無知の少女
それは何気ない日常。
深い深い眠りの中、頭痛に苦しめられながら起きた。
目覚めが悪い。
ズキズキと痛む頭を抑えながら、布団からのっそりと出る。
着物をなおして皆が集まっているであろう座敷へと向かう。
長い渡り廊下を歩いて、うっすらと模様のある障子を開く。
「─おはよう、ティナ。ご飯出来てるよ。」
やわらかく微笑みながら私に話しかけてきたのは、長い艶のある黒髪が特徴の私のかっこいいお兄様。
お兄様のそばに駆け寄り、挨拶とお礼を述べ、朝食がのったおぼんを受け取る。
慎重に座席に運んでいると、「おーい!ティナー!」と名前を呼ばた。一旦立ち止って顔をあげると、ミカお兄様がこちらに向かって手を振っていた。
「はよーティナ!一緒に食うか?」
明るい口調でそう言ったのはこの屋敷で唯一のムードメーカー的存在、ミカお兄様。
短い髪に明るい金髪が特徴だ。
町へおりる時いつも女の人達に囲まれている。
人気の高いミカお兄様の隣に座って一緒に朝食を食べるなど、自害する事と同じだと密かに思っている。
なのでここは丁重にお断りさせてもらうことにしよう。
「おはようございますミカお兄様。大変嬉しいのですが、今日はお断りさせていただきます。」
微笑みながらお断りさせていただくと、ミカお兄様はしつこい人では無いので潔く席に座り朝食を食べ始めた。
私もとっくに座っていたお兄様の隣に座って朝食を食べる。
…別にお兄様がモテていないという訳では無い。むしろ1番モテているであろう。恋愛ごとにはあまりにも鈍感な本人は気づいていないが。だが私のお兄様だ。それに側にいる事が当たり前のようになっている。だから大丈夫…な、ハズ。
朝食を食べた後自室に戻った。
やることも無くボーッとしていると段々眠くなってきた。
そしていつの間にかまた、眠りについていた。
寝すぎは良くないですよね。