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プロローグ
浅き夢は、やがて現実となる。
『彼岸の時は、神社に行ってはいけないよ。』
そう、誰かが言った。
『君の血は、強く美しいカミガミのだから、お山の神社に行ったらカミ様に連れていかれてしまうよ。』
あぁ、そうだ。私は─
『もし、神社に行ってしまったら…』
声の主は確かに目の前にいるはずなのに、何かを話しているのに、モヤがかかるように聴こえない。
何?何を言っているの?教えて、貴方は─
手を伸ばすと、一瞬だけ、その人の顔が見えた気がした。
目の前にいるはずの人─彼の姿が薄く消えていくと共に、頭に鋭い痛みがはしった。
段々と、目の前が暗くなってくる。
意識を手放す寸前、彼が呟いた気がした。
『───』
何を言ったのか、分からないまま、暗闇の世界へ落ちた。
『─必ず、護るから。』