ますます「物の怪神社」はドッタンバッタンである。
今回はまた新キャラが出ます。
ドタバタコメディーは難しいですが
盛り上げようと書いていて楽しいです。
ではどうぞ★
夜明けごろ・・・。
物の怪神社こと神崎神社の奥の部屋から
「ゴトン・・・!」と物音が鳴る・・・。
大きな棺の中から現れたるは・・・。
「うぅ~・・・。頭が痛い・・・。」
こめかみやら後頭部やらを数か所抑えながら
肩までの金髪に青い瞳、黒づくめの格好をした
パッと見華やかで麗しい外国人風の青年・・・。
「絶対、僕「低血圧」だぁ~・・・。
でもようやく朝が来た・・・。
夜は暗くて怖いからやっぱり朝がいいやぁ・・・。」
鈴良・・・猫又妖怪美少女姉妹の姉の方が目を覚ました。
「にゃんっ!この気配は・・・!!」
布団の中からピョインッと飛び跳ねて隣に寝ていた
夏菜さんの顔を「ぺしぺし」と叩く。
「う~ん・・・。」
「なかなか起きないにゃんね~・・・。」
鋭い爪をシャキーンと出して顔に添えたところで
夏菜さんは飛び起きた。
「危なかった!!この馬鹿に顔を引っ掻かれるところだったわ!」
冷や汗かいて急いで飛び起きる。
「なに~?何の用事で起こしたのすず・・・」
一瞬ピンときたというか、気配を感じ取る夏菜さん。
「もしかして・・・。」
後ろを振り返ると薄暗い中に佇む異様な気配。
牙をむき、瞳は青から赤に染まる青年・・・。
「・・・やっぱり・・・。ブラッディー=クラウド。
・・・また血が足りないのね・・・。」
そう・・・。彼は「吸血鬼」だったのである・・・。
朝っぱらからお腹空かせて死にそうだったらしい。
夏菜さんが冷蔵庫から「トマトジュース」を取り出した。
「いやぁ~。いつもいつも有難いです~!!
何か月も寝てたら流石にお腹空いて貧血でした・・・!」
「とことん変な吸血鬼よね貴方は・・・。」
半ば呆れ顔ではあるが溜め息ついてつい笑顔になる。
「トマトジュースでお腹満たす吸血鬼なんか見たことないわ。」
「ごっくん。はあー・・・。・・・いや・・・。
だって僕・・・。血が嫌いなんですよね・・・。
鉄臭いし美女の寝こみ襲って首筋に牙立てるなんて真似、
僕にはできないし・・・。向いてないんですよ・・・。」
「そのせいで貴方、吸血鬼の一族から「半人前」扱いで
城を追い出されたのよね・・・?」
苦笑いを浮かべる夏菜さんはいつもその話をすると
つい笑ってしまう。
「僕には「コレ」で十分なので・・・。」
青白い顔は少しばかりか楽になった様にも見える。
「鈴良もお腹空いたにゃんっ!!夏菜っ!!ご飯っ!」
横で見ていた猫又の鈴良が急かす様に言う。
「はいはい。今日はシーチキンでも食べる?
猫まんまがいい?かつお節かシーチキンの2択で。」
「どっちも捨てがたいにゃんっ!!」
じっと夏菜の顔を上目遣いで見てきて催促をする。
もう行動がまさに「猫そのもの」である。
「じゃあ。ダブルでいこうか?」
いつもはクールな表情ばかりの夏菜さんの顔がほころぶ。
その様子を見ていた姉の「秋乃」は寝ぼけまなこで
「・・・朝から元気ね~。みんな・・・。」
手には焼酎の瓶を持ち・・・少しばかり色気のある
ランジェリー風の服装で壁にもたれて「しなっ」となるが
「大酒呑み」らしく堂々としたものである。
手のかかる子供を数人育ててる母親の様な気分になる夏菜さん。
「ほんと~に「母親みたい」よねぇ~?」
酔っぱらいながらからかう姉の「秋乃」。
「だったら朝からお酒なんて吞んでないで手伝って
くれればいいのに・・・もう・・・!」
若干苛つく夏菜さん・・・。
「旦那でも呼べばいいのに・・・。」
「・・・誰よ?旦那って・・・。」
真顔で一瞬固まる・・・。
「いるじゃな~い!美少年霊媒体質の千尋くんが~。」
ケラケラ笑いながらとんでもない冗談を言う。
「まだ「旦那」じゃないっ!!」
思わず口を突いて出た言葉がそれだったので
自分でもびっくりしてやや赤面する・・・。
「まだね~?・・・じゃあ数年後に持ち越しですか?」
あははっとばかりにからかってくる姉の秋乃・・・。
その様子をビックリして眺めて聞いていた吸血鬼の
「ブラッディー」が青ざめて言う・・・。
「夏菜さん・・・。そんな男性がいたのですか・・・。
いつの間に・・・。夏菜さんは僕のマイハニーだと
思っていたのに・・・。ショック死しそうだ・・・。」
朝日をさんさんと浴びても干からびるどころか元気いっぱいの
吸血鬼・・・。
「ブラッディー残念っ!この子もう「先約」がいるのよ。」
先約も何もブラッディーの方が付き合いが長いのでその言葉
自体が「違和感アリアリ」であった。
「トマトジュースだけじゃお腹空くでしょ?冷凍の
パスタならいっぱいあるから食べたら?「ニンニク風味」
だけど・・・。」
「僕、ニンニク大好きなんで嬉しいなぁ~!!」
満面の笑みで言う・・・。
「血が嫌いでニンニクが大好きで夜に寝て朝に起きる、
とんだ大真面目な吸血鬼ね・・・。規則正しい生活
してるからますます城にはいられないわね・・・。」
つい皮肉めいた言葉ばかり出してしまう・・・。
今日の夏菜さんはいつにも増して意地悪である。
「はいっ!そんなドSな気質の夏菜さんも大好物ですっ!」
明るく爽やかに笑って言う・・・。
「こんな吸血鬼見たことないわね・・・。」
姉の秋乃と夏菜が同時に同じ言葉を呟いてしまう・・・。
「赤ワインあるけど・・・。ボトル開けちゃう?
私と一緒に吞んじゃう?」
意気揚々とアルコールを進める酔っぱらいの秋乃。
「吞んでみます。赤ワインってトマトジュースよりも
美味しそうに見えますし★」
浮かれて一緒にワインを呑む2人・・・。
その頃、お幽さんと一緒に歩いて神社に向かう千尋くん。
「いや~。お幽さんと一緒にいると全然変な低級霊みたいの
寄ってこないからすごく体が楽なんですよね~。
いつも楽しいお話ばかりしてくれるし有難いですよ。」
お幽さん笑顔で少し恥ずかしそうに照れている。
「イヤですよぉ~・・・。好きになっちゃいそうですぅ。」
見た目に反してお茶目で乙女チックで友好的な良い幽霊さん。
「おっと。着いた着いた。夏菜さんにちゃんとお礼言わないと。」
階段を上り、神社の境内に入る千尋くんとお幽さんの2人。
「おはようございま~すっ★」
上機嫌で玄関の引き戸を開ける。
すると・・・。
赤ワインで酔っぱらったブラッディーが夏菜さんに
べったり引っ付いて離れないという光景が・・・。
「げ!」夏菜さんが発した第一声・・・。
しーん・・・と静寂が流れ・・・。
「うわああああああああああっ!!」と大声で叫ぶ千尋くん。
「あらぁ~・・・。これは・・・。次回修羅場ですかねぇ・・・?」
ちゃんと次回予告までしてくれる気の利く優秀な守護霊の
お幽さんなのであった・・・。
続。
「物の怪神社」は今回も大波乱の予感。
新キャラの今後の展開もちゃんと考えてありますが、
その前に今回は「琴音さん」を出せなかったのが唯一悔しいところです。
また次回以降に必ず出ますのでお付き合いくださいませ★




