまるところ窘められているのだ。

 それに気づいたアズルトは、自ずと聖戒の意味するところも理解した。

 思い出した、と言うべきか。

 野心など、魔導に染まった愚物にとっては魂にこびり付いた垢に等しいのだと。


「人なお高きを望み、(かばね)の塔の頂に座す」


 魔導師の救いようのない希求を返すことで、クトへの礼の代わりとする。


「……ん。高きを知り、高きを忘れず」


 同じく魔導師の宿業を口にしたクトは、少しだけ思案してから「リド」と名を呼んだ。


「なんだ」

「教えを乞いたいんだと思うぞ、そいつ」


 予期せぬ指摘に自ずと眉間に皺が寄る。


「オ、オレは……別に」


 視界の隅に、剣を支えに立ちあがったキャスパーが視線を泳がせるのを見た。

 面倒だなとクトのぼやきが耳に届く。

 左手が鞘に掛けられているのは大方、意識してのことだろう。暴力による解決を好むのはクトの悪癖である。


「違うのか?」

「……っく。違わない」


 クトの静かな威圧にキャスパーは屈した。

 肩を落とし項垂れる様には、戦士としての矜持を踏み躙られた男の悲哀が窺える。

 さりとてアズルトの応えはひとつきりだ。


「学びたいと言われてもな」


 棍を3本の剣に変えて腰の鞘に納める。


「やれそうな奴らにやれることを教えただけだ。たまに修練の経過を見てやってはいたが、殆どあいつらの努力の成果だろう。そしてどれだけ努力を重ねようと、俺が教えた程度のことではおまえの影を臨むことすら叶わない」


 歴然たる差がそこにはある。

 それなりに手をかけたチャクでさえ、この天賦の才を前にすれば色褪せて見える。

 ましてアズルトは禁を冒すことを厭わぬ外法の徒。真っ当に天位を志す少年になにを教授することがあろうか。


「遠征最大の功労者はチャクだ」

「功労者、ね。聞こえの良い便利な言葉だな」

「信じてねーな」

「いや。あいつのことだ、上手く立ち回ったんだろう。あれには驕りがない、そして自信も。だからこそ知恵を絞る。定められたルールの中とは言え、常に俺たちを出し抜こうと画策している奴だ」

「信用、してるんだな」


 アズルトはただ沈黙を返す。

 チャクへの信などアズルトは持ち合わせていない。それこそ『野心』の二字が似合う少女だ。

 そして、であるからこそ手元に置いている。

 クトも同じ意見だろう。けれどそれを他人に語るつもりもアズルトにはなかった。


「頼む、機会をくれ」

「どう思う」


 拝跪まで始めたキャスパーを視界から追い出し、傍らにやってきたクトに尋ねる。


「らしくない」

「同感だ」


 視線を戻すもその面は伏せられ、心情を推し量るのは難しい。


「主義を曲げるだけのなにかがあったか」


「……メナに魔術の師がついた」


 試しにと問いを投げれば、用意してあったかのような答えが返された。


「おまえの参謀はチャクだな」

「ソ、ソンナコトネーヨ」

「そのことについてとやかく言う気はない。それで」


 安堵の溜め息を漏らしたキャスパーが、クトの結界の中だと言うのに辺りを窺いながらそろそろと近づいてくる。

 なんともまあ腹芸に向かない男である。

 アズルトは重ねて結界を展開してみせることで、その肩の荷を軽くしてやる。


「2組のアイナ・エメットは知ってるだろ。夏の間、特例でアイツがうちの隊に加わっていたんだ。アズルトほどじゃないが魔導の知識に富んでいて、オマエの指導を受けた奴らの戦いに興味を示した。でだ。知識を共有し相互の技の研鑽に励むことで合意したらしい。その輪に、メナも誘われた」

「なぜ今頃になってそんな話が出たんだ。それまでにしても彼女は訓練に混ざっていただろう」

「術師連中は剣士組と違って秘密主義だからな。それに訓練で使う魔術の階梯なんてたかが知れてるだろ。あとは……悪ぃ、口止めされてる」

「利敵行為か」


 驚いた表情をして視線でそっと肯定を示す。


「ただでさえ不味い組での立場がいっそう危うくなる」


 実に説得力のある口実だ。

 そう、口実。アズルトはそれがアイナの建前と信じて疑わない。


 キャスパーが引き合いに出すのであるから、メナの術師としての腕は少なくとも三流の域は脱しつつあるということ。

 だが、人理に従っていてはそんな芸当は為し得ない。

 アズルトの推定では最低で禁忌。過去作の知識もまだマシで、外の知識を駆使している可能性すらあった。


 遊戯会でいくらか術理を説いたアズルトだが、どれも人界の理の範疇でのもの。

 己を高めるためクトにだけは禁忌の類も仕込んでいるが、外にプレイヤーと特定できるような情報は残していない。万事、秘匿通信魔術を介しての伝授だ。


 アズルトが細心の注意でもって排している危険を、アイナは冒している。

 機を選んでいる以上は彼女にも多少の自覚はあることが分かる。であれば、アイナ・エメットのこの行動には相応の理由が必要なはずである。

 すなわち、隠しボスへの対抗という動機が。


 この件について迂闊に話をするのは、要らぬ窮状を自ら招くことに繋がる。

 厄介なことをしてくれたものだと、アズルトはこぼれそうになる溜め息を殺す。

 珍しく不快の念が胸中に灯っていた。

 隠れ蓑に使われているようで面白くないのだ。おまけに攻略中のゲームで他人に口を挟まれたような嫌悪がある。


 とは言え4組が強化されるのは主命に適うこと。それこそアズルトにとっての最上だ。

 見方を変えればそう悪い話でもないと思えた。

 元より『アズルト・ベイ・ウォルトラン』は隠しボスのことなど知り得ぬバルデンリンドの子山羊。これはそれを通すというだけの話なのだ。


 利用してやればよいと内心でほくそ笑む。

 アイナを介し2組に盗まれた時は――その時だ。敵が強ければそれだけ見世物としての出来も増す。

 アズルトはただそれを捻じ伏せる策を講じるだけである。


「おまえから見てアイナはどんな奴だ」

「剣はまだまだだけど才は十分。術に秀で、その扱いはベルにも勝る。それに、芯が定まってるな。天騎士になると宣言しちまうような豪胆な子だ。頑なで、一途で、貪欲」


 キャスパーの語るアイナには色恋の気配が薄い。

 外で語られる横恋慕の少女とはまるで別人だ。

 しかしながら最もアズルトの関心を引いたのは『天騎士になる』という部分だった。


 天位とは本来、なろうとしてなれるものではない。望むと望まざるとに関わらず、なるべくしてなるものだ。ましてゲームを基準に考えるならば彼女の素養はキャスパーにも大きく劣る。天位など望むべくもない。

 それを『なる』と豪語した。穏やかならざる話だ。


 アイナは『Lqrs』のコアプレイヤー。アズルトと同じく深淵を垣間見た人間だ。

 彼女の『なる』は願望とはまるで違う。

 メナへの教授も幾らか意味合いが変わってくるだろう。

 天位を夢見るメナは実験台であり、共謀者だ。ある意味ではアズルトとクトの関係が近い。それはつまるところ、メナが完全にアイナの手に落ちたことを意味している。


 してやられた形になるわけだが、アズルトはこの件についてはむしろ好意的ですらあった。

 興味が湧いたのだ。

 自分以外の『Lqrs』の愛好者が、その知識を駆使してどれほどの歪みを生み出すことができるのか。


 隠しボスの暴走に巻き込まれるのは御免である。

 けれどアイナのプレイヤーとしての実力を見極める必要性も感じ始めていた。

 アズルトの知識にも抜けはある。万が一攻略が手詰まりになった時、彼女は頼みとするに値するのか。


 それに、PvPと考えれば楽しみでもあった。

 持ち駒がキャスパーとメナでは不公平感が否めないが。


「ふたりでかかれば、おまえ相手にもいい線いくか?」

「オマエら基準で考えんなよ……それにアイナを分かってねー。あいつは今じゃメナよりも上、同期の4席だぞ。戦えば10に3、負けるのはオレの方だ」


 キャスパーの声に潜む焦燥を余所に、アズルトは己に課す条件を心に決める。


「それで、おまえは俺のところへやって来たのか」

「オレには(コレ)しかねぇ。アイツらに負けたオレにナニが残るってんだ」


 不貞腐れた風に零すキャスパーは妙に子供っぽい。

 いや事実、子供なのだ。成人を迎えているとは言えまだ15歳。

 取り得が脅かされたことで、底に沈んでいた捩じれが顔を覗かせたのだ。


 過酷な環境が精神を育てるのか、この世界(ラケル)では歳に似合わぬ大人びた子供を多く見る。けれど本物はひと握りだ。

 全体として早熟傾向にあるのは確かだろう。けれどアズルトは、不全を抱え子供らしからぬだけの者も数多くを見てきている。


 因果な世だと思う。けれど、アズルトが抱く感慨などその程度のものだった。


「いささか期待外れだ。もっと往生際が悪いものと思っていた。戦うことでしか身の証を立てられない奴なんてここには掃いて捨てるほどいる。おまえだけじゃない」


 俯き悔しげに拳を震わせる少年を見つめる瞳は冷淡だ。


 アズルトが力を求めて止まぬのはそれ自体が愉楽であるというのもあるが、野望を果たすための手段として不可欠と確信しているからだ。

 その点ではクトも同じだろう。目的があり、力を必要としている。


 才無き者が力を目的とするのは結構。それこそが大業だ。

 けれど才に満ちた人間が目先の力に固執し、あまつさえそれを目的として見ているなどひどく白ける話ではなかろうか。


「力が欲しければ盗め。手が空いている時ならつきあってやる。もし()()を学びたいと考えるなら、その時はチャクに言うといい。おまえには向かないと思うが話は通しておく」


 言い捨てたアズルトはクトに目配せで戻ることを伝え一歩を踏み出す。


「え、アズルト……?」


 驚きとも困惑ともつかぬ声が背に投げかけられるが、アズルトは振り返らなかった。

 ただ、扉を前にして確認しておくべきことに思い至り足を止める。


「ひとつ聞いてもいいか。どうしてアイナを頼らなかった」

「うっ……、師が違う方がメナとの稽古で実入りが大きいと思ったんだよ」

「チャクだな」

「ああ、チャクだ。権謀術数は学園の影と聞いてはいたが」

「焚きつけたのはおまえだぞ」

他人(ひと)事みたいに言うな。まあ、弁えている限りは好きにやらせていいだろう」


 アイナの存在が気に掛かろうと、チャクにすでに成果を出してみせたアズルトを切る判断は下せない。少なくとも今はまだ。

 だからこそキャスパーを嗾けた。敵を示すことでアズルトからより深い知識を引き出そうとの魂胆だ。


 とんだ問題児である。が、これでいてチャクは地に足がついている。

 夏期休暇の別行動は、訓練が本格化し始めた頃にチャクが自ら切り出したことだ。

 己の力量がアズルトらに釣り合わぬことを弁える彼女は、先々に備えるべく道筋を立てたのである。すなわち、自身の栄達だ。


 結界を解き、扉に手をかける。そして――。


「キャスパー。果てにおまえはなにを為す?」


 そう問いを預けたアズルトは、クトを伴い訓練場を後にした。

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