夏菜の決意。
前話のつづきです。
「鈴良?あんたまさか・・・。」息を飲む夏菜。血の気が引いてフラフラしてしまう。「俺が悪いんです!!すみません!」直立姿勢で頭を下げる笹山。カッとなった夏菜は思わず笹山を平手打ちした。歯を食い縛る様に体に力を込めながら歩き、鈴良の手を引っ張った。「もう二度とこの子に近付かないで!!」母親が娘を庇うみたいに夏菜は笹山から彼女を引き離した。うなだれて振り返りもせずに立ち去ろうとする彼にそっと近付いたのは秋乃だった。「ダイジョウブ。あなたはこれから先も大丈夫よ?家帰って落ち着いてね?」と耳打ちした。何が大丈夫なのかすら彼にはわからなかったが、少し気持ちが落ち着いたらしい。不思議な雰囲気のするお姉さんだと笹山くんは思った。「夏菜ぁ。怒ってるにゃんか?」腕を引っ張りながら家の中に入る。夏菜は目に涙を浮かべつつも静かに怒っていた。「大丈夫にゃん、赤ちゃんが生まれてもすず一人でも育てるにゃん。」振り返り、「バカ!!何が一人でも育てるよ!!私がどんなにあんたのことを心配してると思って・・・!」夏菜は泣き出した。「なんでそんなことにあんたがなるのよぉ!」ぐすんぐすんと鼻をすする夏菜。「笹かまくん、ちゃんと謝ってくれたにゃんよ。」「謝って済む問題だと?!」申し訳なさそうな顔になる鈴良。「高校卒業したら結婚しようって言われたにゃんよ?」その言葉にハッとする夏菜。「あの人そんなこと言ったの?」鼻水をすすりながら夏菜は静かに鈴良に問うた。「だからだいじょ・・・」「結婚しようって言われたから大丈夫だって?」後ろから割り込むように秋乃が話に入る。「男の言う結婚しようぐらいあてにならない言葉はないのよ?おわかり?」片目を伏せてそう言い放つ。「う・・・。そうなのかにゃん?でも」「でも何よ?!」夏菜は怒りながら聞く。「笹かまくん優しいにゃんよ?優しかったにゃん。」「ハアアー?!あんた何言って・・・!」夏菜は呆れて言葉がでなくなってしまった。「彼ばかりが悪いとは限らないんじゃない?」「じゃあすずに問題があるとでも?!」夏菜は突っかかる。「優しい男が全ていい男で素晴らしい人とは限らないけども、人とは色々なので。」「じゃあ一体。」話をさえぎり秋乃がこう言い放つ。「鈴ちゃんは寂しかったのよ。あんた達がラブラブでそればっかりになってしまって。寂しかったのよ。」夏菜は目を大きくさせて驚いたような顔をした後顔を下に向けた。「そうだったの?寂しかったって。」鈴良はうつむき、謝った。「ごめんなさいにゃん・・・。」夏菜は辛くなり、その場から逃げ出した。走って自分の部屋に行き泣いた。(私のせいだったなんて私が浮かれてたから!)泣いてしまった後に、彼女はある決意をする。「もう千尋と仲良くしない。」罪悪感にかられたのだろう。彼女は間違った選択をしてしまう。
次回こそは千尋を出します!(笑)いつ出てくるんだー?!と書いていてモヤモヤしましたが後々のお話の中で必要な存在なのできっと出します。あと、最近展開が暗いので昔のように笑えるコメディ要素も出したいです。




