ワインで語る恋愛話
前話のつづきです。
「笹山ー!出てこいっ!!」大声が響く。「笹山ー!」鈴良は慌てて彼の服をつかみ、制止しようとする。「千尋お、やめるにゃんよお。」半泣きの鈴良。笹山くんは部屋から慌てて出てきた。「なんだよ」嫌いな嫌いな千尋が大好きな鈴良ちゃんと一緒に現れたのが少し許せなかった笹山。「なんだよじゃねえ!」突然笹山に殴りかかった。「う!」倒れる笹山に千尋は「ちょっと付き合え!話がある。」そう言い、彼の部屋までみんなでゾロゾロと入っていった。鈴良はこんな千尋は初めて見たと思い、少し戸惑う。大好きで仕方がない、逢いたくてたまらなかった鈴良の姿を後ろから見ていた笹山くんは小さい声で「なんだよ。あいつなんかにすがりやがって・・・。」と少し不満を漏らす。ブラッディーはハラハラしながらも持っていたワインのボトルを握りしめながら後に続いた。「喧嘩しに来たんじゃない。話をしに来た。」床に座り、千尋はワインのボトルをブラッディーから奪い取り、「コップ三人分。」と催促した。「なんなんだ。」とぶつぶつ文句を言いながらコップを三人分持ってきて床に置く。ワインのコルクを抜き、とくとくと注いだ。「呑みながら話そう。」酔ってもいないのに千尋の目は座っていた。「俺らまだ高校生だぞ?いいのか?」不満そうにそう言う彼の言葉を無視して、千尋はチクリとこう言った。「その高校生が酒飲むより悪いことしたんじゃないのかよ。」鈴良のことを持ち出して嫌みを言う。「わかったよ。呑むよ。」根負けした笹山はワインをぐっと飲んだ。千尋とブラッディーも飲む。鈴良はポカンとその様子を見ていた。暫くすると三人ともへべれけのようになる。「お前なあ。好きだからってやっていいことと悪いことがあるんらぞ!」千尋がそう言うと「うるひゃい、お前に何がわかる。」笹山はそう返す。「好きな女の子は大事にしないとダメなんらぞ!僕なんかどれだけ自制してることか。わかるか?」千尋は夏菜の笑顔を思い浮かべている。「僕もわかります。どっちの気持ちも。」ブラッディーも話に加わった。「ハア?何言って、」「好きだから大事にしたい気持ちも抑えきれない気持ちも。僕も、さゆりさんが大事で大好きだから・・・。」「さゆりちゃんのこと大事にしてるんだろうな?」千尋は眉間に皺を寄せて渋い口調になる。ぐっとワインを飲み干して、千尋はくどくどと二人に説教をしだした。「いいか?女の子っていうのは大事にしなきゃあダメなんだよ。か弱いんだから。それでいて気が強い割に弱くて脆くて甘えてくるし可愛いし可愛いし可愛いし。とにかく可愛いんだよ!わかってんのか!」「そうだよ。女の子は可愛いよ。一生大事にしたいって思うよ。でも想えば想うほどそばにいられなくなるのが辛いんだよ。両思いのお前らにわかるかこの気持ちが。」笹山は目を伏せながら本音をこぼす。「好きなら責任とれよ。」「とるつもりだよ!ずっとそのつもりだ。すずちゃんの代わりなんかいないんだからな。俺がどれだけこの子のことが好きか知らないだろう。」鈴良は横で黙って聞いていた。照れてくるぐらい自分のことを好きだとか想っているとか言われて恥ずかしくなるが嬉しかった。その気持ちが嬉しかった。三人が酔いつぶれて寝ているのを見て、鈴良は優しく微笑んだ。「みんな大好きにゃん。」
やっと書きたいことが半分以上書けました。もう少し続きます。




