無自覚な「両想い」とその他諸々。
今回は内容をいつもよりも少しずつ濃くしてみました。
続きをどうぞお進みくださいませ。
家路につき、無事我が家に帰った僕はというと。
お幽さんと雑談をしていた。
「秋乃お嬢様はなっちゃんのお姉さまで、
あの方は自らの意思により「霊能力」で
占い稼業で全国行脚してるのですぅ~・・・。」
事のいきさつを色々と喋っているので状況が
よくわかってきたから助かる、というか有難い。
「ただ、なっちゃんは秋乃お嬢様の金銭への
執着がお嫌いなようでぇ~・・・。お小さい頃は
それなりに仲の良い素晴らしい姉妹でしたぁ~。」
「でも・・・今は仲が悪いと・・・。」
なんとなく察してきてて、思わずお幽さんの話を
遮る様な形で納得してしまった気になる。
「でも今でもそれなりに、喧嘩はすれども
仲が悪いというわけではぁ~ないんですよぉ~?」
「じゃなきゃ、僕の心配をしてお幽さんを
ここまで飛ばしには来ないですもんね・・・。」
僕の霊障を心配してくれてわざわざ自分の守護霊を
使って助けてくれるのだから本当に有難いです。
夏菜さんまじ天使・・・。(いや、まじ巫女さん?は
変かな?とか色々考えちゃう馬鹿な僕・・・。)
「でも、なんであの池之宮さんは夏菜さんのことを
知ってたんですかね・・・???」
つい疑問が口をついて出てしまった。
お幽さんが遠い目をして僕の部屋の窓から
外を眺めながら説明をしだした。
「元々、琴音さんは「霊障がある体質」の様で
千尋くんの様に「目には見えない」んですけど、
「霊に敏感」なのでしょうねぇ~・・・。」
僕に体質が似てるけど僕の方が「目に見える力」
が大きいみたいだな・・・。
一方その頃の琴音さんは「有難う。あなたたちのおかげで
助かったわ・・・。3人とも今日は特別にわたくしの
おやつ用に買っていたお菓子を分配してお食べなさい。」
疲れてうな垂れながらも部下の女の子たちを労う気持ちは
忘れていないらしい。
言われるままにメイドのおばさんから大量の高級そうな
お菓子を配られる3人娘。
3人の中でもボスクラスのショートカットの女子、
「安西みゆな」が大興奮していた。
「イタリア製のチョコレート!!頂いても宜しいの
でしょうか???私どもの様な者にまで・・・。」
そう言いつつもよだれが出そうなぐらい食べたそうにしている。
「みゆなさん、こちらはロシアケーキですわよ?」
おかっぱ頭の「城坂ゆいこ」もやや興奮気味。
「そんなにガツガツしていたら駄目ですわ~。」とか言いながら
ロングヘアーの「小清水さゆり」も
フランス製のタルトやら何やらを手に持って自分も
はしゃいでいるのであった・・・。
きゃいきゃいはしゃぐ3人娘をよそに、琴音は
溜め息をつきながら居間のソファーにもたれて
氷水で頭を冷やしていた・・・。
「まったく・・・。あの女に関わるとロクなことがない。
霊だのなんだの・・・非科学的な・・・。」
ぼんやりと過去を思い出す琴音。
幼稚園ぐらいの頃にお付きの者とはぐれて
「神崎神社」に迷い込んでいた・・・。
ちりん・・・ちりん・・・と鈴の音の様な
物音がして振り返る幼少時の琴音。
振り返った先にぼんやりと「狐のお面」を被った
着物姿の男の子の姿が見えて、驚きながらも
「あなた、ここはどこなのかしら?わたくし、
まよってしまって・・・。おうちにかえれません・・・。」
涙目で助けを乞うた幼少時の琴音。
手招きをする男の子・・・。
気が遠くなり、その手を取りそうになっていたら、
バシコーン!と琴音の後頭部を誰かに殴られた。
「いっつ~・・・!だれですのっ?」
扇子をバラッと開いては閉じを繰り返す美少女(幼女?)。
そう・・・それが「夏菜」だった・・・。
「あなた、あぶないところだった。
この世のものではないものに連れ去られるところよ?
おきをつけなさい・・・。」
迫力のある物言いをする幼稚園児の夏菜さん。
そう言われて振り返ると「狐のお面だけ」が地面に
からーんと転がっていた・・・。
「ゾッとする初対面を思い出してしまったわ・・・。」
どうも、幼少の頃だけに「姿だけは」見えていた様だ。
「あんなものは「まやかし」の類ですわ?!
怖くなんてありませんものっ!!」
強気で撥ね退ける様に言葉を吐いて捨てる琴音。
「メイド長!お菓子を持ってきてくださいな?」
こうなると食べて忘れる!とばかりに自分も
食べたくなったらしい琴音さん・・・。
「ゴディバのチョコレートと季節限定の
ハーゲンダッツのアイスを各種、
千疋屋のメロンミルクジュースをお願い。」
どんちゃん騒ぎの様に数人で女子会みたいに夜が更ける。
一方。今度は神崎神社。
「姉さん・・・。悪かったわね・・・。
なんかつい苛ついてしまって悪態ついたりして。」
「珍しいわね。あんたがそんなに謙虚に謝るなんて・・・。」
驚いて目を丸くする「姉さん」こと「神崎家の長女、秋乃」。
「占いで荒稼ぎとかはやっぱり好きにはなれないけど・・・。
でも姉さんの透視能力は私とは比べ物にならないぐらい
強力だから・・・。私の手には負えない仕事は全て姉さんの
おかげで解決しちゃうから・・・。私は無力な気がする。」
少しばかり自分を卑下する夏菜さん・・・。
「ふー。」と煙草をふかしながら横目で何処かを
見つめる秋乃姉さん・・・。
「あの子。気を付けて私らが見てあげましょうか。
どこぞの財閥のご令嬢も、あんたのことは嫌いみたいだけど
気にはかけてるんでしょ?2人とも「霊媒体質」みたいな
もんだしね・・・。憑りつかれたら「あの世逝き」ね・・・。」
きゃいきゃいと騒ぎながらじゃれて遊ぶ妖怪猫娘姉妹の
様子を眺めていて秋乃姉さんが一言・・・。
「ほんと。とことん、ここって「物の怪神社」よねぇ?」
クスッと笑って厳しい顔つきがほころぶ。
「まあ・・・。良い妖怪や幽霊ばかりならこの世も
何も問題なんかないんでしょうね・・・?幾ら周りの目には
「薄気味悪く」見えても私たちにすれば、「人間」とさほど
変わらないわ・・・。悪いものもいれば良いものもいるんだし。」
真面目な顔で「愛情あふるる言葉」を言う夏菜さん。
「相変わらずのお人よしの博愛主義者よね~?あんたは。」
少しからかう様に妹の夏菜に言う。
むっとしたのか押し黙ってしまう夏菜さん。
「まあでも・・・。そんなあんたの性格・・・。
私は好きだけどね。たった1人しかいない「妹」だから。」
聞こえるのか聞こえないのかぐらいの声で呟く・・・。
「よっしゃ!風呂でも入るか!「すず、たま!」一緒に
ひとっ風呂浴びようよ!!・・・夏菜はどーする?」
「私はパス。1人がいいから。」
「そう言うだろうと思った。」
「なら聞かないでよ・・・。」
にやにや笑ってからかう様に一言。
「千尋少年と一緒なら入ったりして。」
カッと赤くなり、
「そんなわけないでしょーがあ!!」とキレる夏菜さん。
「冗談だってのに(笑)。」
わいわいとみんながお風呂に入っている間に
夏菜さんは窓の外を眺めて・・・。
「千尋・・・。ちゃんと無事にしてるかな・・・?」
ふと心配になる。
その頃の千尋とお幽さんは「夏菜さんの幼少時の話」やら
何やらで物凄く平和に盛り上がっていたのであった・・・。
「親の心子知らず」ではなく「夏菜さんの心千尋くん知らず」
みたいな状態の2人は今後どうなっていくのだろうか・・・。
満天の星空を眺める夏菜さんは少しばかりかいつもよりも
「楽しそう」・・・というよりも「安らぎ感」で満たされていた。
きっと本人も気づいていない、無自覚な「恋心?」であるかの様に。
書きたいことが沢山ありすぎてなかなか消化不良ですが、
今後もっと「面白くて楽しい」・・・そんな作品にしていければ
と、自分でも奮起しております。