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魔将軍のご主人様になりました  作者: 浦 かすみ


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魔将軍と治療2

本筋がなかなか進みませんが宜しくお願いします




 どうしましょう。こんなスリルとショックとサスペンスは要りませんよ。


 事件解決には見た目は子供、頭脳は大人なあの子に頼りたいです。私にはおひとり様の生活力はありますが推理力はまったくございません。


 真っ青になってしまったオリアナ様を見て、余計な心配を与えてしまった事に、己の配慮の無さを痛感して、ただただ落ち込んでおります。


 皆様こんにちは。見た目は十八才、中身はポカリ様と同世代なカデリーナ=ロクナ=シュテイントハラルと申します。今日は本名で行かせて頂きます。


「母上大丈夫だ。父上もついているし、俺もいる。それにカデちゃんという治療術士の先生も傍にいる、大丈夫だ」


 ヴェル君はオリアナ様を抱きしめながら必死に宥めています。


「そうだ、すぐに父上に相談してみよう」


 え?ポカリ様にどうやって聞くの?もう、どこか魔界か魔神界に帰ってしまいましたよね?


 ヴェル君は左手を耳の上に当てています。携帯電話で「もしもし?」をしているみたいですね。


「あ、父上すみません。実は母上がちょっと困ったことになっていて」


 ま、ま、魔界って、エアー電話で繋がるんだぁ………そんな訳あるかーーー!


 ヴェル君はエアー電話で、ちゃんと?会話をしています。


「はい、そうなのです。それで……」

 

 マジなんなのアレ?私がポカンとしていると、ヴェル君が


「え?そうなのですか?でも……はぁ……」


 とか、チラチラこちらを見ながらエアー会話?を続けています。


「分かりました……はい、そう伝えてみます。では。はい。はい」


 ヴェル君はエアー電話?を切りました。ふぅーっとヴェル君は大きく息を吐いてます。


「カデちゃん、父上はこう言ってた。カデちゃんなら治療出来る。その為のご加護だよ、と。意味は分かるか?」


 ヴェル君の言葉に天啓のように、ピシャンと何かに打たれたような衝撃を感じました。


 転生のご加護、今の今までそれが何なのかはっきりした形で分からなかったのです。そうです…以前の人生で病に倒れ、悔しくて腹が立って…ずっと心に思っていたこと。どんな病も治せる魔法があったらいいのに。ああ……そうです、確かにそう思っていました。


 その願い、異世界で叶っていたのですね。私はオリアナ様の傍に歩み寄りました。


「オリアナ様、治療を始めましょう、必ず、必ずっ治しますし、良くなりますから!」


 今の私は自信満々です。ええ、怖いものはありません。


 私はヴェル君と一緒にオリアナ様を寝室へ連れて行き、ベッドに寝かせるとその横に立ち、静かに呼吸を整えました。


「では開始します。気分が優れない時はすぐにお伝え下さいませ」


 オリアナ様は緊張と動揺のせいか、体が震えておいでです。ゆっくりとお腹の魔石の結晶の上辺りに、手をかざします。ジッと見て魔石の質を解析し、魔石の中に魔法陣の気配を感じます。吸収してそれを体外に放出する術式が組み込まれた式紙が魔石の中にあります。


 この術式どこかで見聞きしたことがある術式です。どこで?この術式……まてよ?


「……ヴェル君ヴェル君。今、とても恐ろしいことに気が付きました」


「な、なんだ?母上は大丈夫なのか?」


「違うのです、オリアナ様は大丈夫なのです。その……オリアナ様の体内にある魔石は魔力を体外に排出する術式を組み込んでいます。そしてたまたまだと思いますが、魔術凝りを患っていらっしゃいます。この病例に心当たりはありませんか?」


「……魔術凝り……まさか、俺?」


 私はヴェル君を見つめました。オリアナ様も驚愕の表情で見つめています。


「ヴェル君の場合は魔術凝りになってから、ご自身で魔力を体外に排出する魔法陣を組んだのでしたよね?」


「そうだ…体外に魔力を排出する魔法陣なんて、魔力持ちには逆に魔力切れを起こす原因になる危険な術式だ。誰も作っていないから俺が自分で考えて自分に施術した」


「その術式、ヴェル君以外は知りませんか?」


 ヴェル君は真っ青です。でも真実はいつも一つですからね!


「魔術凝りを自分にかけて、そこからは意識は朦朧としていた。倒れた時は軍の寮内だったから、おそらく軍部の医院に運ばれたと思う」


 オリアナ様とルラッテさんは固唾を飲んでヴェル君を見つめています。


「はい、先日王太子殿下とお話していた時に、ご自身の病のご説明をされていましたよね?あの時確か、こうおっしゃっていましたよね?『原因不明の病と認定された』と、認定するからには誰かがヴェル君の診察をされていたはずです。でもよく考えたらおかしいのです。故意に、魔術で体外に魔力を放出しているなんて医院の先生ならすぐ気が付くはずです。ですが……」


「俺はそのまま病気と判断された」


「見過ごしてしまったのか……それとも()()()()()()()()か」


 さすがにヴェル君は深く考え込んでいるようです。


「そのまま医院に入院していたが、ラブランカ王女が見舞いに来て煩く騒ぐから……」


「騒いだ時に、確か癇癪に触れて独房に入れられたのでしたね?」


「うん、意識が朦朧としてて、伯母上だと思い香水臭い、帰ってくれ。伯母さんと言ったと、後で聞いた」


 おおぅ……伯母とおばさん、聞く分には同じ発音ですよね、おばさんと言われた王女、お気の毒。いや、自業自得か?


「ヴェル君を診た医士は分からないとしても、オリアナ様の治療をされている主治医の先生はどなたですか?」


 オリアナ様は先ほどからずっと俯いておられます。もう犯人が誰か分かっておられるのでしょう。


「それならば、知っている。母上の幼馴染で一時期、婚約していた時もあったが父上と出会って、俺が生まれて婚約破棄になって……それで……」


 ヴェル君も気が付きましたね。まるっとお見通しだ!犯人はお前だ!ここにはおられませんが……え~と幼馴染の医士の方。お前だ!


「どうして?なぜ、ち、父親がいないヴェルを……う、産む時もっすごく……心配してくれたのよ?グスッ……ヒック……産後体調の、悪い時も励まして……く、くれた……うぅ、婚約も私が……アポカリウスを好きになって、こちらからっ破棄にしたのに全然責めなかったぁ!」


 泣きじゃくるオリアナ様を、ルラッテさんが抱きしめ優しく背中を摩っておられます。


「何故どうしては本人に聞いてみないことには分かりません。しかし私は人を苦しめ、憎む、罪人の気持ちなど分かりたいとは思いません」


 私はまだ顔色の悪いヴェル君を見ました。


「とりあえず、治療を先に致しましょうか?罪を言及するのは後でも出来ますし。だって黙ってガンドレアを出てきたのでしょう?その彼がオリアナ様が居なくなったと気づくまで、まだ時間はありますもの」


 オリアナ様は泣き濡れた顔で私を見ました。


「カデちゃん…私はどうすればいいの?」


 私は小さく微笑みかけました。


「今、オリアナ様に出来ることは療養に専念することです。本復しましたらいくらでもお泣きになり、お怒りになられたらよろしいのですよ」







キメ台詞をどこに使おうか考えているの楽しかったです。

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